CSIRO、1.5億ドル予算カットも

昨年度と合わせ研究者700人減か

 オーストラリア国内でブラックボックス開発、プラスチック貨幣など様々な国際的技術開発を行っている連邦科学産業研究機構(CSIRO)が5月予算で予算を削減される可能性が言われている。

 現保守連合は政権樹立と同時に省の名称から科学を外し、気候変動関係を中心として科学研究、科学諮問機関の廃止を進めてきた。そのため、「科学嫌いの政府」と揶揄されることがある。国内最高の公立科学研究機関でこれまでに飛行機の計器類の数値変化を記録し、墜落にも耐えて事故原因の資料を残すブラックボックス(実際にはオレンジ色)やオーストラリアから始まり、世界のいくつもの国で採用されているプラスチック貨幣など様々な国際的技術開発を行ってきたCSIROの政府予算が、5月予算案でこれまでの20%、1.5億ドル減になると予想されている。

 フェアファクス・メディアの報道では、CSIRO幹部が予想しており、すでにいくつかのシナリオを考えている。連邦政府は「特別監査委員会」を設立し、5月予算案に向けて予算削減項目の洗い出しを行わせている。その委員会の勧告にCSIRO予算削減も盛り込まれると見られている。そのCSIROは、来年度の事業予算編成を済ませておらず、5月予算案待ちの状態になっている。CSIROは事業資金の60%程度を連邦政府に頼っており、他には特許や企業との共同研究開発などの収入がある。

 CSIROのメーガン・クラークCEO率いる10人の理事チームでは、昨年の400人に続いて来年度も300人の科学者を解雇することになると発表している。その準備段階として、エネルギー、環境、IT、製造、保健科学の各部門に対してそれぞれの部門の事業を精密点検するよう通達している。消息筋は、「優先度の低い科学研究を廃止する」よう指示されているようだと伝えている。

 ただし、5月予算案が発表されるまでCSIROの科学者にはどの研究が廃止されるのか分からず、実質的に何も手に着かない状態が続く。連邦下院のアダム・バント緑の党議員は、「15%から20%の予算削減はオーストラリアの頭脳流出を加速するだけだ。毎年5月に研究資金で研究者を不安に陥れていれば世界水準の研究も不可能になる」と批判、労働党のキム・カー影の科学大臣も、「予算削減はオーストラリア科学をマンガにするもの。これからの国際的な科学技術競争で取り残されていくだけ」と批判している。

 昨年9月選挙後の組閣で科学を捨てたトニー・アボット連邦首相は、「科学という名称ではなく、政府の実績で評価してもらいたい」と科学界に呼びかけている。しかし、首相の言う政府の実績が「CSIRO予算減額」だったということになりかねない。(NP)

 幌北学園 blancpa novel-coronavirus nichigowine  kidsphoto

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