QLDバレエ団
合々香と弘平のグランパドドゥ 第9回
バレエ・ダンサーは男女同権!?
皆さん、今年も私たちのコラムをよろしくお願いします。さて、皆さんは、バレエと聞いてまず何を最初に思い浮かべますか。やはりバレリーナのイメージが強くて、女性の踊りをイメージする方が多いのではないでしょうか。特に子どもの中ではそのイメージが強いようで、男の子がバレエを習っているだけでいじめられるという話もよく耳にします。僕は幸運にもそういった類のいじめは経験していません。むしろ、高校の運動会のフォーク・ダンスで、女子と踊るのが異常にうまいとチヤホヤされたくらいです(笑)。
実際は、大体どこのバレエ団でも男女比は半分ずつという構成で成り立っています。バレエではパートナーと踊ることが多く、人を余らせないというのが大きな理由の1つでしょう。もちろん、作品によっては女性だけが踊るものもありますが、男性だけが踊っている作品も多く存在します。
数年前、QBで短い3作品を合わせて公演した時の1作『Soldier’s mass』もその1つ。男性ダンサー12人が約30分間、誰1人として幕に入ることなく踊り切る同作品は、第1次世界大戦下の兵士たちがモチーフにされ、男性ならではの力強さや覚悟、戦地で家族や大切な人を思う気持ちなど、作品を通してさまざまな追経験ができました。作品の最後、シャツを脱ぎ捨てた満身創痍(まんしんそうい)のダンサー12人が並ぶシーンでは、言葉にできないバレエ特有の感動が与えられたはずです。
バレエは、性別を超えて、言葉を使わずに観客を感動させる総合芸術。そんなところにもバレエのすばらしさがあるように思います。
このコラムの著者
岩本弘平/QLDバレエ団シニア・ソリスト
兵庫県伊丹市出身。11歳からバレエを始め、18歳でメルボルンのオーストラリアン・バレエ・スクールに入学。その後、ロイヤルNZバレエ団を経て、2018年にQLDバレエ団に移籍。趣味はウクレレ、スポーツ観戦、睡眠、日本のお笑い。祖母の手作り水餃子の味を懐かしみながら、大好きなウィスキーのグラスを傾ける。