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海外で働きたい人必見!オーストラリアで働くハードルは意外に低い?─日本の大学生がシドニーで活躍する日本人を直撃!

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 2月13日から2週間にわたり、オーストラリアの日系メディア・日豪プレスでインターンシップに参加した東京経済大学の学生3人が、シドニーのジョーンズ・ベイ埠頭にある日系マーケティング会社doq®の訪日観光マーケティング・チームにインタビューを行った。doq®は日本とオーストラリアをつなぐクロスカルチャー・マーケティング・エージェンシーとして近年注目を集めており、今回は同社でディレクタ―として活躍する日本人の黒澤美帆子さんとオーストラリア人の、ファン・トニーさんに話を伺った。日本と世界をつなぐ仕事の魅力、やりがい、海外で働くことで得られること・リスクなど、率直な意見を語って頂き、インタビューの最後には2人から海外で働くことを考えている学生に向けたメッセージも頂いた。

インタビュー:児玉亜美(東京経済大学3年)、石山茉穂、宮﨑恵(同2年)

日本と海外をつなぐマーケティング会社「doq®」の仕事

──まずはdoq®社の概要と、黒澤さん、トニーさんの従事されている仕事内容について教えてください

黒澤:doq®はクロスカルチャー・マーケティング・エージェンシーとして、日本と海外をつなげるためのマーケティング活動を行っています。クライアントには、ヤクルトや伊藤園、キッコーマン等「食」関係の企業、またグランドセイコーやアルバなどラグジュアリー系の企業がいらっしゃいます。私が担当しているのは訪日観光に関連した仕事です。新型コロナウイルスの影響で大変な時期がありましたが、現在は外国人観光客が再び日本に訪れ始めていて忙しくしています。

「オーストラリア人を観光地に誘客する」という目的達成のために、「認知・興味」を強化することにフォーカスしています。例えば旅行会社は、旅行商品を作ったり、販売促進を行ったりしますが、私たちは認知・興味を向上させるためのマーケティング施策を行っています。例えば、新聞や雑誌への広告掲載、テレビ番組制作や放映手配、旅行博等イベントへの出展手配や接客などを手掛けています。オーストラリアの方々に日本の魅力を伝え送客につなげることで、クライアントの目的達成の一助となるようチームで頑張っています。

トニー:私は、香港出身なのですが、5歳の時に家族がオーストラリアに移住、その後シドニーの大学で経済学と美術を学びました。日本美術を専攻したことから日本語を勉強して、大学卒業後、日本で3年間仕事をするなど日本に関わってきました。主にイベント管理、コンサルティングの仕事などを経て、2015年にシドニーへ戻り、昨年doq®に入社する前の約6年間、日本政府観光局シドニー事務所に勤めていました。

──仕事に対するやりがいをお聞かせ下さい。

黒澤:お客様がハッピーになってくれることが私にとって一番のやりがいです。クライアントが最終的に求めているのは業績が上がることなので、その過程のお手伝いを上手にすることを目指しています。またもう1つ、これは業界を問いませんが、仕事は楽しくやりたいですよね。仕事をする仲間、皆にとって、楽しい、ポジティブな時間にした方が良いと思っています。結果が求められる厳しい仕事でもあるけれど、一緒に取り組んでいる「チーム」の雰囲気を作ることで、一緒に取り組んで良かったなと感じてもらえたら嬉しいです。広告業界の仕事スタイルの中には、「私たちはエージェンシー」「あなたたちはクライアント」のように線を引くケースもあります。それももちろん良いと思います。でも、私たちはどちらかというと、クライアントの商品、サービス、観光地に想いを込めながら「ワンチーム」で一緒にゴールに向かっていき、達成感を感じたいと思っています。

──この仕事を選んだ理由をお聞かせください。

黒澤:私がもともとやりたかったことは「日本と海外をつなぐこと」「観光マーケティングやイベントマネジメント」でした。旅行博やセミナー、カンファレンスなどのイベントが好きだったので、そういった仕事ができたらいいなと思っていました。そして、仕事を見つけるためには学位が必要だと考え、クイーンズランド大学の大学院に行きました。クイーンズランド州は観光が資源の1つなので、観光学が進んでいると思ったのです。大学院修了後、オンラインでdoq®の求人広告を見つけ、当時、日本映画祭のイベントを手掛けていたことを知りました。イベント関連の仕事だし、日本の観光関連も手がけていたので「ばっちり」と思って応募しました。インターンから始めましたが、その後正社員に採用されて現在に至ります。

トニー:オーストラリアには本当に良い労働文化があります。一生懸命働く一方で、一生懸命遊ぶといった絶妙なワーク・ライフ・バランスがあります。仕事をしていない時は仕事のことは考えず、動いている時は仕事に集中するといった感じでバランスがすごく良いです。オーストラリアでは楽しく働く環境を作ることに焦点が当てられていて、それはdoq®も同様です。一緒にランチを食べたり、お酒を飲んだりなど定期的に“catch up”を行っていますが、同僚との関係の構築にもとても役立っています。

海外で働いたからこそ得られた新しい視点

──海外で仕事をする中で得られたことは何ですか?

