第10回  グローバル時代の生き方

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第10回  グローバル時代の生き方

文=諸星きぼう

個人としてグローバルに活動すること

グローバル(地球規模)という言葉が定着して久しいですが、このグローバルな環境はなぜ、生まれたのでしょうか?

それは、米国における、レーガン政権時代の規制緩和による「金融」「通信」「運輸」の自由化革命によって始まり、それが世界中に伝播することで広まったと考えられます。

したがって、米国はこの3要素の優位性を武器に2度目の繁栄を築き(パックス・アメリカーナ)、21世紀をスタートさせたのです。

しかし、ご存知のように、リーマン・ショック後の金融混乱により、米国を中心とした金融資本主義はその欠陥をあらわにし、経済を危機に陥れることになり、いまだ解決していない状況です。

とはいえ、グローバル化という流れは止まることなく、新興国を巻き込んでその広がりを大きくしています。

こうしたグローバル化が進む時代には、私たち個人は「国家に守られた個人」として生きるのみならず、「個人としてグローバルに活動すること」が求められるのです。

グローバルに活動することが求められるといっても、誰もが世界中を飛び回ることができるわけではないと思われる人もいるでしょう。

しかし、インターネットの普及により、私たちは世界中のあらゆる企業を相手にショッピング(売り手同士を競合させ、しかも品質向上させること)ができるようになったので、広い意味でのアービトラージ(同じ価値を持つ商品の価値差を利用して利鞘を稼ぐこと)という手段を手に入れたのです。

したがって、消費者ニーズを直接発信することができるようになり、より生活向上の消費が容易になりました。

ただし、消費者ニーズを的確につかんだ企業は独り勝ちする一方、従来型の企業は疲弊し、全体として企業収益が減少する中、大半の従業員としての私たちの収入も減少することになってきているのです。

グローバルに運用しなければならない時代

収入が減ってくる中、私たち個人に求められていることは、「運用力」を磨くことです。残念ながら、私たち日本人は投資教育というものを受けたことがないため、投資に尻込みするか、逆にろくに勉強もしないで利回りが高いとか、短期で儲けられるといった金融機関の宣伝に乗せられて投資に失敗し、かえってお金を失ってしまうという例が絶えません。

しかも、日本では「失われた20年」と言われるように、この20年、ほとんど経済成長することなく、遂にGDPでは中国に抜かれるという有様です。さらには今後の成長も今のリーダー不在の状況では望むべくもありません。よって、国内での投資で高い運用利回りを得ることは非常に難しく、成長する海外の国々に活路を求める国際投資が求められるのです。

にもかかわらず、国内には海外の普通の情報ですらまともに入ってきませんから、海外投資には二の足を踏む人も多いようです。知らない、分からないものには投資しないという態度自体は間違っていませんが、必須となる海外投資に目を背けることができない時代なので、避けて通ることはできません。

そこで、海外投資ということを考えるための基礎をこれから書いていきたいと思います。

さて、海外投資を考える上で、最も重要なことは、「強い通貨に投資する」ということです。

そこで当該通貨がなぜ、強い、強くなるのかということを知る必要があります。強い通貨は、その地域なり通貨主権を持つ国家が魅力的だから、その通貨に投資され、資金が流れるのです。

国際間で資金が流れる要素は、次の表の通りです。

①ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)
②金利差
③信用リスク
④国策
⑤財政収支

これらの要素により、時には複合的に絡み合い、世界中をマネーが飛び回るのです。こうした地球規模でのマネーの流れ─グローバル・マネー・フローをつかむことが海外投資の成功の要因となるのです。

さて、国際間でのマネー・フローが起きる要因は、それは取りも直さず為替を動かす要因であることがお分かりになるでしょう。

海外投資において為替が重要であることは言うまでもありませんが、名目的な為替レートだけを見ていると判断を間違えます。

というのも、ほとんどの人は自国通貨に換算して資産評価を行うのですが、もし自国のインフレが激しければ、名目的に自国通貨換算で資産が増えても、インフレで減価し、実質的にあまり増えていないということがあります。

裏を返せば、投資先の通貨がインフレ通貨であれば、いくら名目的に増えても実質的に増えていないということです。

したがいまして、海外投資先の条件としては、成長期待が高く、インフレが適度に抑えられているということが非常に重要なのです。

だからこそ、オーストラリアはかつてとは違ってインフレが適度に抑えられ、それなりの利回りが得られるので、投資先として魅力があるのです。

今月の 得ネタ

マレーシアが熱い

近ごろ、日本ではマレーシアに対する関心がかなり高まってきています。

ロングステイ財団の調査によると、日本人のロングステイ希望滞在先第1位は2006年からマレーシアとなっています。それまで第1位だったオーストラリアは2位となり、09年にはハワイに抜かれ3位に、10年はタイにも抜かれ4位まで落ちてしまっています。

この彼ひが我の差は何だろうと考えますと、オーストラリアは物価が高く、ビザの条件も厳しく敷居が高過ぎるのだと思います。

これに対してマレーシアは、物価が日本の3分の1程度、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)というビザの要件が緩いこと、そしてインフラが充実していることが挙げられます。

また、これまで同根のシンガポールの発展と比較して遅れているという印象を持たれていましたが、マハティール元首相を中心とした強力なリーダーシップの下、強烈な発展は目覚ましく、2020年に向けて所得を倍増させるという国家目標を抱えており、とても高揚感がありますね。

このマレーシアとオーストラリア、とても似ていると私は感じています。旧英領であったことで社会インフラも同じですし、資源国であることも同じ、のんびりした国民性まで似通っています。

中国人が移住や資産逃避を目的として、不動産を買いあさっているところもそっくりです。しかも、マレーシア不動産は豪州と同じような右肩上がりの価格上昇をしていますが、水準自体が安く放置されています。何しろ、1平方メートル当たりの住宅価格で比較すると、タイ、フィリピン、何とカンボジアよりも安いのです。

私はオーストラリアをとても気に入っておりますが、オーストラリアからマレーシアに、これから人もビジネスも流れていくかもしれません。もっと日本でもオーストラリアを売り込む動きをする必要がありますね。

 


著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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