不動産のプロに聞く 豪州不動産事情
第60回
今月の不動産の見通し
このところニュースで、オーストラリア人の収入に対し、住宅ローンの銀行借り入れの比率が異常に高く、今後金利が上昇した際の返済が出来るかどうか懸念する声が報道されています。
そんな中でも5月のシドニーにおける不動産のオークション落札率は、昨年に比べて活発な動きを見せています。中間価格帯も最近毎月のように上昇を更新しており、130万ドルを記録しました。特にローワー・ノースは92.6パーセント、次いでシティー・アンド・イースト・エリアは87.9パーセントを記録しました。
メルボルンのオークション落札率は、79.7パーセントを記録しています。エリアによってもばらつきはありますが、どのエリアも価格は上昇を続けています。
また投資家の銀行借り入れの比率も増しており、ニュー・サウス・ウェールズ州は先月に比べて33パーセントの借り入れ比率の上昇を見せました。オーストラリア全体で見ても、同州への投資が圧倒的となっています。
5年前は、シドニーの全467エリアのうち150のエリアで、中間価格帯が50万ドル以内の一戸建てを購入出来ましたが、現在はたった4つのエリア、ウィルモット、トレッジアー、レスブリッジ・パーク、ブラッケットのみになってしまいました。
シティーに近いエリアでは1ベッドルームも50万ドル以下で購入出来なくなってしまったので、郊外へ移る家族も増えているようです。
反対に、高齢になってきた方々が、住まいのダウンサイジングとして郊外の家を売却し便利な場所に移動しているので、郊外における供給と需要のバランスが取れています。

スターツ・インターナショナル・オーストラリア
取締役シドニー支店長
寺田環
NSW州不動産業者免許(フルライセンス)所持