離婚申請における別居の定義

Q 私は結婚14年目の夫とこの3年ほど不仲になり寝室を別にしていますが、基本的には夫は頻繁に国外出張で家を空ける以外住んでいる家はほかになく、子ども(12歳と8歳)のために学校行事にもともに参加しますし、食事も4人でとります。夫にとってみれば炊事洗濯などをせずにすむ今の生活が心地良く、子どものこともあるため離婚には反対のようですが、私としては離婚を考えています。2年前から家庭経済は別にしていますが、過去3年の間にほんの数回性行為がありました。このような関係でも家庭内別居と言えるのでしょうか。
(45歳主婦=女性)

 

A 「修復不可能な婚姻関係=irretrievable breakdown of marriage」であることの証明には「申請日よりさかのぼって12カ月間別居が継続していたこと」が必要です。この証明ができればどのような生活形態であっても離婚申請は可能です。質問者の場合、夫が離婚に合意していないのであれば家庭内別居は存在していなかったとして申請に対抗してくることが考えられるでしょう。

家庭裁判所は過去の判例で、別居を証明するには「物理的な別居(行為)、別居の意志(意志)とその意志の相互理解(認識)=physical separation, intention to separate, and communication of the intention to separate」が必要と言っています。現行の家族法では「別居=separation」の言葉は定義されておらず、解釈は個々のケースで裁判所の判断に委ねられています。一見、質問者には困難な要求のように見えますが、そのほかの多くの判例を検討すれば実際には文字通りに解釈されていないことが分かります。

この「物理的な別居」については、単に物理的に居を別にすること以上に「人生におけるパートナーシップの崩壊=breakdown of the partnership of life」の事実が重視されます。つまり、配偶者からの完全な独立が証明できればよいということです。したがって3年前に寝室を別にしたという事実、2年前に家庭経済を別にしたという事実は上述の3つの要件の「行為」に値すると言えます。

2つ目の「意志」については、通常いずれかの当事者が別居の意志を形成、その意志に基づいてその当事者、あるいは両当事者が何らかの行為をするというのが典型です。3つ目の「認識」については通常「意志」と関連してとらえられ、そうした意志の疎通は口頭によるもの、行為により示唆されるもののいずれかがあるとされます。質問者の場合、寝室を別にしている、また2年前に家庭経済を別にしたという事実が十分に離婚を前提とした別居を開始する「意志」と「認識」を双方が少なくとも2年前に持っていたことの証明になります。

こうした証明義務は申請者におかれ、当事者間の生活形態がそれまでの夫婦のものとは異なる事実をサポートする証拠を提出する必要があります。これには例えば、隣人、友人、親戚などからの客観的な意見の提出が要求されます。これには当事者間がその意志に基づいて行動していることが客観視できるか否かが問われるわけで、当事者が公言しているか否かが問われるわけではありません。

同居が再開する可能性があると見られる場合は申請却下につながりますが、過去3年間における数回の性行為が同居再開の可能性とみなされるとは思えません。そうした行為は「婚姻関係とは無関係の単なる欲求の充足=acts of self gratification unrelated to the marriage relationship」であると判断された例が過去にあります。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys
NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している。

 幌北学園 blancpa novel-coronavirus nichigowine  kidsphoto

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る