第19回 2013年世界経済・マーケット展望

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第19回 2013年世界経済・マーケット展望


文=諸星きぼう

2012年11月の衆院解散宣言、解散、安倍自民党政権成立という流れの中、強烈な円安となっていますね。ドル円は80円割れの水準から89円台に乗せ、豪ドル円は82円台から93円台に乗せています(1月24日現在)。

この調子で円安がどんどん進んでしまうのかと心配(中には喜んでいる人)する方もいらっしゃいましょう。

今回は年初ということもあり、13年の世界経済・マーケット展望を書きます。

2012年相場展望の結果

まずは昨年の結果です。

世界経済については、欧州危機の深化、欧州経済のマイナス成長や雇用増が進まず米国経済が失速するといった見方をしておりました。

しかし、欧州問題はまだまだ解決しておらず、時折クローズ・アップされる場面は何度かありましたが、深刻にはなりませんでした。

米国経済については、「年末からいくぶん明るさを取り戻しているものの、雇用の改善は遅々として進まず、米国の成長を支えているものはドル安効果と考えられます。(中略)したがって、時間の経過とともに米国経済は失速を始めると思われます」と書きました。しかし、雇用が十分満足するような増加を見せはしないものの、米国経済は低成長ながらも安定を続けております。これには個人消費の寄与が大きいと思われます。住宅指標にも改善が見られています。

それでも、QE3が実施されました。景気悪化の最終手段として行うものと見ていましたが、景気悪化の予防として実施されました。もはやヘリコプター・ベンは大量資金供給の弊害には目もくれず、FRBは失業率の改善を目標とする政策を打ち出すという新たな展開を見せています。

一方、日本経済については、「欧州危機や円高傾向で景況感が悪いものの、震災復興が本格化してくる中で年央くらいには景況感に明るさが見られるでしょう。それを見越して、日本株式は例年のように春先(3月ごろ)に反発局面を迎えるでしょう」と書きましたが、まさにその通りになり、株価は3月26日に日経平均高値1万255円を付けました。

成長率も1〜3月期にプラス成長となりましたが、その後は2四半期連続マイナス成長となり、10〜12月期も結果はまだ出ませんが、日本経済の景況感は悪化している模様です。

尖閣諸島を巡る中国との確執により、輸出が激減していることも経済の足を引っ張っています。

それを反映して株価も下落、日経平均は8,200円台まで付けましたが、そこでは踏み止まり8,000円割れは回避できました。これは景気とは裏腹にQE3期待から米国株価が堅調であったことによるものと思われます。

そんな中、衆議院解散、そして総選挙で自民党が勝利し、「脱デフレ」政策として、日銀に大幅な金融緩和が求められ、ついには物価上昇率2%という目標が設定されようとしています。

これにより大幅な円安期待が生まれ、実際ドル円は89円台まで乗せてきました。大型補正予算も組まれるとのことから景気悪化を食い止められる可能性が出てきました。

新興国については、メイン・シナリオで「新興国は既に景気減速が始まっており、利下げ局面に入りつつありますが、今後も利下げを余儀なくされ、インフレとの併存に苦しむことになるでしょう」と書いた通り、景気減速しています。中国は8%の成長割り込み、インドは5%を割り込み、ブラジルは1.5%成長という見込みです。

2013年相場展望

13年のテーマには、フィスカル・クリフ(財政の崖)を通過した後の米国経済の行方、欧州債務危機の行方、中国経済の回復の可能性、日銀のスタンス変更の真偽、そして円安転換がなるか、といったことが挙げられます。

米国経済につきましては、フィスカル・クリフの回避を楽観視する見方が多いものの予断は許されません。最終的には回避する可能性が高いと思われますが、その確定が長引けば長引くほど企業は投資を控えますので、米経済に悪影響を与えることになります。

12年は個人消費が米経済の2%程度の成長を牽引しておりましたが、失業率が若干改善したとはいえ高止まったままで個人消費が旺盛だったのは、株式相場など資産価格が上昇していたことと、数年にも及ぶ失業手当の支給によるものと思われます。

しかし、失業率が高止まったままで、その個人消費がいつまでもつのかは予断を許さないと思われます。やがて、米経済は次第に失速する、もしくは失速するという懸念が台頭し相場が急落する場面があるものと考えております。

そうなった場合に、FRBに残された手段はさらなる資金供給量(国債などの資産買い取り額)をさらに増やすしかなく、それがドル安懸念につながる恐れが出てくるかもしれません。

また、債務上限問題に揺れる可能性もあります。これが米国債の格下げにつながり、株価急落という場面もあるかもしれませんね。

楽観的に見れば、13年も12年同様景況感が上がることなく、横ばい維持ということかもしれません。ただ、相場が下がる場面があれば、逆に14年、15年への景気回復への期待から、年後半相場の反転・上昇につながっていく可能性もあります。

13年とはそういう年でもありますが、15年になるまでは大きな飛躍はないでしょう。

欧州問題については、財政統合までの長い長い道のりがあり、それが達成されるまで危機は何度も起きるでしょう。ユーロ圏経済は、12年はマイナスになり、財政緊縮のため13年も厳しい経済状況が続くと思われます。

3年以内の国債の無制限買い取り制度で安心感が広がったのは良いとしても、改革の手が緩んでしまうのが欧州の現状です。

まず2月にイタリアで総選挙がありますが、財政緊縮反対派が勝利すれば、またひと波乱起きることになります。

4〜5月にはギリシャ、スペインの国債の大量償還もあります。しかし、波乱、危機が起きないとユーロ首脳は動きませんから、危機勃発→統合への1歩進捗→相場安定→危機勃発といったサイクルが13年も繰り返されそうです。

中国経済については意見が分かれるところですね。今のところ13年は、中国経済は成長率を8%台に戻すという意見が多いようです。新首脳陣になって、経済復活は至上命題でしょうから8%程度の成長は達成可能でしょう。実際、凍結されていた鉄道などの公共事業が推進されています。しかし、13年は横ばい、ないしは若干の成長加速といった程度と見ています。

日本の金融政策については、完全に方向転換をしたと判断しても良いでしょう。しかし、市場が先走って期待しているほどドラスティックな金融緩和策は自民党も要求しないと見られますので注意が必要です。

大型補正予算も組まれることから、春先は景況感が上がると思われますが、例年のごとく腰砕けになる可能性が高いでしょう。

米国経済が失速すれば、再びマイナス成長に陥ることになるでしょう。円安についても、一方向では進まず、マーケットが下落するリスク・オフになれば、再度円高局面を迎えることもありましょう。

ただ、こうしたリスク・オフ局面を最後に、日本マーケットは17年に頂点を迎えるであろう長期上昇局面に入っていくものと見ており、13年終盤には上昇を始め、長期円安局面が始まるものと思われます。

なお、個別マーケットの展望・予測などにつきましては、当社HP(www.ideal-japan.com)をご参照ください。

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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