法律相談室/クレーム・ファーミング

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第64回 クレーム・ファーミング

QLD州ボーエンのマンゴー栽培、NT州ハンプティ・ドゥーのバラマンディ養殖など、オーストラリアの“ファーマー”は海外からも高い評価を得ています。ファームやファーマーというワードに関連して、オーストラリアには決して自慢できるものではない“クレーム・ファーミング”があるのをご存知ですか?

賠償請求を行うことを英語で“クレーム”すると言いますが、弁護士事務所が仲介業者にお金を払って、賠償請求案件につながりそうな負傷者を紹介してもらうことを“クレーム・ファーミング”と呼んでいます。例えば、国内有数のある弁護士事務所がテレマーケティング会社に対し、労災や交通事故で負傷した人の紹介1件につき1,290ドルを支払っていたことが、つい最近明らかになりました。事故で負傷した人は、現実的でない賠償金獲得をちらつかせた勧誘電話やSNSによるメッセージ受信の対象となります。また、レンタカー会社が交通事故に遭った顧客リストを弁護士事務所に渡し、1人につき1,100ドルのコミッションを得ていた事実も明らかになっています。

こうした手口で過度に客集めを行う弁護士事務所があることにびっくりするかもしれませんが、信用度に欠ける弁護士事務所があるのは事実です。クレーム・ファーミングのターゲットとなる人は、不運にも事故に遭い、負傷による身体的負担だけでなく、治療費や仕事を休むことで生じる金銭問題、後遺症など多くの不安を抱えているため、そうした弱みにつけこむ勧誘電話のうまい話に乗ってしまいがちなのです。QLD州では賠償請求手続き案件ができません。WA州に関しては紹介手数料自体が禁止されています。2019年12月初め、クレーム・ファーミング撲滅のため、自動車事故保険制度が改正されました。クレーム・ファーミング問題の1つに、しばしば弁護士資格を持たない人によって賠償請求の説明がされていることが挙げられます。

それでは、もし事故に遭って弁護士のサポートが必要となった時、どうやって選ぶのが賢明なのでしょうか。一番良いのは、直接弁護士と会って決めることです。弁護士は少なくとも5年以上の経験があり(賠償請求関連)、言葉の壁がない(日本語ができる)人が良いでしょう。弁護士にこれまで携わった裁判の成功例を具体的に挙げてもらいましょう。また、法的費用について、しっかりと明確に説明できる弁護士でなければなりません。その際、仲介業者にコミッションを支払っているかどうか聞いてみてもいいかもしれません。クレーム・ファーマーから電話が掛かってきたときの一番の対処方法は、無対応ですぐに切ってしまうことです。これは、自動車事故保険の委員会が推奨している方法ですので、ぜひそれに倣いましょう。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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