シドニー・マーケット特集「そうだ、週末はマーケットに行こう!」①

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オーストラリアでショッピングといえば、週末に各地で開催されているマーケットは外せない。青空の下、のんびりと歩きながら新鮮な食材や掘り出し物の雑貨を探したり、芝生に寝転んで屋台のフードを楽しんだり、バンドの演奏などに耳を傾けて過ごす休日は極上のリラックス・タイムだ。本特集では、シドニーのマーケット情報をお届けする。(文=石井ゆり子、写真=伊地知直緒人)

ファーマーズ・マーケットの魅力

シドニーのマーケットでオーガニックの果物や野菜を販売している、トゥルー・ブルー・オーガニックス代表コールス和美(わみ)さんに話を伺った。

――ファーマーズ・マーケットに出店するようになった経緯は?

ⒸNaoto Ijichi 新鮮でみずみずしいオーガニック野菜
ⒸNaoto Ijichi

オーガニックの食材にのめり込んだのは、生まれた双子が未熟児だったことがきっかけでした。栄養価の高い食事のリサーチを繰り返し、たどり着いたのがオーガニックでした。その後、子どもたちに安全で安心な環境を与え続けたいという思いが生まれ、健康で持続可能なライフ・スタイルについても考えるようになりました。2009年にシドニーで情報交換も兼ねて「ロハス・マザーズ・グループ」を発足し、オーガニック農場まで車を走らせて新鮮な卵を買い付けるなど、グループのメンバーと食材の共同購入をするようになりました。今思えば、それが現在のオーガニック・ビジネスのスタートですね。

――オーストラリアは、オーガニック先進国とも言われていますが、なぜオーガニック製品が普及していると思いますか?

オーストラリアの歴史的背景、環境や国民性からだと感じています。オーストラリアでは、アボリジニーの先住民時代から薬草が頻繁に使われたり、自然療法なども一般に普及しているからだと思います。そのような体や環境に優しいものを使用するオーストラリアのライフ・スタイルが、オーガニックを支持する理由ではないでしょうか。現在では、世界最大規模のオーガニック認証農地を保有しています。また、日本では「ロハス」などと呼ばれファッション性が高い中、この国では、それが流行ではなく日常的に実践されていると感じます。

――なぜダイコンや、ゴボウなどの有機日本野菜を販売するようになったのでしょうか?

ⒸNaoto Ijichi 笑顔で接客する和美さん(右)
ⒸNaoto Ijichi

単純に、私が食べたかったからです。また、日本人のお客様の声も多くありました。取引をしているオーガニック認証農場がNSW州内に40軒以上あり、産地直送で入荷しているので、お陰様で採れたての新鮮なオーガニック日本野菜を食べることができます。旬の野菜、果物のみ入荷させ、季節を感じる楽しさや、栄養価についてお客様に気付いて頂いてます。日本の野菜の中でも、ローカルの方々に栗カボチャは大人気で、ほぼ毎週入荷の確認の連絡をしてこられる方もいます。また、ゴボウやヤーコン、みそは、健康志向な方に支持されています。サトイモやユズ、ミズナなどは珍しいからという理由で購入されます。ダイコンやコマツナは、既に一般的です。

――和美さんが出店しているシドニーのキングス・クロスとマリックビルのマーケットについて教えてください。

キングス・クロスは、水辺が近いので散歩がてら来店される方がたくさんいます。また、公園も併設されているので、お子さんを遊ばせながらやジムやヨガ・クラスが近辺にたくさんあるので、レッスン後にお買い物というパターンも多いです。マリックビルは、雑貨を出店しているストールもあり、ひと通りそろう印象です。どちらも、黄色い「CertifiedOrganic」という表示がある店舗がオーガニック商品を扱っています。

――マーケットでの販売のお仕事を通じて印象に残っているエピソードは?

雨の日に来店されたお客様に「雨の中、来てくださってありがとう」と伝えたら、「雨の中、出店してくださってありがとう」という温かいお言葉を頂いたのが印象的でした。また、毎週卵を購入して下さる車いすの方とその付き添い(介護)の方がおられました。ある日、その付き添いの方が1人でお越しになり、「彼は、先日亡くなりました。いつも、あなたの卵を毎週楽しみにしておられましたよ」と伝えてくださったり、レギュラーのお客様からは、妊娠報告や出産報告、引っ越しのお知らせや誕生日パーティーのお誘いなど、無数のドラマがあります。

――最後に、オーガニックの野菜や果物の販売を通じて、今後新たに挑戦していきたいと考えていることはありますか?

現在、オーストラリア国外に向けてオーガニック商品の輸出の準備をしています。また、日本在住の方々にも安全・安心な物を食べて頂きたく、次世代を担う若者たち(特に農大生など)にオーストラリアのオーガニック農法を学べるワーク・エクスペリエンス・プログラムを取引のあるオーガニック認証農場と共同で、来年から実施する予定です。それ以外にも、人や地球を元気にすることに日々挑戦していく所存です。

■True Blue Organics
Web: www.organicfromaustralia.com


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