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働く女性にインタビュー2019 豪州で活躍する女性たち⑤

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働く女性にインタビュー2019 豪州で活躍する女性たち

近年、日本を離れ海外のビジネス・シーンで活躍する女性たちが増えてきている。本特集では、豪州を舞台にグローバルに働く女性9人に、仕事のやりがいや現在に至るまでの歩み、活動に捧げる情熱や今後の展望などについて話を伺った。

豪州で活躍する女性 2019

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空手には尽きることのない、日々の新しい発見がある

新極真空手アーターモン、ベロウラ道場・指導員
八尋里伊奈さん

空手の中でも直接打撃制のルールを持つ新極真空手を小学生のころから始め、数々の大会での受賞歴を持つ八尋里伊奈さん。現在、シドニー北部に位置するアーターモンとベロウラの道場で指導員を務める。空手を始めたきっかけからシドニーでの活動、空手という競技を行う楽しさやその面白さ、そして3月にオープンしたばかりのベロウラ道場について、八尋さんに話を伺った。

プロフィル
新極真空手アーターモン、ベロウラ道場・指導員。9歳の時、両親の勧めで空手を始める。2010・11年の「カラテドリームカップ」(全日本ジュニア大会)「型・中高生女子の部」で2連覇を達成。黒帯を取得後、新極真会 東京お茶の水支部で正指導員を務める。15年にワーキング・ホリデーで来豪。現在、結婚・出産を経て、子育てをしながら空手指導員として活動している

――現在の活動内容について教えてください。

NPO 法人全世界空手道連盟 新極真会のオーストラリア・NSW州支部として、アーターモン(シドニー北郊)とベロウラ(シドニー北部)で道場を運営しています。新極真空手という流派には現在、世界で約100カ国が加盟していて、フルコンタクト制(※)の空手団体としては一番の大きさを誇ります。

私は、2つの道場で主に幼年部と少年部の指導をしています。幼年部は3歳から5歳までのクラス、少年部は6歳から10歳までとなっています。現在、現役選手としては引退し、子どもたちへの指導に励んでいます。

※伝統派ルールとフルコンタクト・ルール

空手は、伝統派ルール(ノンコンタクト、寸止め)、またはフルコンタクト・ルール(直接打撃制)の大きく2種類に分けられる。

伝統空手とフルコンタクト空手の違いは競技方法であり、伝統空手は技の正確性に重点が置かれ、技を当てる寸前で止める技術が競われる。勝敗はポイント制であり、技を撃つ所や技の種類によって与えられる点数が決まる。

フルコンタクト空手は、実際に体に技を当てる競技であり、相手を倒すことを目的とする。勝敗は与えたダメージや、有効打の数で競われる。ボクシングやK-1などに似ているが、素手・素足で行うため、競技性を重視し手による顔面への攻撃は禁じられている。ただし、脚やひざで顔を蹴るのは有効(少年部でもルールは同じだが、安全性のためグローブやヘッドギアなどのプロテクターを装着する)。

――空手との出合いについてお聞かせください。

現在6カ月の息子の子育てにも励んでいる八尋さん
現在6カ月の息子の子育てにも励んでいる八尋さん

空手を始めたきっかけは両親の勧めでした。小学校3年生のころに始め、最初はスイミングやピアノ、バレエなどの習い事の1つでしたが、自分の性に一番合っていたのが空手でした。中学・高校に入ってからも部活動はせず、ずっと空手1本で、所属する道場に通っていました。

選手としては大学4年生まで続け、オーストラリアでの結婚・出産を機に現役を引退しました。

――来豪のきっかけは何だったのですか。

就職活動で進路に悩んでいた時に、たまたま八尋康成(やすなり)先生(NSW支部長・ナショナル・ヘッド・コーチ)からオーストラリアで道場をオープンさせるに当たって、指導員のオファーを頂きました。これは私が通っていた道場と八尋先生が所属していた道場が姉妹道場で、また私は大学4年間、日本で少年部の指導員をしていた経験があったので、そのご縁もあって、声を掛けて頂きました。

ワーキング・ホリデー制度があることなど自分でいろいろと調べ、以前から語学留学に興味があったこともあり、就職よりも先にワーキング・ホリデーで来豪することにしました。私にとって英語が勉強でき、更に空手もできる環境はとても恵まれていると思い、オーストラリアに来ることに迷いはありませんでした。

――八尋さんが考える空手の面白さとはどのようなところですか。

小学校から大学まで空手一筋で続けてきた。写真(下)は、「カラテドリームカップ2010」(全日本ジュニア大会)の「型・中高生女子の部」で優勝を果たした時のもの
小学校から大学まで空手一筋で続けてきた。写真(下)は、「カラテドリームカップ2010」(全日本ジュニア大会)の「型・中高生女子の部」で優勝を果たした時のもの