黒澤:人を人として捉えて働く姿勢は、オーストラリアで学んだと思います。日本の教育を受けた人は大体真面目なので、締め切りを無条件に守りますが、オーストラリアは異なります。例えば、1月1日までに仕上げてもらいたい時には「この補助金をもらうにはこの資料提出が1月5日締め切りで、翻訳期間に5日間かかることを踏まえると、1月1日の正午までに送って欲しい。そして、その補助金の50%はあなたの利益になります」など、締めきりに対する外的要因や締め切りを守ることで得られるベネフィットも含めてしっかりと説明しなければ動いてくれません。

トニー:家族も親しい友達もいない場所に引っ越して生活するのだから、確かにリスクは大きいです。母国と同じようなサポートやネットワークがないわけですから。母国なら、最悪家賃が払えなくても親と一緒に住めば良いなど選択肢があります。しかし同時にメリットもたくさんあります。異文化について学ぶことは本当に良い経験で、自分の国の文化への理解をより深めることができました。私の場合、芸術・文化が好きなだけでなく他の文化もとても好きなのだということが分かりました。

海外で働く秘訣とは

──どのような人と働きたいと考えましたか?

黒澤:私が個人的に思うのは、その業界の基本的な知識がある人。そして人間関係を築けるスキル、土台を持っていて、私が持っていない視点を持っている人ですね。私だって新米の時代があったし、最初から完璧はもちろん無理です。だけど、少なくとも基本的な情報は持っていて欲しい。それは私がお客様だとしたらそう思うからです。それは大学で学べると思うので今のうちにやっておくと良いと思います。

 マーケティングの仕事に必要な能力は市場の変化によっても変わってきてしまいますよね。例えば、若い世代には絵文字の多用は古いと思われていたり。同世代の人たちが考えることは大体分かるし、ある時代に何が流行っていたのかも分かる。だけど、今若い子たちが何を格好良いと思うかは、勉強はできても肌感覚では分からない。そういった私が持っていない視点でアドバイスしてくれる人はすごく有難いですし、そういう意味で基本的な知識は持っていて欲しいですね。

トニー:チームワークの良い人、意見を共有することを恐れない人と働きたいですね。そして、何か困ったことがあった時に喜んで助けてくれる人が好きです。

──コミュニケーション能力とは何でしょうか?

黒澤:日本式にいうと「ホウレンソウ」のできる人だと思います。ほどよい量、ほどよいタイミングのホウレンソウですね。その声がけの時に「雑談なんですけど」「相談なんですけど」「報告なんですけど」みたいに頭にひと言付けてもらえると、こちらもどのくらいの姿勢で聞けばよいか分かります。前置きを簡潔に伝えること、それもコミュニケーション能力だと思います。あと、海外では「理由や目的」がとても重要になります。「for-」「in order to-」「because-」などを使って、相手にどのようなベネフィットが生まれるのかを提示したり、背景を説明して文脈を理解してもらうことが重要です。

トニー:自分に自信を持つことが本当に重要なコミュニケーション・スキルだと思います。自分に自信がないと、相手に自分が何を望んでいるのか説明できないからです。そしてコミュニケーションは最近ではほとんどの場合メールですね。そこでも私は自分を表現できることがとても重要だと思います。

──最後に、記事を読んでいる読者に向けたメッセージをお願いします。

黒澤:ぜひ海外で働いてもらいたいです。来る前は結構大変だなって思うかもしれないけど、来てしまえば意外とどうってことなかったりします。

トニー:仕事を見つけたり面接を受けたりすることは本当に難しいです。プロセス全体が非常に長く、困難ではありますがあまり否定的にならず、拒否されることを気にしないで欲しいと思います。 ポジティブな経験にフォーカスしましょう。仕事を見つけるというのは十分難しいことだし、まして海外となればなおさらです。非常に困難な状況の中でも、自分が探し求めていることを見つけるまでは、それを押し通しやり続けましょう。

インタビューを終えて

総括

 今回のインタビューでは、海外で働く方々のリアルな声を聞くことができました。黒澤さんとトニーさんが話された、海外で働くためのアドバイスが強く印象に残っています。日本の企業とは異なる部分が肝になると感じ、海外で働くことの大変さを改めて実感することができました。そしてしっかりと咲きを見据えることで将来着実に前進していけると考えました。お二人それぞれが自分の答えをきちんと持っていること、そして誇りと自信を持って仕事に取り組んでいる姿がとても印象的でした。グローバルにご活躍されるお二方に直接インタビューできたことはとても良い経験となりました。インタビューにご協力頂いた黒澤さん、トニーさん本当にありがとうございました。

■会社詳細:TOP|We are doq® (thedoq.com)

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