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オーストラリア不動産、現実と理想の狭間/オーストラリア不動産の現状

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長期にわたり豪州不動産販売のアドバイスやサポートを手掛けるGIM Capital Professional Pty Ltdが豪州不動産市場の動向や情報を分かりやすく解説。


 今回は、メルボルン、シドニー、ゴールドコーストなどオーストラリア各都市の物件形態と地域差に触れながら、オーストラリア不動産市場の傾向と現状を俯瞰して考えるポイントについてお届けします。

好機はあるのか?オーストラリア不動産

 人口増大と空室率低下、都市集中と住宅不足、賃貸不足に伴う家賃価格の上昇とオーストラリアでの暮らしをめぐる環境はオーナーに有利で、テナントには窮屈になる傾向が見られます。

 気に入っている地域にこだわり、妥協したくないと貸家暮らしで家賃を支払い続けるうちに自宅としての住居、不動産を手に入れることを考えるだけの余裕がなくなる。そんな現実をかかえる方々が存在するかもしれません。数十年前に不動産を購入した人たちだけが有利なのでしょうか? こんな時だからこそ、客観的に考えることが大切なため、現状を振り返ってみましょう。

物件形態、地域差が顕著である現状を俯瞰

 ある地域では高値で当たり前、ところが他はそうとは限らない、そんな現実を知り、ご自身の選択肢を広げることも可能です。視野を広げてみるのはいかがでしょう。例えば、リゾート地としての人気だけでなく、昨今は実需も顕著なゴールドコーストは、空室率が低く若年層が利用する簡易宿泊施設やシェアハウスなどの民間利用でさえ、家賃が上がっています。

 空室率0.3%を記録したゴールドコーストは、2018年にブリスベンと直結した鉄道と市街地を走る路面電車Gラインが結合し、コモンウェルスゲームが開催されるなど、経済の活況さが反映されています。現在Gライン上の各駅付近の集合住宅は早いスピードで値上がりしている傾向が見られます。

新最大都市メルボルンとシドニーの対比

 23年4月、予測よりも9年ほど早くオーストラリア最大の都市となったメルボルンは、今後更なる住宅不足が心配されますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で高・中層ビルの価格は低迷状況にあり、一部は手頃価格のままです。

 メルボルンは英国調査機関のエコノミスト・インテリジェンス・ユニットの統計で高い評価を受けた過去があり「世界で最も住みやすい都市」として7年連続でトップに輝いたことがあります。その住みやすさの表れか、手頃な家賃で住むことができる地域もまだチャンスがあります。

 一方かつての最大都市、シドニーは物件価格の高騰もあり、各州の中では最も州外移住者が多い統計になっています。また、都心から広がる5つの鉄道のうち、路線によってはまだ手頃な価格の不動産が存在する街もあり、ニュー・サウス・ウェールズ州の中での価格差異も見られます。

戦略的な遠回りも1つの手段

 住みたいエリアの住宅が購入予算に届かない場合、あえて自分の経済的許容範囲内で将来性があり、リターンの良い投資物件を選び、その価値の伸び代により2軒目、3軒目に自宅購入を目標とするという手段もあります。広い視野を持ち、オーストラリア各都市での比較を行い、最終的にマイホーム獲得にたどり着く賢い戦略で夢の実現を目指すことができます。まだ価格が上がり切っていない地域がねらい目です。





オーストラリア不動産を複数保有する仕組み

 具体的に、オーストラリアで不動産を複数保有する仕組みを解説します。例えば、4年前にブリスベンとゴールドコーストの中間地点に位置する土地付き一軒家が、両都市に比べてまだ低めの価格40万ドルで購入できたと仮定します。現在、同様の物件が既に65万ドルで販売されていました。購入者は、「良い時期に購入できた」と喜ぶことでしょう。そこでようやくその担保価値を利用し、夢のマイホームとしてシドニー南部の街で2ベッド80万ドルの物件を見て気に入ったとします。そこでリファイナンスの相談を金融機関にしたところ、8割の融資が条件となりました。

 4年前は40万ドルの8割を借りていたので、32万ドル分のローンを組んでいました。現在の価値で60万ドルと査定されると8割分は48万ドルです。4年間全く元本を返さない融資でローン額が32万ドルのままだったとしても48万ドルから32万ドルを引くと16万ドルの差異が出ます。つまりこれが、「空き担保」と呼ばれるものとなり次の物件購入の融資に利用できます。

 実際には、必ず金融機関での査定や個人の事情などに対して考察が必要になりますが、先に買っていた物件が次に購入する物件に対して有利に働く、これが「キャピタルゲイン(物件価値)」が上昇しがちなオーストラリアだから可能な不動産購入で、資産を築くことができる仕組みとなります。また時期やロケーションを誤ると、上昇どころか需要の少なさで地域として下降か横ばいする場合もあるため注意が必要です。

複数保有の弊害はあるのか

 近年法定金利が上がり、住宅ローンも利率が高く複数の住宅保有者は融資返済で苦労をするのではないかと危惧する人もいるでしょう。8軒持っている大家業を楽しんでいる人はきっともう高金利の借金で首が回らないはずと想像する人もいるかもしれません。しかし、昨今の急激な家賃の値上げにより大幅に収入が増えたというオーナーは多いのも現実です。移民で成り立ってきたオーストラリアでは、都心より価値のある物件を早めに手に入れておくことで、都市の拡大がその価値を押し上げ、最終的には有利になりやすい背景があります。

 いずれにしても物件の価値が上がることが前提のため、物件選びは重要です。ロケーション・物件価値・時期・需要などを鑑み、堅実な物件を賢く選びましょう。不動産購入に関しては安心して任せられる専門家にご相談ください。

このコラムの著者

鶴美枝

鶴美枝

グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フルライセンス保持

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