職種リスト
今月は、見直しが行われるという発表があった「職種リスト」についてです。
その1:職種リストの見直し
サブクラス482TSSビザ、186ENSや189技術移住ビザといったビザ申請に用いられる職種リスト。基本的に短期職種リスト(SSOL)と中長期職種リスト(MLSSL)からなりますが、来年3月からの改正に向け、大規模な見直しが開始されるそうです。その中でも注目されている職種がIT関連の職種。さまざまな分野でAIやITテクノロジーの進化が進んでいる中、オーストラリアもご多分に漏れずIT業界の成長促進を図っていますが、高度な技術を持つ人材確保が追い付いていないのが状況です。この問題を解決することが今回の見直しの焦点となるようです。
スキル移住ビザにおいて、技術職に当たるデベロッパー、ソフトウェア・エンジニア、ICTビジネス・アナリストが現在トップ3の職種となっており、2018年から19年度においては8万2,000のビザ発給数の内7,600が上位3つの職種で占められました。今後もIT関連職種は引き続き職種リストに残っていくのではないかと考えられます。
その2:Global Talent Employer Sponsored(GTES)ビザ
先頃、試験的にGTESと言われるビザが2018年7月1日から12カ月の予定で施行されました。パイロット(試用)プログラムとして始められたGTESですが、今年8月に無期限で延長をすることが発表されました。既存の職種リストには掲載されていない職種であっても、高度な技術を持つ外国人労働者であれば、特別な認可を政府から得た企業がスポンサーとなって申請することができます。それを利用して12カ月間で20近くの企業が政府と協定を結ぶ結果となりました。その企業のリスト(下記)も移民局のホームページに記載されていますが、必ずしもIT企業ばかりというわけではないようです。
- Cochlear Limited
- Q-CTRL Pty
- SFDC Australia Pty Ltd
- Rio Tinto Limited
- SafetyCulture Pty Ltd
- Coles Supermarket Australia Pty Ltd
- Serco Australia Pty Limited
- Gilmour Space Technologies Pty Ltd
- Department of Health QLD など
国際競争力強化が叫ばれている中、今後政府は手続きや法改正などの準備が大変なサブクラス482ビザやスキル・ビザではなく、GTESビザのようなビザを用いてピンポイントで各種業界並びに各自治体からの特化した労働力需要に応えていくのではないかと思われます。
清水英樹(Hideki Shimizu)
QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故、労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営する