相手の居所がわからない場合の離婚手続き

Q 9年前にオーストラリア国籍の男性と結婚しました。オーストラリアで結婚した後、1年日本で暮らしましたが、その後オーストラリアに戻り7年間生活をしました。それから私は日本に1人で帰国し1年経った現在、正式に離婚することを決意するに至りました。しかし夫は離婚を避けているのか、現在の自分の住所を私に明かしません。相手の居場所が分からないのに離婚ができるのかと不安です。
(35歳主婦=女性)

 

A 離婚申請を行うためには、夫、あるいは妻が豪州国籍保持者であること、または豪州を本居とみなし在住していること、または豪州に過去12カ月間滞在していることとする条件のうち、いずれか1つを満たす必要があります。したがって、ご質問者の場合、ご本人は日本に在住しておられても、夫が豪州国籍保持者であれば、豪州で離婚(代理)申請を行うことは原則的に可能となります。

離婚申請は両当事者が共同で行うことも、いずれかの当事者が単独で行うことも可能です。単独申請の場合、裁判所に提出した書類を他方当事者に対して送達する義務を申請者が負うことになり、送達に関する要件は場合によっては複雑となり得ますが、そのほかについては共同、単独申請いずれの場合も基本的には同様の手続きとなります。

また、子どもが存在しないケースの場合、当事者の裁判所出廷は要求されませんので、ご質問者に子どもがないということを前提にすれば、海外からの申請も受け付けられます。また最近はオンライン申請も可能になりましたので海外からの離婚申請がより簡単になっています。

ただし、離婚申請が行われている事実を当事者が認識していることが原則とされており、上述の通り、特に単独申請の場合、申請者が送達義務を果たしたことの証明が必要とされます。

しかしながら現実には、ご質問者のケースのように相手側当事者の居場所が分からない、消息が不明であるといった状況も珍しくはありません。そのような場合には、その状況を裁判所に対して説明し、送達義務の免除を要請する必要があります。

その要請には離婚に関する申請書類とは別の書類を作成、提出することになります。状況説明のためには、離婚申請を行っている旨を新聞告知を行った事実、被送達者が住んでいると考えられる住所、勤務していると考えられる職場、親戚、友人宅に書類を送付した事実の証明などを宣誓供述の形式で行う必要があります。この送達義務免除申請をするには離婚申請とは異なる申請作成と手続きが必要となり、離婚審問前(離婚申請と同時に提出も可)に裁判所に提出されることになります。審査は送達義務免除申請の審査も離婚申請と同時に行ってもらえるように手続きを行うのが一般的です。

上述の事柄から、質問者の場合は送達義務免除申請のための書類送付先は、豪州で生活していた時に住んでいた住所、夫の職場、親戚、友人宅などが考えられます。さらに夫が現在住んでいると考えられる州の新聞に告知を行うことも有効な証明方法となるでしょう。また、最近では状況によってはEメールやFacebookなどでの当事者間のやり取りで先方への送達の有効性が認められることもあります。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys
NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している。

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