「ダットン内相はオーストラリア人テロリストを引き取れ」

NZのピーターズ副首相、オーストラリアに提案

 2019年3月15日にニュージーランド(NZ)のクライストチャーチ市にあるAn-Nur (Al Noor)モスクと市内リンウッド地区のモスクで小銃を乱射、51人を殺害、40人を負傷させたオーストラリア人極右テロリスト、ブレントン・タラント被告人(29)は裁判で8月26日に保釈なしの終身刑を言い渡された。

 翌日、NZ政府のウィンストン・ピーターズ(NZファースト党党首)副首相兼外相は、「クライストチャーチ・モスク銃撃犯はオーストラリア人だから、オーストラリア政府が引き取り、オーストラリア国内で保釈なしの終身刑を科すべきだ」と語った。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 タラント被告人はNSW州のグラフトン出身で2年前にNZ南島ダニーデン近くに渡り、テロ攻撃を計画してきた。また、犯行当日、タラント被告人はボディ・カメラで犯行の様子をソーシャル・メディアで世界に発信していた。リンウッド地区のモスクでは被害者の一人に抵抗されたため、逃亡しており、もう1箇所で犯行を重ねようとしたが警察官に取り押さえられた。タラントは、8月26日には51件の殺人罪と40件の殺人未遂罪、テロ行為で有罪とされた。NZで仮釈放なしの終身刑が適用されたのはタラント被告人が初めて。

 ピーターズNZファースト党党首は、ジャシンダ・アーダーン労働党首相と連合政権を維持しており、26日の判決を歓迎し、「判決は、我が国のイスラム・コミュニティのみならず、全国民に対する大きな犯行に見合ったものだった」と語っており、さらに、「NZファースト党は、このテロリストをその生まれ育った国に送り返すべきだと考えている。ピーター・ダットン豪内相はこの男を引き取り、NZ裁判所の判決をオーストラリア国内で維持すべきだ。イスラム・コミュニティもNZ国民も十分に苦痛を味わってきた。これ以上、刑務所でこの男の安全のために莫大な経費を負担することは不公平だ」と語っている。また、タラントを生涯NZの刑務所に収容し続けるためには何百万ドルもの経費がかかると推算されている。

 スコット・モリソン豪首相は、「このような犯罪で有罪判決を受けた犯罪者はその判決の出た国で服役するのが通常だ。オーストラリアはNZからそのような要請を受けていない」と語っている。

 また、国際的な受刑者交換は、ダットン内相の管掌ではなく、クリスチャン・ポーター法務長官の管掌分野になっており、ポーター長官は、「受刑者の引き渡しは1997年の国際受刑者引渡法で引き渡し国と認めた国からのみ受刑者の引き渡しを受けている。しかし、NZは引き渡し国と認めておらず、そのような取り決めはない」と語っている。

 オーストラリアとNZは特別の協定で移住や就職がしやすくなっており、そのため、幼少で家族に連れられてオーストラリアに渡ってきても生涯NZ国籍のままで過ごす人も多い。しかし、オーストラリア政府は、「外国人犯罪者は服役後、国籍国に追放する」政策を取っており、NZ人前科者を親戚も身よりもないNZに追放することについてNZ政府は非人道的と反対してきた。オーストラリア人がNZで凶悪テロ事件を犯しておきながらオーストラリアが責任を取らず、NZが一方的に被害も刑罰の経費も負担させられることがこれまでの追放政策との対比で再び両国の間で問題になる可能性がある。
■ソース
NZ Deputy PM demands Australia take Christchurch terrorist back

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