高校生のベビーシッターを雇うにあたって法的な賃金、時間制限は?

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Q: 10歳以下の子どもが3人います。知り合いのお子さん(ハイスクール生徒)にベビーシッターをお願いしたいと思っているのですが、ベビーシッターとしてよその家で子どもたちの面倒を見ながら留守番をするのが法律的に許される年齢というのはありますか ? また支払わなければならない最低の時給や時間制限など(夜何時までしかダメなど)があったら教えてください。
(36歳女性=主婦)

A: こうしたプライベートでの「お手伝い」の依頼は身近にある話ですが、法的には雇用関係が結ばれることになります。ご質問者の場合はカジュアル(必要に応じて仕事が依頼されることを前提とした不定期採用)としての雇用関係が成立することになるでしょう。また、NSW州では労働可能最低年齢が規定されていませんので、たとえ書面による雇用契約が存在していなくとも合法的な雇用関係が成立しているとみなされ、雇用主であるご質問者は正当な賃金の支払いも含め、最低労働基準を満たすことが要求されることになるでしょう。

最低労働基準の設定には職種・職務内容に応じて規定される「アウォード(Award)」が可能な限り、根拠とされます。アウォードにはさまざまな職種・業種の名称が付けられたものが数多く存在し、雇用関係を結ぶ際には、まず被雇用者が従事する職務内容に照らし合わせて該当するアウォードを探すことから始まります。「フェア・ワーク・オンブズマン(The Fair Work Ombudsman)」に問い合わせたり、ウェブサイト(www.fairwork.gov.au)の一覧から探したりすることができます。

筆者が調べた限り、家庭内での保育に従事することを前提としたベビーシッターにはっきりと該当するアウォードは存在しません。その場合には、基本的に当事者間の合意が契約内容とされることになりますが、この際にも似た職種に該当するアウォードの内容を参考にし、合意内容の妥当性の根拠とすることが適切でしょう。

オーストラリアでは成人(21歳以上)の1時間当たりの最低賃金は現在15.51ドルと規定されており、アウォードが存在しない場合もこの点は遵守される必要があります。また、カジュアル雇用の場合には(有給休暇などがないことを補償する目的で)この賃金に22%が上乗せされることになります。

未成年者の最低賃金についてはほとんどのアウォードで年齢に応じて段階的に設定されていますので、そうした段階設定を参考にしながら雇用する高校生の年齢に見合った賃金を当事者間で決定することをお勧めします。高校生の経験や要求される職務内容を同時に考慮する必要もあるでしょう。

また、「未成年者だけでの留守番が法的に許されるか」というご質問に対しては、「留守番させてよいとする最低年齢」などを規定する法律は存在せず、留守番をさせて問題ない未成年者の年齢の判断はそれぞれの家庭での裁量に委ねられている、ということが回答になります。

関連法律上、子どもの保護監督の一切の義務と責任はその親に与えられています。またNSW州では、子どもが危険であると思われる環境に置かれ、適切な保護監督者がその場にいない場合には、子どもをその場から保護する権限を警察などに与えており、その子どもの親が刑事告訴され得ることも規定しています。

つまり、雇用する予定の高校生が適切な「保護監督者」であるか否かを判断するのは結局的にはご質問者ご自身の責任ということになります。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

 


 

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山本(青木)智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys
 
 
NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している

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