住宅価格の行方

オーストラリアの金融事情

オーストラリアの金融事情

宇都 重信
Uto Insurance & Financial Services P/C ACN No. 051 973 105

住宅価格の行方

サブプライムに始まった世界の金融、経済の危機の中でアメリカ、ヨーロッパ諸国、日本がリセッション(景気後退)入りする中、オーストラリアはまだなんとか持ちこたえている状況です。

しかし、住宅価格に関してはかなりきわどい瀬戸際に立っているようです。

連邦準備銀行(RBA)は過去3カ月の間に公定歩合を2.0%も下げてきました。また、政府は住宅購入補助金「ファースト・ホーム・オーナーズ・グラント」を2倍に引き上げるなどの対策も行っています。一般的に、住宅件数の不足は住宅価格の上昇につながりますが、今回は事情が異なるようです。

その理由には以下の要因があります。

1. ホーム・ローン利率の低下にもかかわらず、新規ローンの申し込み件数、住宅セールス件数、オークション・セールス成立が低下。これらの数字は需要の下降を表しています。

2.高すぎる住宅価格と低いアフォーダビリティー(購買力の余裕)

過去80年の(GDP)平均経済成長率(3.1%)とともに値上がりしてきた住宅価格は1990年代の半ばから、それを上回り、現在23%の超過価格になっています。またこの国の平均的収入の比べると平均的住宅価格は22%高いと試算されています。投資額に対する収入配当率をYield(イールド)と呼びますが、現在のイールドは下記のように、住宅価格が高いためそのイールドもほかの運用に比べ低いことになります。そのためには25%価格が下がる必要があります。

【オーストラリアのイールド】
・一戸建て住宅の(賃貸収入)=3.6%< ・ユニット=5.0% ・コマーシャル物件=6.5% ・不動産証券=10% ・平均株式配当=7.0%

3.懸念される失業率

現在の世界的不景気に伴いこの国でも失業者の増加が懸念されます。2010年には現在の4%台から6.5%以上になると予測されています。この国では過去80年代と90年代初期の不景気の際の失業者増加の際、住宅価格はそれぞれ12%、20%下落しました。現在のインフレは当時ほど高くはないものの、平均的ローン額が非常に高いため、失業率は敏感に不動産価格に影響し、さらに消費の停滞に発展します。

RBAは住宅価格のクラッシュはないものの、ある程度の下落が予想されると懸念しています。既に今年に入り2〜4%の値下がりが始まっていますが、今後さらに10〜15%の値下がりが一部専門家の間では予想されています。今後住宅の購入を予定している人は慎重な計画が必要となりそうです。

情報=Shane Oliver Amp Capital Chief Economist

この記事は情報提供のみを目的としています。

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