裁判での勝ちワード

第70回 日豪プレス法律相談室
裁判での勝ちワード

オーストラリア英語が判決を左右することも

オーストラリア英語が判決を左右することも

 多国籍な人々が暮らす豪州ですが、法律は英語で書かれています。英語にはニュアンスの異なる似た単語や、例えば‘law’と‘lore’のように発音が同じで意味が異なるワードがたくさんあるので、単語の選び方1つで事が一転してしまう、なんてこともあり得ます。

 英国の植民地として歴史を歩んできたため、その昔、豪州の裁判所は直接、英国とつながっていました。実際、1986年にAustralia Actが制定されるまで、英国の判例が用いられ、Privy Councilと呼ばれる英国最高裁に上訴する権利もありました。当然のことながら、英国の裁判所では‘イギリス英語’が使用され、オックスフォード英語大辞典が語釈の基準でした。

 ここ20年ぐらいの間にゆっくりとではありますが、豪州の裁判所では(豪州全体がそうであるように)‘オーストラリア英語’というものを認識するようになってきました。

 2010年、豪連邦裁判所で、Kuzmanovski氏が購入した当選金10万豪ドルのスクラッチくじに関して、‘Bathe’というワードが泳いでいる人のイラストとマッチするかどうかが争われました。このケースで問題となったのは、オーストラリア英語で‘Bathe’と‘Swim’の意味は同じか、ということでした。Rares判事は、1981年初版発行オーストラリア英語辞典「Macquarie Dictionary」を参照し、オーストラリア英語で‘Bathe’は“楽しみのために泳ぐこと”だと認め、Kumanovski氏に有利な判決を下しました。

 平易な英語の使用をいち早く支持したのは、豪州の弁護士たちです。法律用語や古い英単語の使用をできるだけ避けて、一般的な言い回しや日常的に使われるフレーズを積極的に用いるようにしています。

 英国の名優で弁才優れたジョン・ギールグッドは、豪州人について「彼らの不思議な英語を気にしなければ、本当に良い人たちだよ」と言って、オーストラリアナイズされた英語の印象をうまく表現しました。

このコラムの著者

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ミッチェル・クラーク

MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。豪州法に関する日本企業のリーガル・アドバイザーも務める。高等裁判所での勝訴経験があるなど、多くの日本人案件をサポート。

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