19年服役とやり直し裁判の後、「無罪」評決

1989年ウィンチェスター連邦警察副長官暗殺事件

 11月22日、ACT最高裁陪審団は、コリン・ウィンチェスター連邦警察副長官暗殺事件の犯人と断定され、19年間服役したデビッド・イーストマン氏(73)に「無罪」の評決を下した。

 今回のやり直し裁判は6か月の審理と1週間の陪審団評議をかけて完了した。

 一人の自由を20年近く奪った冤罪事件は過去10年だけでも3,000万ドルの経費をかけてようやく結論を見た。

 ウィンチェスター副長官は1989年1月10日、自宅で車から下りようとしたところを頭に2発のライフル銃弾を受けて殺害された。検視法廷の審理の後、1992年12月23日にイーストマン氏が殺人容疑で逮捕され、1995年11月3日に有罪判決を受けた。

 イーストマン氏はその後無実を訴え続け、何度か控訴したが却下されており、2014年の判事の書類調査で初審の法廷に提出された証拠に重大な過誤があり、誤審を招いたと結論を下し、同時に再審は無意味としてイーストマン受刑者の判決破棄を勧めたが、ACT最高裁は再審を選び、この年の再審だけでも650万ドルを費やしている。

 今回のやり直し裁判で、検事側は、「イーストマン氏以外の者がウィンチェスター副長官殺害犯とした場合には余りにも偶然が多すぎる。また、イーストマン氏の昇進に差し支える暴行罪起訴に対する口添えをウィンチェスター副長官が拒否したことや警察に対して脅迫した」ことなどを挙げており、証拠として、イーストマン氏の自宅に仕掛けられた盗聴器でイーストマン氏の独り言を録音したテープを重要証拠として提出している。

 一方、弁護側は、当時ウィンチェスター副長官がキャンベラ周辺の違法薬物事件を捜査しており、マフィアの殺し屋の犯行の疑いがあるとした。また、証拠の録音テープも音質が悪すぎて証拠にならないとした。

 今回の審理では証拠だけでも36,000ページにのぼり、証言は100人を超えた。11月14日、陪審団は評議に入り、11月21日は、「自宅でゆっくり考えたい」として早くに帰宅、22日朝、法廷において全員一致で「イーストマン氏は無罪」の評決を発表した。

 ウィンチェスター副長官の妻はすでに他界しており、閉廷後、遺族は検事局、連邦警察を支持し、今回の評決を遺憾とする声明を発表した。

 イーストマン氏の弁護人、アンガス・ウェブ弁護士は、「誤審でイーストマン氏は19年間拘禁された。ようやく正義がなされた」と声明を読み上げた。

 過去にイーストマン氏の弁護士を務めたテリー・オドネル氏も評決を傍聴していたが、「ウィンチェスター副長官殺害真犯人追及の捜査を再開すべきか?」と質問されたオドネル氏は、大勢の関係者がすでに死去しており、また生存している証人の多くが箝口令や保護命令の対象になっている。捜査を再開するにも証拠はあらかた消え去ってしまっているだろう」と答えている。
■ソース
David Eastman found not guilty of murdering senior AFP officer nearly three decades ago

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