労災保険

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Q:シドニーで事務所を構えて小規模な貿易業を営んでおります。先日社員が帰宅途中に転んで怪我をし、1週間ほど会社を休みました。その際の治療費や休業中の収入補償については労災保険でカバーされていると思っていましたが、保険会社からはケガをしたのが会社から直接の帰宅途中ではなかったことを理由に保険金の支払いを受けることができませんでした。何か制度に変更があったのでしょうか? またこういったケースに対して別立てで保険手配をするなどの対処法はありますでしょうか?

(48歳自営業=男性)

A: 「労災(Workers Compensation)」保険の補償範囲については、各州によって取り扱いが異なりますが、以前はご理解の通り、就労中のケガに対する治療費やそれに起因する休業に伴う収入の逸失については、基本的に労災保険で一定の補償を受けることができ、NSW州においては通勤途中や昼休み中のケガについても同保険においてカバー対象として扱うことができていました。

しかしながら、かねてよりV IC州やWA州で通勤途中や昼休み中のケガについては労災保険適用外の扱いとなっており、以前から医療費の高騰や、休業期間の長期化に伴う保険金支払い額の増大などで、全体的なプログラム運営の困窮が伝えられていたNSW州の労災保険の取り扱いにおいても、昨年半ばからこれらの州に追随するように補償の適用範囲の変更が発表されました。

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これにより、NSW州においては今まで比較的簡単に補償対象として扱うことができた通勤途中や昼休み中のケガについて、それが明確に仕事につながっている場合を除いては労災保険の補償対象外として扱われるようになりました。

現在でもQLD州、ACT、NTなどでは通勤途中のケガについても労災保険の補償対象として扱うことが比較的一般的となっていますが、上記を受けてNSW州もVIC州やWA州と同様に、今まで労災保険で対応ができていた部分を別の方法で対処する必要が出てきたと言え、そういったニーズに対応するために以前からV IC州やWA州では一般的に取り扱われていた「Journey Insurance」という保険がNSW州でも脚光を浴びるようになりました。「Journey Insurance」はその名の通り、自宅から勤務先、勤務先から自宅、さらには昼休み中などにおいて、従業員がケガを負った場合、もしくは最悪の場合、事故により死亡した場合の死亡後遺障害、さらには一時金や週ごとの補償金受給などをカバーする保険で、社員全体を対象として、対象人数と一時金の補償金額などを基に保険料が算定されるのが一般的です。

保険手配自体は雇用主の義務ではありませんが、従業員の福利厚生、他州勤務の従業員との補償の統一性を保つ観点からも、同保険の手配は非常に有効であり、かつ今後はより需要が増えていくことが予想されます。

 


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斉藤 大(さいとう だい)
 

エーオン・リスク・サービス・オーストラリア・ジャパン保険サービス部
世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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