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性別ではなくその人自身を見ることが大切─ジェンダー・フリー・ジャパニーズのアヤカさんにインタビュー

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 性別で苦しむ人がいる社会を変えたいと、オーストラリアで奮闘する日本人女性がいる。トランスジェンダーの夫と共に「ジェンダー・フリー・ジャパニーズ」の代表を務めるアヤカさんに、日豪プレスのインターンシップ・プログラムに参加している大学生が、日本とオーストラリアのLGBTの受け入れ方の違いや自身の経験について、話を伺った。
(文=千葉瑞希)

性別で生き辛さを感じることがない社会に

ジェンダー・フリー・ジャパニーズは、LGBTQA+の祭典シドニー・マルディグラ・パレードに出場(Photo by Takessuy, tobofotoinfo, Miki and Kota.)

─オーストラリアと日本での性別に関する問題の受け入れ方の違いについて、どのように感じていますか。

 「男女とかトランスジェンダーとか、もともと性別を決めていない人がいる中で、性別の垣根を感じないということをオーストラリアに来て思いました。逆に言えば、日本は何においてもすごく男女で分かれてるなと思うことがあったんです。日本にいた時はそれが当たり前だったから分からなかったけれど、オーストラリアでは、職場でも男性がどう女性がどうとかカテゴリー別にされないというか、本当に平等に扱ってくれます」

─日本にいたころから、そういったことへの関心があったわけですね。

 「日本にいる時から同性婚ができない現状にすごく違和感がありました。幼稚園からの幼馴染みの私の親友は、生まれた性別は女の子ですが、男女に分けられた社会にすごく苦しんでいたんです。やっぱり日本はカミングアウトをするのがすごく怖い文化なんですね。何を言われるか分からない、そもそもカミングアウトをする必要はないと考えるようになって、やっぱり生き辛さを感じている人がすごくたくさんいました。私は性別に関することでは何の障害もなく生きてきましたが、近くにいる友人だったり、夫もトランスジェンダーなので社会ですごく苦しんでいる姿を見ており、この現状を変えたいと思っていました。自分1人で何ができるかを考えた際、「私の夫はトランスジェンダーです」とか「ゲイやレズビアンの友人など、いろいろな人が日本や世界にはいるんですよ」ということを、働いていたバーでお客さんに少しずつ話していました。そこがまず自分にできることだと思ったんです。そして、オーストラリアに来てレインボー夫婦というインスタグラムのアカウント使って発信して行くことなり、少しずつ自分にできることをやってきた感じです」

─私自身、カミングアウトを受けるという経験がないのですが、ご自身がカミングアウトを受けた時の心境をお聞きしてもよろしいですか。

 「親友が私にカミングアウトしてきたのは中学1年生の時で、同性の子のことが好きだと聞いて最初はびっくりしました。中学1年生の時は、私もそういう概念がなくて、女の人は男の人を好きになって男の人は女の人を好きになるのが大半という考えが漠然とありました。親友から言われて、正直内心はちょっとびっくりしたけれど『あー、そっかそっか』程度で終わりましたね。私は基本的に人と関わる際、性別で見るというより、その人自身として捉えているので、誰が誰を好きになろうと正直どうでもいいというか、誰を好きになるとかマインドがどうでも、その人がその人であることには変わりはないから、ある意味気にしなくて良いと感じています。でも、やはり日本は男女で分かれてる教育環境だから、もちろんびっくりするのも、その人の正直な気持ちだから全然良いと思います。ただ、その人であることには違いなく、人間性に何の変りもないんですね。『そっかそっか、その人にはそういう感情があるんだ』という考え方で良いのではないかと思います。それがきっかけで好きになったり嫌いになったりするのもその人の自由です。それぞれがどう感じるかは、本当に何でも良いと思いますが、個人的には、何もその人自身に変わりはないということです」

人をカテゴリーで分けないということ

前列右から2番目がアヤカさん、5番目がパートナーのコウキさん(Photo by Takessuy, tobofotoinfo, Miki and Kota.)

─ストレートのアヤカさんにだからこそ聞ける質問だと思うのですが、性別に関して困難を抱えた人と接する上で意識することはありますか。

 「ありますね。自分自身がすごく気を付けてるのはやはり言葉です。この言葉を言ったら人を傷つけてしまうなという場面が、LGBTとかは関係なく、結構あると思います。例えば、日常生活で気を付けてるのが、恋愛の話の流れになった時に『彼氏はいますか?』と聞くのではなく『パートナーはいますか?』とか『好きな人はいますか?』と、性別にとらわれない言葉に変えて聞くようにしたりしてます。言葉は結構意識していますね。私の夫はトランスジェンダーで、女性の体で生まれて手術して男性に変わり、戸籍も男性になってるのですが、やはり過去の自分を完全に隠しながら生きている友人もいるし、私のパートナーみたいに公にして過ごしている人もいます。話す相手のとらえ方は意識しますね。それこそ、子どもの話だったり、意識しすぎても頭がこんがらがることもあるので、この人はもしかしたら当事者なのかなと思った際、最初に『もしいやな気持になってしまったらごめんね』と、最初に言葉を足すこともあります」

─日本はやはり社会的性差が強めで、どうしたらそういう意識を少なくできるかを考えた際、幼いうちに男らしさとか女らしさにとらわれない環境を作っていくのが大切なのではないでしょうか。日本ではジェンダーレスの制服があったり、ランドセルのカラー・バリエーションが増えているのもその流れなのかなと思います。最新のプリキュアは、男の子がプリキュアになれるキャラなんですよ。そういうのもジェンダーレスの流れなのかなと感じますが、そういう日本での環境作りについて思うことはありますか。

 「おっしゃる通り、子どものころからの教育はすごく大事だと思います。ランドセルの色もそうですし、プリキュアに男の子がなれるというのも、すごくすてきなことですね。今はまだそこまで力が及ばないですが、私は子どもの教育関連に携わっていきたいと思っています。教育というのは本当に大事な部分だから、幼稚園や保育園などでも、男女がどうのこうのではなく、ジェンダーレスの考え方がもっと浸透していったらいいなと、感じています」

─日本にはLGBTなどの問題に対して、まだ少しハードルが高いと感じている人が多いと思うのですが、そういう方々、特に若い世代に伝えたいことはありますか

 「もちろん、上の世代の人でも柔軟な方々はいらっしゃるので人によりますが、今の若い世代の人たちは、本当に私たちが思っている以上に柔軟だと思います。この人は男性でどういう性格をしているなど、人間は結構、カテゴリーで分けてしまいがちですが、その人自身としてとらえたら良いと思います。男女に分けて考えることは自然とあることかもしれませんが、話をしたり仕事をしたりとかする上で、性別やカテゴリーで見なくても、その人自身を見るべきではないかと思いますね」

─ありがとうございました。

アヤカさん(左)と筆者

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