倉庫内の顧客の預り物を損害してしまった場合の保険は?

Q 小規模な倉庫業を営んでいます。最近、事務所で雨漏りが発生してリースをしていた事務機器に損害が発生しました。幸いにして倉庫で保管していたお客様からの預かり物には損害が及びませんでしたが、万が一のことを考えると心配になってきました。こういった状況に対して有効な保険はありますでしょうか。
(55歳会社員=男性)

 

A ご質問のようなケースの場合、直接的な物損に対応するような保険アレンジと、顧客に対する損害賠償責任に対応するような保険アレンジについて考える必要があります。

物損については、例えば他人から預かった物(受託品)を保管中に壊してしまったり、失くしてしまったような場合に(受託品がどういったものかにもよりますが)、どのような契約が物の所有者との間に取り決められていたかという点が重要になります。

つまり保管中の損害も所有者が責任を負うのか、それとも預かる側が損害に対する責任を負うのかによって対応方法が異なってきます。

受託者が預かり物に対する損害への責任を負う場合には、シンプルに自身の財物保険の対象物に、該当の物を含めることで対応も可能ですが、例えば第三者の所有物を預かることを前提にビジネスが成り立っているような場合、受託品の資産価値が非常に大きい場合などについては別途特約を付けることによって対応が必要となります。

反面、受託品に対して所有者が保険対応をしている場合、事故によって発生した損害についてはいったんは所有者側の保険で補填されることになりますが、翻って同保険会社より損害の原因が受託者の過失にあったとして損害賠償責任を求められることも考えられます。そういった場合に重要なのが、状況に適した損害賠償責任保険の手配となります。

一般的な第三者賠償責任(いわゆる通常のPublic Liability保険)を手配していれば第三者の資産に損害を与えた場合の法的賠償責任を補償します。しかしながらほとんどの場合で自身の占有下にある物は通常の第三者の所有物と見なせないことで、受託品(Property in Care, Custody and ControlまたはProperty in Physical or Legal Control)に関わる損害賠償責任は対象外として扱われます。そのため、必要に応じて同補償を賠償責任保険に含めるように特約にて対応をすることが求められます。

こちらの特約においては、受託品その物の損害に対する賠償額への補償は当然として、事故に対応するために発生した訴訟費用や弁護士費用、事故に対する緊急措置に要した費用なども保険の対象とすることができます。反面、保険で対応が可能なのはあくまでも法的に賠償責任が発生した場合ですので、過失がない場合でも商業上の理由で相手に対する支払いをしたい場合には、前述の財物保険での手当てと合わせて対応することが理想的といえます。

なお、このような保険対応が求められる業種としては、主に運送業、倉庫業、リース業など、またはレストランやホテルなどで顧客の荷物を常態的に預かる業種、さらには展示会などを行うような業務形態においても有効です。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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