投資控除法案-国会へ上程へ

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KPMG会計事務所
税務コンサルタント 山田友美


投資控除法案-国会へ上程へ


 2009年3月19日、政府は投資控除(Investment Allowances)に関する法案、「Tax Laws Amendment (Small Business and General Business Tax Break) Bill 2009」を国会に上程しました。この法案は、ビジネス投資を奨励し経済の活性化を図るために、一時的な税の休止(tax break)を供与するものです。当該法案が法律として成立するためには、上院と下院の両院で法案が承認されなければならず、現時点では法案が承認されるのは早くて2009年5月から6月とされています。当該法案が法律として成立した場合、08年12月13日に遡っての適用となります。


 概して投資控除とは、小企業(収入が200万ドル未満の企業)の場合1,000ドル以上、そのほかの企業については1万ドル以上の対象資産の取得価格について、通常の減価償却に加えて30%または10%の追加損金算入(投資控除)を供与する制度です。この控除は、新たな資産の取得だけではなく、既存資産に対する新たな投資に対しても適用となります。当該控除は、単に税務上の減価償却を加速させるものではなく、恒久的な税務上のベネフィットを納税者にもたらします。
対象資産と対象外資産
 投資控除の適用対象となる資産と対象外となる資産の概要は下記の通りです。
投資控除対象資産
* 所得税法Division 40 の下で耐用年数にわたり減価償却費控除が認められている、新規の有形減価償却資産
* 研究開発(R&D) に専ら使用される資産
* 小企業向け減価償却方法(資産を1つのプールとして償却できる)が採用されている資産
* 会社、信託が所有する自動車
* 個人やパートナーシップが所有する自動車については、控除に「原価の12%法」「実際費用の1/3法」または「ログブック法」を使用していることが条件
対象外資産
* 土地
* 棚卸資産
* 無形資産(アプリケーション・ソフトウエアや知的財産権など)
* 用水設備など(既に別の優遇措置を受けている)
* 建物など(Capital works)
* 中古品(輸入品を含む)
* 控除に「セント・パー・キロメーター法」を使用している個人やパートナーシップが所有する自動車
最低投資額 (New investment threshold)
 この投資控除は、対象資産における一定金額を越える新たな投資に対し適用となります。この一定金額(最低投資額)とは、小企業の場合1,000ドルであり、そのほかの企業については1万ドルです。通常、GSTを除いた投資金額が当該最低投資額を超える必要があります。
 この最低投資額は、原則的には、個々の資産について適用されますが、同等または実質的に同等な資産の場合は当該資産を合算することができます。この合算された資産の合計金額が最低投資額を超える場合、投資控除が適用となります。しかし、関連のない資産を合算することは投資控除の要件を満たしません。
 複数の資産がセットになっている場合も投資控除が適用になる場合があります。投資控除が適用になるかはケースによって異なりますが、それぞれの資産の関連性が高い場合や、設計、販売、使用などがセットで行われている場合は当該セットに対して投資控除が適用されます。
投資控除 – 30%または10%
 投資控除率は、対象資産における投資確約日(Investment commitment time)と使用可能日(First use time)によって30%となるか10%となるかが決まります(下図参照)。

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 投資確約日とは、該当資産の第一次(新規取得の)原価(First element of cost) については、資産取得の契約日、資産の建設開始日、または資産の所有日です。契約書に対象資産を将来取得できるというオプションが含まれている場合は、当該オプションが行使された日が投資確約日となります。
 既存資産の第二次原価(Second element of cost) については(第二次原価とは既存資産を新しい状態または新しい場所に設置する投資です)、投資確約日は投資の契約日または建設開始日です。
使用可能日(First use time) とは、当該資産を使用開始した日、または資産の据付が完了して使用可能な状態になった日です。
 30%投資控除が適用となるのは、投資確約日が08年12月13日から2009年6月30日の間であり、使用可能日が10年6月30日以前である資産です。
 10%投資控除が適用となるのは、投資確約日が08年12月13日から09年12月31日の間であり、使用可能日が10年12月31日以前である資産です。
 日系企業の中には、12月31日や3月31日を決算日とする代替的税務年度を適用している企業がありますが、そのような企業にも上記の投資確約日と使用可能日の期日が同様に適用されます。
オーストラリア使用地テスト
 当該法案には、オーストラリア使用地テストが含まれており、上記の資産の使用開始日に当該資産がオーストラリアで事業を営むために主に使用されると判断される必要があります。よって、取得した資産をオーストラリアで絶対使用しないと使用開始日に判断した場合は、当該資産に投資控除を適用することはできません。しかし、取得した資産が使用開始日にオーストラリアにない場合でも、当該資産の主要使用地がオーストラリアであると判断された場合は投資控除が適用されます。
リース
 リースの場合、所得税法Division 40 の下で耐用年数にわたり減価償却費控除を行っている企業が投資控除を行うことができます。通常のリース(Operating lease) の場合は、貸し手(Lessor) が資産の保有者ですので、投資控除の権利も貸し手にあります。貸し手から借り手に投資控除の権利を移転させることはできませんが、投資控除額をリース価格に反映させることにより投資控除のベネフィットを貸し手から借り手に移転させることはできます。
 高級車リース(Luxury car lease) の場合は、借り手(Lessee) が高級車の所有者であり、減価償却費の控除を行うので投資控除の権利も借り手にあります。しかし、高級車償却可能限度額(2008/09年度は5万7,180ドル)が投資控除にも適用されますので、高級車リースにおける最大投資控除額は1万7,154ドル ($57,180×30%)となります。
 したがって、リースのタイプによって投資控除の権利を有する企業(貸し手または借り手)が異なる点に留意する必要があります。
ジョイント・ベンチャー
 鉱山ジョイント・ベンチャーにおける共有の減価償却資産についても投資控除が適用できます。最低投資額を満たすかどうかの判定には、減価償却資産の原価が用いられますが、ジョイント・ベンチャー参加者の投資控除額は、各自の当該資産における持分によって決まります。よって、ジョイント・ベンチャー参加者は鉱山の資本的支出について情報を入手する必要があります。
まとめ
 企業は、投資控除が適用できるかどうかの判断および正しい投資控除の計算を行うために、2008年12月13日以降の固定資産の発注、購入状況をレビューする必要があります。
この記事についての質問などは下記の各事務所に連絡する。
■シドニー
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北村 美幸 Tel: (03)9288-5257
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