第24回 父から息子への手紙③

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第24回 父から息子への手紙③


文=諸星きぼう

 
(前回からの続き)

ここまで来たら、頭の良い君のことだから、君の時代がどの時代になるかは分かるよね。お父さんの時代は「商の時代」の末期なのだから。

次に考えなければいけないことは、その時代に君が何をなすべきかだよね。何ができるか、かもしれない。

まさか「武の時代」だから、喧嘩に強くなるためにボクシングとか空手をやるとか、軍人になるために自衛隊に入る、あるいはもうちょっと賢く防衛大学校に入って軍隊の幹部になるなんて考えていないよね。

もちろん、そういう力も大切だけど、もっと大切なことがある。武力を行使することは別の人に任せて、その武力をどう使うかを教える道もあるよ。

それを説明するために、もう1度江戸末期に戻ってみよう。幕末のころ、尊王攘夷運動とか尊王倒幕運動が起きる前に、そうした考えの元になることを教えた人物たちがいたんだ。その1人が吉田松陰と言って、29歳にして幕府に処刑されてしまったんだけど、彼の松下村塾で学んだ志士たちが日本を変えていったんだ。何が言いたいかというと、世の中の方向性を決めるために、できることがあるんじゃないかということ。

話は変わるけど、君が当たり前のように行こうと考えている東京大学について話しておこう。東京大学は明治10年に官僚を養成するためにできた学校なんだ。そして、その姿勢はあまり変わっていないんじゃないかな。東大の卒業生が官僚となって今も日本を動かしているけど、日本が衰退していくことを止めることはできないでいる。組織としてだけど、過去の成功にしがみつき、新しく変革することができなくなっているのだと思う。もう1つは、官僚とは公僕と言って、公(おおやけ)に使えるという意味があるのだけど、「商の時代」に入って、官であるにもかかわらず、お金を求めてしまったのだね。だから、平気で天下りが横行し、天下り先に多額の税金をつぎ込むことができてしまうんだね。もちろん1人ひとりの官僚は優秀であり、高潔な人もいるかもしれないけど、組織としては「商の時代」に毒されてしまったのだね。

ちなみに、開成学園は、東大設立に先立ち明治4年に、共立(きょうりゅう)学校という名前で設立された。あのNHKドラマ「坂の上の雲」で正岡子規や秋元真之、そして夏目漱石などを輩出した学校だね。こうした時代の先端をゆく人々と出会う確率が高いという意味では、開成や東大を選択するというのもありかもしれない。

でも時代は、グローバルの時代。日本国内でのチャンスだけを考えていては、井の中の蛙になってしまう。

君には、もっともっと開かれた可能性が広がっているんだ。

だから、これからお父さんが話すことは、お父さんが考える方法論だ。これに従う必要はないし、本来ならば、君自身で考え選択し、行動すべきだと思う。ただ、君はまだ10歳であり、お父さんの生き方にある程度、従わなければならない部分がある。特に住む場所などはそうだ。そうした制約下において、お父さんが君にしてあげることができ、君が現在、選択できることをアドバイスしよう。

まず、君がお父さんの年齢になった時にどうなっているかを想像してみよう。想像できたかな?そこからさかのぼって40歳の時は?30歳の時は?そして20歳の時は?

きっと君は難しい、できないと答えるかもしれない。でも、君の未来は、君の想像から生まれるんだよ。未来に、自分がどうなっていたいかということを考えてみよう。すぐにはできないかもしれないけど、それが君の軸になるのだから。それが見えれば、君が今何を勉強したらいいかも分かってくるし、そうなるべく行動するようになる。そうすれば、君の作った、自分の未来像は実現することになるのだよ。自分の未来は、与えられるものではなく、自分で創り出すものなのだから。

さて、ここからが今の君への、具体的なアドバイスになる。

小さいころから、お父さんは君に「算数と英語はしっかり勉強しておきなさい。そのほかは大きくなってからでも大丈夫」と言ってきたね。

それは今も変わらない。


これからの時代の変化の中で重要になってくるのは、世界の人々とのコミュニケーション能力だと思う。そのための道具として、言語というのは決定的に重要になってくる。

だから、英語に加えて、中国語、スペイン語ができたらいいね。そうすれば、世界の80%以上の人々と話すことができるのだから。

言葉を覚えるのに1番いい方法を知っているかい。それは、その言葉が話されている環境に身を置くことだ。

そのために、今、マレーシアへの移住を考えているんだ。マレーシアではマレー語が母国語だけど、英語も第2外国語として教育されていて通じる。また、中国系の人々も多く、中国語と触れる機会も増えるだろう。日本にいると宗教を意識することはあまりないと思うが、世界はキリスト教圏とイスラム教圏、そして仏教圏と大きく分かれている。マレーシアはイスラム教の国だけど、ほかの宗教にも寛大であり、自由な信仰が認められている。イスラムの国々は現代では遅れた国が多いけど、世界人口の中で最も大きな比率を占めているんだ。だから、これからはイスラムの国の人々とのコミュニケーションが重要になってくる。そういう意味でも、マレーシアという国はとてもいい環境だと思う。

マレーシアに行ったら、日本における受験勉強のような勉強は難しくなるかもしれない。でも、もっと大きな視野で勉強ができるようになると思う。早く英語コミュニケーションができるようになって、インターナショナル・スクールに行くようになってほしい。そうすれば、どのようなタイプのスクールに行くかによって違うけど、さまざまな人種の人たちと接点を持つことができる。さらには、大学を選択する時に、欧米の大学への道も近くなるんだよ。

お父さんが君に期待していることは、インターナショナルな(国際的な)人材になることなんだ。グローバルな(地球規模の)視点で物事を考え、行動できるようになってほしいと願っています。

 
2012年、夏
父より(最愛の息子へ)

著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る