日々稽古の中で新しい発見があることです。そして、それは尽きることがないものだと思っています。

特に組手の試合で負けると、すごく悔しく、もっと強くなりたいという思いが増し、常に向上心が芽生えてきます。今でもそうですね。試合には出ていませんが、基本稽古の際に、この動きがうまくできていない、手の絞りがまだ足りていないなどと感じることは多々あります。私自身、今も探求中の身であり、指導している中で手の握り方や脚や腰の使い方、こう動かした方が良いなどと空手をしている中で新たな発見があります。現在は、指導員として空手に関わっているので、動作を伝える際、どのように説明すると初心者の人にも分かりやすく伝えられるかを研究しています。

また、空手を通して「自尊心」や「優しい心」を身に着けられるのではないかと私は考えています。新極真会では「強さは優しさなり」の精神を大切にしています。フルコンタクト空手は直接打撃を行う競技なので、人はまずその痛みや怖さを知ること、乗り越えることが必要です。その痛みを知っている分、人に対して優しくなれます。

――今年3月、ベロウラに新道場をオープンさせたと聞きました。開設のきっかけとロケーションの意図を教えてください。

アーターモン道場に加え、少し離れた場所にもう1つ道場をオープンさせたいと思ったことがきっかけです。「アーターモンまでは遠くて通えない」という声を多々頂くことがあり、もっといろいろな人たちに空手をする機会を持ってもらえるようにしたいと考えていました。

――2つの道場では、どのようなクラスがあるのですか。

アーターモン道場では、月曜日と木曜日に、年齢・性別問わず誰でも参加できる「ジェネラル・クラス」があり、このクラスには初心者から上級者までさまざまなレベルの人がいます。

また、月・木・土曜日は「ファイターズ・クラス」という、帯が上位の人たちや試合に出る人たちに向けて開いている、少しハードなトレーニングをするクラスを開講しています。ファイターズ・クラスは世界大会に出るような選手から、やってみたい、挑戦してみたいという人たちまでさまざまな人たちがいます。

「幼年部」は月曜日と木曜日に開催、「少年部」も月・木曜日の開催に加え、最近は水曜日も新しくクラスを開くようになりました。「キッズ・チャンピオン」は、少年部の中でも全国大会などに出るようなハイ・レベルな子どもたちに向けたクラスです。

アーターモン道場の少年部での稽古の様子。多い時で30人を超える
アーターモン道場の少年部での稽古の様子。多い時で30人を超える

他にも、オーストラリアの女子チャンピオンを指導員の先生として迎え、「レディース・クラス」も設けています。このクラスは女性のみで構成されていて、「空手を始めてみたい」「挑戦してみたい」という人やダイエット目的など、さまざまです。

ベロウラ道場では、火曜日と金曜日に「ジェネラル・クラス」と「少年部」の2種類のクラスを開いています。

――八尋さんの道場の特徴について教えてください。

取材時には、上段回し蹴りを披露してもらった
取材時には、上段回し蹴りを披露してもらった

3歳から始められる空手だということです。アーターモン道場では、親子で空手をする人たちが5組ほどいらっしゃいます。

また、空手をやってみたいと悩んでいる方々へ言えるのは、やりたい時が適齢期ということです!よく問い合わせで「初心者ですが大丈夫ですか」と尋ねられますが、問題ありません。大歓迎です。さまざまなニーズに合わせた稽古を行っていますので、安心してください。

空手は、老若男女問わず楽しむことができます。特にフルコンタクト空手と聞いて、「怖いな」というイメージを持つ人は多いと思いますが、柔軟運動から始まり、型の稽古やジムで行うようなミット稽古もあり、初心者に向けた稽古も用意しています。現在、4回の無料稽古体験ができますので、気軽に道場に来て頂ければと思います。

――今後の展望についてお聞かせください。

選手として活躍したい人には、自分自身の選手経験を生かし、最終的には世界大会に出場できる選手になれるよう、サポートに努めていきたいです。

また、幼年部・少年部の子どもたち、健康のためや趣味で始めた人たちが、空手を通じて国際交流を深めるだけではなく、黒帯を取得できるようしっかりと支えてあげたいと思います。

新極真空手アーターモン、ベロウラ道場・指導員・八尋里伊奈(やひろりいな)
■住所:【アーターモン道場】Level 2, 52 Whiting St., Artarmon NSW、【ベロウラ道場】Studio 1, 18 Kita Rd., Berowra Heights NSW
■Web: www.wkosydney.com.au
■Facebook: www.facebook.com/Shinkyokushinkai.Artarmon
■練習時間:ウェブサイト(www.wkosydney.com.au/timetable.html)で確認

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