雇用者の過失により職場でケガをした場合

日豪プレス法律相談室

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第3回

交通事故に遭ってしまった、職場でケガをしてしまった、ビザの手続きはどうしたらいい?など、日常生活では何かと問題も起こるもの。この相談室では、よくある法律相談について、QLD州で活躍する日本人弁護士・専門家が解説します。

前回、QLD州で労災にあった場合、制定法請求(Statutory Claim)とコモン・ロー請求(Common Law Claim)の2種類の請求があるということに触れました。今回はコモン・ロー請求について取り上げますが、これは雇用者の過失により職場でケガをした場合、雇用者に対して行う損害賠償請求です。

ここで言う過失とは雇用者に何らかの落ち度があることを意味し、例えば、職場の設備の安全基準が満たされていない、作業員が作業の注意事項や説明をきちんと受けていない、安全用具が配備されていないなどが含まれます。

典型的なケガの例は、骨折やじん帯の損傷、捻挫や筋違いを繰り返すことで起きる腰痛や背中の痛みなどがあります。次に請求の手順を説明します。

STEP1: 事故があった日から3年以内に労災請求の手続きを開始しなければなりません。手続きをするには、まず、ワークカバーに賠償請求通知書を届け出ます。記入と提出には専門知識が必要となるため、通常弁護士が行います。ワークカバーは請求の通知書の受け取りから14日以内に請求が有効かどうかを請求者に知らせます。

STEP2: 請求が有効と判断された場合、ワークカバーは6カ月以内に労災の被害者に事故責任の通知を行わなければなりません。これは、ワークカバーが行う事故に関する調査期間が6カ月間だということです。この期間中、本当に雇用者側に過失があったのか、あったとすればどの程度のものか、また労働者側にも責任は無かったのかといった点を調べます。この調査に基づき、すぐにワークカバーから和解金の提示を受ける場合もあります。

STEP3: その後、両者は労災法で義務付けられている協議を行います。この話し合いの結果、和解に至らなかった場合、ワークカバーと労災被害者の両者はそれぞれ最終的な和解金の提示をします。それでも和解に至らない場合は裁判所を通じてさらなる手続きを開始します。

制定法請求は、労働者がケガをした際に受け取ることができる手当の申請で、支給額も必要に応じて考慮されますが、コモン・ロー請求は過去と現在に加えて将来的な損失も請求に含むことができます。注意すべき点は、1度和解のオファーに同意すると、その後請求を起こす権利が失われてしまう点。場合によっては前者と後者で和解金の提示額が20倍近く違うこともあるので、ワークカバーから和解のオファーがあった場合は、早急に専門家のアドバイスを受けるべきでしょう。


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柿崎秀一郎
リトルズ法律事務所弁護士
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岩崎知美
リトルズ法律事務所弁護士・移民申請代理人

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