クレジット·カードの破産宣告をしたら借金が全部消えるって本当?

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Q

クレジット·カードの利用限度額を超えましたが、しばらく支払いができていません。破産宣告をしたら借金が全部消えると聞いたのですが、本当ですか。(20代男性=学生)

A

破産には、自らの破産申し立てで行う自己破産、または債務者に対する債権者からの申し立てによる破産宣告の2種類があります。債権者による手続きは5,000ドル以上の負債で可能となります。いずれの場合も、破産期間は3年と1日間ですが、状況次第では同期間は延長されます。破産すると任命を受けた管財人(Trustee)が、債務者の負債と資産状況を調査し、債権者との連絡先になります。管財人の主たる任務の1つは負債の清算で、破産者の不動産、車、さらに株などの投資財産を含む所有資産を整理·売却します。宝くじなどの懸賞金、相続で得た贈与なども清算対象になり得ます。

破産が招く深刻な影響は、全国個人破産索引(National Personal Insolvency Index)に氏名と共に破産事実が記載されることでしょう。これは誰でも検索することができ、個人名、生年月日、住所などが公表されます。生涯、抹消されることはありません。よく誤解されることですが、破産で全ての負債が帳消しになるわけではありません。破産で支払い義務がなくなるのは債務超過となった無担保債務のみです。家や車など有担保債務については、抵当権者が優先され、余剰については管財人による清算対象となります。また、破産していても、裁判所からの罰金、子どもの養育費、大学ローン、破産後に負った債務などについては返済・支払い義務を逃れることはできません。

また、破産者の収入については、規定年収を超える部分の半分は返済義務の対象となります。規定年収(税引後)は年2回変更され、単身で5万8,331ドル(2月上旬時点)とされています。破産期間中は、自身の従事する仕事に大きく支障をきたすことがあります。あらゆる資格やライセンスには保持条件として登録団体に通知する義務があります。剥奪されるライセンスもあります。また、トラスト口座の使用が禁じられますので弁護士や会計士、不動産業者などの業務遂行には多大な影響が生じます。また、法人の取締役に就くこともできませんので、個人経営のビジネスでは、取締役の交代が余儀なくされます。また、破産事実を第三者が検索·確認できるようにするため、会社名やビジネス名に破産者の名前を使用する必要があります。そうでない場合、関係者すべて(顧客·取引先·仕入れ元など)に自身の破産事実を通知する必要があります。

また、パスポートは管財人によって保管されることになるので海外に行くことも自由にできません。必要に応じて管財人に書面で通知をし、許可を受ける必要があります。許可なく渡航したり、許可内容と異なる渡航をしたりした場合、破産期間の延長や懲役刑の対象となります。破産期間が終わっても、その後2年間は、信用履歴(Credit History)に記録が残されます。そのため、借り入れやクレジット·カード申請などに大きな影響が出ます。

生活に多大な影響を及ぼす破産手続きはあくまでも借金問題に対処するための最終手段として捉えるべきです。その他の救済策について、弁護士等と十分に検討した上で選択すべきであることは言うまでもありません。本記事は、法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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