グローバル教育特集 2025

シドニーの現地校に通う生徒(イヤー4〜12)を対象に、学習サポートを行う「YK Education」。NSW州では、大学に行くためにはイヤー12の高校卒業証明に当たるHSCの試験を受ける必要がある。同塾にHSCとATAR、小学生向けのオーストラリア全国統一学力テストNAPLANについて話を伺った。
──HSCとATARとは何ですか?
HSC(Higher School Certificate)は、NSW州の高校卒業証明のことを指し、イヤー12の1年間の成績を総合的に計算し、科目ごとのスコアが算出されます。NSW州の高校に通う生徒にとっては誰もが通るステップです。
ATA R(Australian Tertiary Admission Rank)は、NSW州中における学業成績の順位を示すもので、HSCの複数科目( 通常4~6 科目)の総合成績を基に、30.00~99.95の範囲でスコア化されます。例えばATAR70 は「上位30 %に入っている」という意味であり、点数ではありません。ATAR90以上を目指すには各教科で90点以上取らなければならないと誤解されがちですが、実際はNSW州内の相対評価によって決まります。ATARはUAC(Universities Admissions Centre)によって算出され、大学のコース選択時に重要な判断材料となります。
HSCは日本のセンター試験とは異なり、1つの試験ではなく、イヤー12の1年間の成績を総合的にまとめたスコアとなります。そのため、できるだけ早い段階から準備を始めることが望ましいと言えます。イヤー9~11の学習内容は、HSCで直接スコアに反映されることはありませんが、基礎知識として重要となります。また、イヤー10の成績はイヤー11、12で選択可能な科目のレベル(Standard、Advanced、Extension)に影響するため、この時点からの取り組みが鍵となります。
HSCの科目の選択はイヤー10の後半に行われ、成績に応じて選択可能なレベルが決定されます。イヤー11の基礎知識となるため、イヤー10は重要です。興味・得意分野・進学希望先の大学で必要な科目をふまえて選ぶと良いでしょう。学校の「Careers Advisor」に相談するのもお勧めです。
──HSCの評価の仕組みとスケジュールについて教えてください。
HSCは、学校内で実施される試験(Internal)と、州統一のHSC試験(External)がそれぞれ50%ずつ反映され、最終的に最も高い成績の10ユニットで計算されます。
Inte r nal 試験の内容や日程は学校によって異なるため、塾では各学校の教科書や進度に沿って学習する方が効率的です。イヤー11は3学期制、イヤー12は4 学期制で、イヤー11の4 学期(10月頃)がイヤー12の第1学期として扱われ、ここからInternalの成績評価が開始されます。
加算率はテストによって異なり、毎学期の期末試験や提出課題などが評価対象となります。External試験は通常10月頃から始まり、1カ月ほど掛けて実施されます。NSW州内では統一されたスケジュールで行われ、タイムテーブルは例年4~5月頃に発表されます。
──HSC対策に有効な学習方法はありますか?
成績を伸ばす以前に大切なのは、「集中できる学習環境」と「自信」です。学校生活が充実していなければ、学習意欲にも影響します。まずは毎日の生活を安定させ、生徒自身が楽しめているかを確認することが大切です。そして、それぞれに合った勉強習慣やモチベーションになることを見つけてあげることが重要となり、自信が付けばやる気の向上につながり、成績にも反映します。効果的な勉強方法は、以下の通りです。
(1)数学と英語の基礎を徹底すること。イヤー9、10の学習内容はイヤー11、12の理解を支える土台となり、試験問題に出されるため、学校で使う教科書は基礎知識を身に付けるためのものでドリル練習に適しています。
(2)過去問や模擬試験を活用すること。本番に慣れるためにも、実戦形式での演習は不可欠です。
(3)分からない時にすぐ質問できる環境を整えること。分からないことを放置せず、すぐに相談できる体制が学習効率を高めます。
(4)授業の内容を整理すること、学期ごとに学習内容をノートなどにまとめておくと、復習や試験対策に役立ちます。
──NAPLANとはどのようなテストですか。
NAPLAN(National Assessment Program– Literacy and Numeracy)は、オーストラリア全土で実施されている統一学力テストで、対象はイヤー3、5、7、9の生徒で、目的は多岐にわたります。教育機関・政府にとっては、「生徒が読み書きや数学の基本スキルを達成できているかを確認」「教育プログラムの有効性の評価と改善点の特定」「支援が必要な学校や地域を把握するための資料」として、保護者にとっては、子どもの学力が全国基準と比較してどの位置にあるのかを把握、将来に必要なリテラシー・数的思考力の習得状況を確認する指標となります。
テストの内容は、① Reading( 読解)②Writing(作文/文章を書く力や表現力を評価) ③Language conventions(言語規則/スペリング、文法、句読点の知識)④Numeracy(数的能力/計算力や問題解決力)の4分野です。
──作文力アップのために家庭でできることはありますか?
NAPLANの中でも、Writing(作文)は多くの家庭が対策に悩む分野で、以下のような日常的な取り組みが効果的です。
(1)文法力の基礎を固めること。市販のワークブックで正しい文法を反復練習します。
(2)語彙を広げる習慣をつけること。新しい単語の意味を調べ、類語や同義語を学ぶことで表現の幅が広がります。
(3)新聞記事を読んで意見を書くこと。親子で時事記事を読み、内容について話し合った上で、自分の意見を文章にする練習を行います。
(4)物語の展開を予想・分析すること。登場人物の性格や行動を分析し、今後の展開を予測することで、思考力と構成力を育てます。
NAPLANはあくまでも基礎学力の測定ツールであり、結果に一喜一憂する必要はありませんが、読み書き能力(Literacy)と計算能力(Numeracy)のレベルを把握するための1つの指標として活用できます。作文力がしっかりと備わっていれば、将来的なセレクティブ・スクール受験対策にもつながり、ハイスクール進学後も学力への自信を持って臨めます。YK Educationでは、特にライティング分野に力を入れてサポートを提供しており、お子さまの学習基盤づくりを一緒に進めていくことを目指しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

YK Education
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