西シドニー空港周辺緑地化計画に反対論
シドニー都市圏西部バジェリーズ・クリークに建設される西シドニー空港の周辺地域を緑地化するという案があり、NSW州政府の調査報告書で、「空港周辺の緑地化は野鳥が増えるため、航空機の離着陸に危険を及ぼす可能性がある」とされた。
ABC放送(電子版)が伝えた。
この報告書は、西シドニー空港周辺の新持続可能型都市建設マスター・プラン草案編成に用いられているが、「地域全体を緑地化する計画案では野鳥と航空機が衝突するリスクが増大する」と警告している。
この計画では空港周辺の土地の樹冠量を40%増やすなどの項目が含まれているが、世界中で航空機と野鳥の衝突は年間何万回にも達している。
バジェリーズ・クリークのウェスタン・シドニー・エアロトロポリスの設計が進められており、数年のうちにSA州アデレード市規模の都市に成長する計画になっている。
しかし、報告書は、「二つの計画は真っ向から対立しており、このまま対策を取らなければ危険なほどの数と種類の鳥が航空機の空域を飛び回り、航空機の安全を脅かすことになる。この報告書を作成した航空リスク・コンサルタントのAvisureのまとめたデータによると、世界的にもこのような野鳥との衝突で600機を超える航空機が墜落し、532人がなくなっている。
また、世界中で毎年1万回を超える野鳥と航空機との衝突事故が起きており、有名な事故では2009年に熟練した機長の操縦でニューヨークのハドソン川に不時着し、乗客乗員とも無事だったUSエアウェイズのフライト1549がある。
NSW州の空港周辺緑化計画では、この区域の40%を森林にすることや河川、水路、湿地を充実させ、生物多様性を最大化するなどの案が盛り込まれており、空港との共存が難しいと指摘されている。
報告書は、航空機にとって中度から高度のリスクになる鳥が20種ほど挙げられており、また、この区域にはオオコウモリのコロニーが7か所知られていると記載している。
そのため、報告書は緑化計画を縮小し、樹木の高さも制限を設け、さらに野生動物を招き寄せない樹種に限ることなどを勧告している。
州議会野党労働党のグレッグ・ウォレン議員は、「市民は明確で安全な開発計画を望んでいる」と政府を批判している。
■ソース
Plan to make Western Sydney Airport city ‘green’ is at odds with flight safety, Government report says