クイーンズランド民事行政審判所について

日豪プレス法律相談室

 

第33回

クイーンズランド民事行政審判所について

QCAT(Queensland Civil and Administrative Tribunal)は日常生活において発生する軽微な民事上のトラブルを迅速かつ簡易に処理するための裁定機関です。QCATでは借金や賃貸物件に関する係争などの身近な紛争をはじめとして、主に以下の分野を取り扱っています。

・賃貸物件に関する係争
 ・建設業者との争い
 ・消費者業者間の争い
 ・金銭の支払請求
 ・物的損害賠償請求
 ・隣人との紛争
 ・行政不服審査

なお、QCATが処理できるトラブルは請求金額が2万5,000ドル以下のものとなっています。

 

申請の方法──裁決までの手順

QCATの申請書はQCATのウェブサイト(www.qcat.qld.gov.au)からダウンロードでき、シンプルで記入しやすいものとなっています。申請方法は、記入ずみの申請書、証拠書類、申請費用をQCATの窓口で提出する、もしくは郵送での申請が可能です。申請書が受理された後、QCATから審理の日程が知らされます。審理の際には通訳を依頼することもできますが、通常QCATの許可がない限り弁護士は出席しません。審理の流れは裁判と似ていますが、より簡易に行われます。当事者は証拠を提出し、証人の尋問が許されます。

また、裁判と異なり裁定者が当事者や証人に質問することもあります。証人が審理に参加できない場合は宣誓供述書の提出が必要とされます。早ければ当日に裁決が下ることもありますが、通常、裁決が出るまで数日かかります。また、難しい案件の場合は審理の前に協議や調停が行われることもあります。

 

申請手続きの期限は?

手続きの種類により異なる期限が適用されます。賃貸物件に関する係争の期限は週単位であることに対して、消費者と業者の争いは損害・過失発生日から6年以内にQCATへ申請書を提出しなければいけません。各期限はQCATのウェブサイトに記載されています。

 

QCATの申請手数料は?

QCATの利用手数料は裁判所と比べてかなり安く利用しやすく設定されています。建設業者との争いなどは手数料が無料となっており、1万ドル以上の請求手続きの申請費用でも285ドルほどになります。

 

訴訟の場合の判決と同じ効力

QCATの裁決は訴訟の判決と同じ効力を持つことになります。また、QCATの裁決に不服な場合は、上訴することもできます。一方の当事者がQCATの判決に応じない場合には、さらなる訴訟手続きで解決を求めることも可能です。

上記は情報提供を目的とし、法的アドバイスではありません。


柿崎秀一郎
豪州弁護士。中央大学法学部卒。ボンド大学法務博士号取得。リトルズ法律事務所で民事訴訟を中心に法務を行っている。

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