【PR】カルチャー・ギャップ、どう超える!?ウイングアーク・オーストラリア早川正明氏インタビュー

メイド・イン・ジャパン企業の挑戦カルチャー・ギャップ、どう超える!?ウイングアーク・オーストラリア早川正明氏インタビュー
 日本を出て、グローバルな環境でぶつかる圧倒的な「文化の違い」は、多くの海外生活者の課題だ。メルボルン拠点の日系IT企業ウイングアーク・オーストラリアのマネージング・ダイレクター・早川正明氏は、ビジネス・パーソンとして、また1人の日本人としてオーストラリアという国の個性と日々向き合っている。豊富な海外経験や市場攻略のための試行錯誤などを経た早川氏から、カルチャー・ギャップに悩む全ての人に役立つヒントを伺った。

「想像以上の面白さ」を追いかけて

——早川さんは約3年半前に日本からオーストラリアへ移り住まれたそうですね。

 日本のソフトウェア企業ウイングアーク1stが3年半ほど前にメルボルンの企業を買収して、そのタイミングで私は新会社のマネージング・ダイレクターとしてこちらに来ました。現在、ウイングアーク・オーストラリアのオフィスで20数人のスタッフと共に働いています。スタッフはほとんどがオーストラリア人ですが、欧州やアジアから来た人もいて、異なる文化背景を持っています。

——海外への関心はいつ頃からお持ちでしたか?

 元々は海外に全く興味がない人間だったんです。高校や大学の受験でも英語に一番苦戦しました。ただ高校卒業後に入った慶應義塾大学の藤沢キャンパス(SFC)はインターナショナルな人が多くて、まず1年次の夏休みには皆、外国に1カ月行くと言っていて、彼らにとっては普通のこと。それを聞いて何か「やばい」と思って(笑)、アルバイトでお金を貯めてパリとマレーシアに行ったのが最初の海外経験です。それがとても刺激的で海外に興味を持ち始め、大学の専門課程で国際政策学を専攻しました。

——就職も海外志向だったのでしょうか。

 私が大学生の頃はまだ「ソフトウェアって何?」という時代でしたが、グローバルなビジネスとしてのソフトウェアに将来性を感じて、大学卒業後はドイツの大手ソフトウェア企業SAPの日本法人に就職しました。海外へ行きたかったので、年数回のヨーロッパ出張も楽しかったですね。SAPを一度退職して、海外戦略の専攻があるイタリアの大学院に留学してMBAを取得し、再び会社に戻ったりもしました。
 ただ海外勤務のチャンスはなかったので、海外市場を相手に世界で活躍する機会のあるウイングアーク1stに転職。経営企画と海外事業を担当し5年ほど実績を積んでから、自身で遂行した海外企業の買収を機にオーストラリアに移り住みました。世界には自分の知らないことや想像を超える面白いことや嫌なこともあると知ったときから、今もその面白いことを追いかけているんだと思います。

つかみどころのないオーストラリア

——企業買収には、2つの企業カルチャーをいかに1つに統合していくかという難題が付き物かと思います。

 まず、合う相手を選ぶことが最も重要です。候補は20社ほどあり、2年くらい行き来しながら買収先となる会社と理解を深めました。日本企業ベースで育った日本人にとっては、顔を合わせて話し合いながら方向付けていくことが割とスタンダード。こちらの人ならSkypeやZoomなどのITツールで済ませるような場合でも、日本人は一緒に食事をするなどして場を共有することを重んじ、組織として一心同体であると通じ合うイメージです。そのペースに2年も付き合ってくれたことからも、買収先との相性の良さがわかりました。

——文化の相違点を認識した上で、自分と合う相手を選ぶということですね。オーストラリアという国については当初、どう感じましたか?

 それまでに50カ国近く訪れた中でも感じたのことのなかった理解不能なカルチャー・ギャップ(文化の隔たり)というものを、オーストラリアで初めて感じました。来る前は西洋文化圏だと思っていたのですが、実際はキリスト教的な部分がありつつも、アジアや色々な文化が混じっていて実態がわからず、自分にとってつかみどころがない。
 それまで欧州や東アジア、ASEANの人と仕事をした時は、自分との間に何らかの共通点を見つけられたんです。例えばイタリアなら「景気が悪い」というメンタリティーから始まって、もし意見は違っても考え方のロジックは理解できる。しかしオーストラリアとは共通するものが見つからず、得体の知れない文化に肩透かしを食らった気がしました。

——市場としてはどんな特徴がありますか。

 例えば、中国や日本は人口が多いゆえの過当競争の社会。1つの市場を誰かが見つけると、他も一気に追随して、激しい過当競争が起きて全員死んでしまうということが起きやすい。一方、オーストラリアは人口が少なく、過当競争がほとんどない。誰かが参入した市場に後から入ることを良しとしない文化があると思います。人が少ないからその文化が成立し得るんですね。需要と供給のバランスが北半球と逆というのも特徴です。売りたい人に対して欲しい人が多いオーストラリアは、まだまだビジネスのチャンスがありますね。人件費の高さは収益性の難点ですが。

——プライベートでは、どんな点に日本との違いを感じますか?

