家族法見直し法案、連邦上院を通過したものの

政府任命の法制委員会の顔ぶれに専門家の批判

 オーストラリアのDV問題では毎週1人の率で女性が元または現在のパートナーに殺されている。また、子供が犠牲者になることも少なくない。DV殺人の加害者はほとんどの場合男性側で、女性側が加害者になるのはパートナーからの心理的物理的暴力の結果であることが多い。

 DV問題で原因の一つとして家族法の不備が以前から言われてきており、ようやくスコット・モリソン保守連合連邦政府が「家族法見直し」法制調査委員会設立法案を提出した。しかし、この委員会の結論が出るのが来年以降になり、しかも、委員長に自由党保守派のケビン・アンドリューズ議員、副委員長にポーリン・ハンソン・ワンネーション党首を任命したため、労働党議員、元家庭裁判所判事から批判が出ており、さらに、別れた夫に息子を殺されたことからDV根絶の運動に尽力し、また家族法の見直しを望んできてロジー・バティ氏も政府の態度を批判している。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 アンドリューズ議員は、「調査の結果がどう出ようと心を開いて受け入れる」と発言しているが、ハンソン議員はすでに、「この調査委員会は、親権問題で自分に有利になるように、男性の側からの暴力があったと偽証する女性についても調査するべきだ」と発言しており、労働党やバティ氏らDV根絶運動団体は、「委員長に元社会福祉担当相、副委員長にこのような予断と偏見を持った人物を任命するというのはモリソン政府が本気で取り組む気がないことを表している」と批判している。また、バティ氏は、「このような2人が法制調査委員会を率いるのであれば、偏見のない調査はあり得ない。今回の政府法案はハンソン議員との取引としか思えない」と語っている。

 ハンソン議員の発言は、「メンズ・ライト」運動と一致しており、この運動は女性の権利の伸張に反発する白人極右運動と近しい関係にあり、バティ氏は「虚偽の主張をする女性はいるだろうが、1週間に一人DVで殺されているのは女性だ」として、社会的な問題が横たわっていることを指摘している。

 また、労働党は、家族法見直しを支持しているが、今回の政府原案の法制調査委員会設立には反対している。
■ソース
Family law inquiry given green light by Senate as Rosie Batty questions Pauline Hanson’s role

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