連邦政府の態度たたり、海外留学生激減

「コロナウイルス蔓延時に政府が冷たい仕打ち」と

 オーストラリア国内はどの州、準州もコロナウイルス鎮圧に成功し、新陽性者は激減しており、経済活動復活計画が掲げられる段階になっているが、海外留学生の入学が昨年比で激減しており、海外留学生数の回復が危ぶまれているが、コロナウイルス蔓延中のオーストラリア連邦政府の対応に対して留学生の間に反発が起きていることが伝えられている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 現在、海外でオーストラリアの学生ビザ申請が激減していることが伝えられており、大学など高等教育機関は財政赤字が深刻化している。

 連邦内務省のデータによると、2019年6月の学生ビザ申請数34,015件に対して、2020年同期は4,062件に留まっている。しかも、現在、オーストラリアに滞在している留学生が自国の留学希望者に対して、「オーストラリアで調子のいい時には海外留学生は金のなる木のように扱われ、調子が悪くなって援助を求めると切り捨てられてしまった。オーストラリアは避けるよう」伝えていることが明らかにされている。

 VIC大学Mitchell Institute for Education and Health Policyのピーター・ハーリー氏は、「海外留学生部門は完全に崩壊した。これは大学だけの問題ではない。海外留学生は学費だけでなく、生活を通して社会経済に寄与してきたが、留学生が来なくなれば経済全体に影響が出る」と語っている。

 オーストラリアへの留学を希望する者が激減している原因は、コロナウイルスや国境閉鎖だけではない、という証拠のデータが増えており、パンデミック中に海外留学生がオーストラリアで受けている待遇が原因していると言われ始めている。

 搾取、民族差別事件、政府の支援体制の不在などがすべてオーストラリア留学に幻滅をいだかせている。

 9月にMigrants Workers Justice Initiativeが発表した、5,000人を越える海外留学生を対象にした意識調査で、回答者の59%が、「パンデミック前に比べてオーストラリア留学を勧める気持ちがなくなった」と答えている。しかも、中国人留学生では76%、ネパール人留学生でも69%が、「オーストラリア留学を勧めない」と答えている。

 また、民族差別をこうむったという留学生は全体で4分の1、中国人留学生では半数以上にのぼっている。

 パンデミックの間、留学生の70%がカジュアル雇用で勤務時間が減ったり、完全に解雇されたりしているが、連邦政府は留学生に対してはJobKeeperやJobSeeker制度の適用を拒んできた。

 この調査報告書の共同著者、シドニーのUTS法学部のローリー・バーグ准教授は、「4月にスコット・モリソン連邦首相が、『生活できない留学生は国に帰れ』と発言しており、これが海外留学生から失望で受け止められている。何千人もの留学生が連邦政府に対して怒りや悩みを感じており、モリソン首相の発言そのものを指摘する会頭も何百とあった」と述べている。

 連邦政府は、「海外留学生にJobKeepterやJobSeeker制度を適用すると国家財政に200億ドルの負担になる」と説明しているが、バーグ准教授は、「200億ドルを惜しんで、海外留学先としてのオーストラリアの評価を大きく損なってしまった。近視眼的な金勘定であり、留学生はイギリス、カナダ、アイルランドなどに流れていくだろう」と述べている。
■ソース
Killing the golden goose: How Australia’s international students are being driven away

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