 教育面ですが、自分の子どもが通っていたキンダーガーテンで、絵が好きな子は朝から帰りまでずっと自由に絵を描いていて、好きなことを徹底的にやるスタイルが基本だと感じました。
 不便なことを挙げるなら、メルボルンは16時閉店のカフェが多いことと、買った物がよく壊れることでしょうか(笑)。

オーストラリアで気づいた日本の個性

——ビジネスにおける日豪間のカルチャー・ギャップをどう捉えていますか。

 日本で仕事をしていたとき、海外製ソフトを日本企業に導入してうまくフィットしないとき、単純に文化の違いのせいだと思っていたんです。でも今、逆に日本製ソフトをオーストラリア企業で使ってもらう仕事をする中で、日本って個性の集まりだったんだと気づきました。
 日本の雇用はメンバーシップ型で、会社に入り一生添い遂げることが基本です。一つの会社内で営業から製造まで部署間の異動が多く、会社独自の仕事のやり方が堅固に確立されていきます。日本では各企業に確立された個性があり、違うわけですから、そこにはどんなソフトも合わないんです。
 一方、オーストラリアでは会社に就職するのではなく仕事に就職する、と私は捉えています。例えばソフトウェア業界で開発職に就いた人は、複数の会社を移りながらもやるのはずっと開発の仕事。皆がそういうスタイルなので、会社間で仕事のやり方を統一する必要があるんです。

——日豪の仕事のやり方の違いは、早川さんの仕事にどんな影響を与えていますか。

 日本のソフトは、個性的な日本企業に柔軟に対応するために多機能です。当初それをこちらで売ろうとしたら、「機能が多すぎてわかりにくい」と言われて売れなかったんです。興味を持ってくれた会社でも、担当者が「これを導入してたくさんの機能を使えるようになっても自分のキャリアに全くプラスにならない」と言って辞めてしまったことがありショックを受けました。
 そこで日本の機能型ソフトをベースにソリューション型に作り替えて提供することを2~3年かけてやってきました。使うことで「コストが下がる」「売上が上がる」といったわかりやすい結果が出る、というタイプのソフトです。それまで、売り込もうにも製品がわかりにくかったので相手が会ってもくれなかったのが、ソリューション型に変えたことで簡単にアポが取れるように変わりました。
 今は日系からローカルの組織まで、主に小売、物流、倉庫などの多くの現場で使われていて、最近では「MUJI Australia」様にも導入いただきました。

——相手の求めるものを提供するようになり、コミュニケーションが成立しやすくなったということですね。

 はい。今はクライアントの話を聞いて課題を分析し、ソリューションを開発し提供するという方法で展開しています。この国では会社間で仕事のやり方が似ているので、完成したソフトを同業界で同じ課題を持つ別の会社にも適用しやすいんです。
 例えば、あるソフトをショップに導入すれば、店の前を通る人、店に入る人、入店して購入する人の割合をAIで分析して店頭の看板、スタッフの接客、シフト人数を見直すなど、現場での具体的な改善につなげて売上をアップできます。
 店頭にいないマーケティング本部の担当者には現場のお客様の層が見えていなくても、ソフトを通じて把握できます。

——店舗とお客様の間にあるギャップも、本部と現場のギャップも超えていくことができるソフトということでしょうか。

 そうですね。日本での好例として、ある紳士服店の店頭に男性向けのキャッチコピー付きの看板を出していたのですが、分析したところ実はそこを通るのは主婦層の方がメインとわかり、看板を女性向けに変えたら入店者数が増えたと。ソリューションの導入は日本の方が進んでいてオーストラリアはまだこれからですが、どうやってお客様の心を掴むかという点は日豪で共通です。
 オーストラリアの特異点は、ソリューションを選ぶにしてもブランドへのこだわりが強いこと。歴史がある、知名度が高いといったブランド性を好むのは、ソリッドな文化を持たない、とらえどころのないの国だからかもしれません。その意味ではブランド力を高めることが一つの光明となるのではと仮説を立てています。

カルチャー・ギャップを超えるヒント

——多文化環境での人間関係で工夫していることはありますか?

 人種差別ではないですが、オーストラリア以外の上司の下で働くことに慣れていない人と仕事をして、指示に従ってもらう方法を試行錯誤することもあります。場合によってはオーストラリア人の上司を通して指示を出すなど柔軟に対応して、結果的に望む形になればと考えています。
 基本的には人種に関係なく話を聞いてもらえるのがこの国の良さですが、オープンである割に関係の継続や深化が難しいという点も意識しています。

——カルチャー・ギャップに向き合う早川さんから読者へ、メッセージをお願いします。

 異文化を知ることは、自分を知ることだと思っています。考え方が違う相手を前にすると、自分の考え方も浮き彫りになります。海外で自分を探求することは、本質的に日本人とは何なのかと考えることにつながると最終的に思い至りました。良い点も悪い点も含め「違い」を掘り起こしていくと、自分や日本への理解がもっと深まるかなと考えています。

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早川正明(はやかわ・まさあき)

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、世界ナンバー1のエンタープライズ・ソフトウェア企業SAPの日本法人に入社。イタリア・ボッコーニ大学でMBA取得。2011年、日本・ウイングアーク1stに入社。14年からメルボルン現地企業の買収とウイングアーク・オーストラリアの立ち上げに関わり、現在まで同社マネージング・ダイレクターを務める。世界のソフトウェア業界での経験は20年。
Web: wingarc.com.au
Linkedin: www.linkedin.com/company/wingarc-australia/mycompany/

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