家族法手続きに関して頻繁に受ける質問をまとめ

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Q: ①日本で結婚しましたが、オーストラリアで離婚はできますか? ②親からの資金面での援助はそれぞれのものと判断されますか? ③別居後、子どもを日本に連れて行ったり、日本で育てたりすることはできますか?
 
(29歳女性=主婦)

A:今回は家族法手続きに関して頻繁に受ける質問をまとめたいと思います。
 

①オーストリアでの離婚に関して

離婚するにはまず、結婚の事実がなくてはなりません。オーストラリアの婚姻法(the Marriage Act 1961 (Cth))により、外国で執り行われた婚姻については、当該国の法律に従って行われていればおおむね認められることになっています。したがって、当該国で禁じられた婚姻(例えば近親間の婚姻、重婚など)でない限りは結婚の事実が認められ、もちろんオーストラリアの書式に従って離婚手続きを行うこともできます。

 

②親からの資金面での貢献に関して

必ずしもそうではありません。(他方の)親からの援助は、「贈与」と「貸付」として真っ向から対立する理論が展開され得ます。また、例え借用書などが存在し当事者間のもともとの意図が客観視できる場合であっても、結婚期間が長くなればなるほど、他方の(つまり援助を提供した親の子でない方の)配偶者もその財産の維持やその価値の上昇に直接的、あるいは間接的に貢献したとみなされる理論の主張がより一層可能になってくるため、完全に貸付であったとして切り離すことが困難になってきます。

ただし、分与の対象となる財産に対する親からの援助の金額の割合によっては、財産を構築する上で他方の配偶者に比べて貢献度が明らかに高いと認められるでしょう。また、援助を受けた時期が別居直前であった場合などは、完全に切り離すことが認められる場合が多くなるでしょう。

 

③子どもに関して

配偶者がオーストラリアに在住する限り、子どもを日本で育てることについては、相手の許可が得られなければ非常に困難です。子どもが自分の親と容易に面会できない状況に子どもを置くことは「子どもの持つ親に面会する権利」を剥奪する行為と考えられるため、他方配偶者の許可がない限り海外はおろか、他州に移ることさえ認められないのが一般的です。
日本にホリデーなどで一時的に帰国する場合であっても同じことです。相手の承諾が得られない場合には“リロケーション・オーダー(Relocation Order)”とされる判決を取得すべく裁判所で申請手続きを行い、日本での居住、あるいは渡航が必要な理由を明確にした上で、主張を行います。

判決は相手側の意向に大きく左右され、さまざまな条件が出される場合が多く、例えばホリデーとしての出国の場合にはオーストラリアに子どもを戻すことを保証するため高額の預託金を相手側に預けることなどが条件とされることがあります。また、現時点では日本はまだ「国際的な子の奪取の民事面に関する条約(the Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction”)」の加盟国ではないため、対象国が日本である場合、当地の家庭裁判所は安易には認めない姿勢を貫きます。したがって裁判所での審理はとかく長期にわたることが多く、また、ほとんどの場合審理が終わるまで子どもに出国禁止命令が出されるでしょう。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

 


 

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山本(青木)智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメン バーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している

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