ワンダフル・ライフ in AUS
ロックダウン後は犬にも配慮を
ロックダウンやリモート・ワークの広がりによって自宅で時間を過ごす人びとが増えた結果、昨年からオーストラリア各地では空前のペット・ブームが起こっている。犬の価格が急騰し、開設以来初めて保護されている犬が1頭もいなくなったという動物保護シェルターも話題になった。
だが、新型コロナウイルスの予防接種が本格化し、今後さまざまな規制が緩和されていくことが予想される現在、コロナ禍に犬を飼い始めた人たちへの心配も増えている。
オーストラリアのABC放送によると、ビクトリア州のロスト・ドッグズ・ホームという動物保護団体では、今年6月から7月にかけてロックダウンが解除された期間に、例年より保護犬が30%も増加したそうだ。ロックダウン中に犬を飼い始めた人たちが元の生活に戻ったところ、「やっぱり飼えない」となってしまうケースが増加しているらしい。
これには、無責任な飼い主が増えたからだと単純に片付けることはできない、コロナ禍の生活スタイルの変化にも原因があるようだ。
ロックダウン中に、飼い主はペットと24時間一緒に過ごすことになる。すると、犬にとってはそれが当たり前の生活になる。ところが、ロックダウンが終了すると、飼い主は以前の生活スタイルに戻り、犬にとっては突然飼い主がそばにいない時間が増えてしまう。退屈から物を噛んだり壊してしまうことも増える。犬が寂しさから鳴き続けて近所とのトラブルになったり、市役所から警告レターが届くこともある。
犬が新たな生活になじむまでには、数週間から数カ月が必要だ。「もう飼えない」とすぐに諦めずに、根気よくしつけを行いながら、犬が問題行動を起こしにくい環境を整えてあげることが大切だ。
犬との暮らしが長い飼い主たちも、ロックダウン終了時には、犬が生活の変化に順応しやすくなるような配慮を忘れないようにしたい。
このコラムの著者
ランス陽子
フォトグラファー/ライター、博士(美術)。ボーダー・コリーのスパーキーとゴールドコーストで暮らす。現在はグリフィス大学で日本語のゴールドコースト方言を研究中。
「ゴールドコースト弁を探せ!プロジェクト」Web:www.facebook.com/ゴールドコースト弁を探せプロジェクト-111907644314202