テナントと大家の権利や義務

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Q: 住宅不動産を賃貸する上でのテナントと大家の権利や義務を教えください。
 

(40歳会社員=男性)

A:前回に続いて今回も、住宅不動産賃貸契約書(The Residential Tenancy Agreements)が存在する場合(つまり、シェアハウス、ホームステイ、間借りなどは対象外となる)における両当事者の権利義務についてまとめます。今回はテナントにとって最も気になる、賃料支払いの義務についてまとめます。

テナントは住宅不動産賃貸契約書に基づいて正確な賃料を前払いで支払う義務があります。この支払いに対して大家は、大家指定の口座への直接振込、あるいはテナントの給与天引きで賃料が支払われる場合を除いてレシートをテナントに発行する義務を持ちます。

テナントが賃料の支払いを怠り、滞納が14日間を超えた場合、大家はテナントの契約不履行に基づいて契約解消通知を送付することが可能となります。テナントは通知の日付けから14日以内に物件から退去することを義務付けられますが、滞納していたことに正当な理由があり、賃貸契約の継続を希望する場合にはその理由を速やかに大家に申し出、通知の取り下げを交渉することが得策です。大家としても次のテナントを見つける手間やコストを避けるためにテナントとの交渉に応じることは大いに考えられます。

テナントからの合意、および事前60日間の通知がない限り、契約期間中に賃料値上げをすることはできません。契約が満了した後、大家は60日の事前通知をすることでいつでも賃料値上げをすることができるようになります。この事前通知は絶対で、これが送付されなかった場合には、テナントは値上げ分の賃料の払い戻しを受けることができます。この通知が送付されることを前提として、大家が行う値上げの頻度や金額についての決まりはないため、大家はいつでも、またいくらでも賃料値上げができます。

関連不動産賃貸市場を鑑かんがみた上で値上げ幅が度を越えていると思われる場合には、まず大家との直接交渉を試みることです。大家がそうした交渉に応じない場合は裁判所(Consumer, Trader & Tenancies Tribunal)で裁定を求めることになります。裁判所で値上げ賃料が度を越えていると認められた場合には、期限付きで賃料の上限額が決定されます。逆に度を越えているとするテナントの主張が認められなかった場合には、値上げ賃料の支払いが命じられることになり、裁定から60日後、新賃料の支払い開始を余儀なくされます。

また、損壊、修繕工事などの理由により物件の使用権が部分的であっても損なわれた場合には、賃料の減額を受けることができます。程度によっては契約の解消を要求することもできます。このような場合常に当事者間の交渉が最善策ですが、合意に達しない場合は裁判所での裁定を求めることになります。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

 


 

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山本(青木)智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys
 

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメン バーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している

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