【PR】ウイングアーク・オーストラリア早川正明氏、MUJIオーストラリア藤本健氏対談

メイド・イン・ジャパン企業の挑戦カルチャー・ギャップ、どう超える!?

メイド・イン・ジャパン企業の挑戦 vol.2

 AI / IoT技術を活用したビジネスソリューションを提供する日本のソフトウェア会社、ウイングアーク1st。17年に現地企業の買収と共にオーストラリアに進出、在豪の政府機関や企業に対するビジネスソリューションの提供している。同社マネージングダイレクター早川正明氏へのインタビューに続き、今回は同社のソリューションを利用するMUJIオーストラリア(無印良品)の藤本健・マネージングダイレクターと早川氏の対談を紹介する。

オーストラリアという市場

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──藤本さんはオーストラリア駐在前も海外店舗のマネジメントのご経験を長くお持ちですが、これまで海外市場でどのような点に苦労されましたか。

藤本「ヨーロッパ市場では店舗内での役割が明確に分かれていて、日本のように気を使う、手伝うといったカルチャーがないことに手こずりましたね。こちらが明確なビジョンを持って、それこそ靴下まで履かせるくらいの気持ちで指示を出さないと思っている通りに組織が動かないというのは、特にイタリアでトップをやった時に痛感しました。また、中東はドバイ、UAE、クウェート、バーレーン、サウジアラビアを手掛けましたが、宗教を中心とした国では1日5回お祈りの時間があって、その間店を閉めなければならない、それをしないと罰せられることもあり大変でしたが、なかなかできない体験なので面白かったです」

──早川さんは14年からメルボルンをベースに活動されてますが、それ以前も海外でご活躍だったと伺っています。

早川「ドイツの企業で勤務する中、イタリアにMBA留学をしました。その後、ウイングアーク社には海外事業の責任 者として入り、中国 、ASEANを経て、オーストラリアに来ました。どんどん南下してきました」

──さまざまな国で活動されておりますがいわゆるカルチャー・ギャップを一番感じられたのはどの国ですか?

早川 「実はオーストラリアです。例えば中国では科挙制度、イタリアであれば成熟した社会の停滞感など、何らかの共通点から市場を理解する糸口を見つけることができました。しかし、オーストラリアはそういった共通点がなく、どう入り込めばいいのか悩みました。藤本さんはいかがですか」

藤本「生活面ではすっと馴染むことができました。イタリア、イギリス、インドネシアなど私が滞在した諸外国に比べ非常に安全ですし、日本国外のレストランで机の上にスマートフォンを置いたままにできるのは素晴らしいと思いましたね。オーストラリアの人はアジアの発音に慣れているのか、日本人の英語も通じやすかったり悪い印象はなかったです」

早川「確かに悪い印象はないですね。移民国家の特徴かもしれませんが非常に入りやすい。ただ入りやすいことによって、逆にとらえどころがないというのが私の印象でした」

藤本「オーストラリア市場進出当時から、MUJIは、既にブランドとして認知されているアジア圏、特に中国人を意識してマーケティングを行ってきました。今後はローカルのオーストラリア人にどうMUJIを好きになっていただけるかという視点も大事になってきます。早川さんのおっしゃるアプローチの難しさはまさにこれから直面するところからもしれません」

──国民の4割近くが移民で構成されている国で、さまざまなカルチャーがミックスされている分、全体の傾向が見えづらいというのはあるかもしれません。

藤本「実際、日本の成功事例、ヨーロッパの事例を導入してもうまく行かないケースも多いです。店のスタッフも日本人、オーストラリア人、中国人、台湾人、香港人、シンガポール人と多彩で、それぞれメンタリティ、文化、考え方も全部違う。ただ、共通項にはMUJIが好きという点が挙げられます。それをどううまく生かしてオペレーションにつなげるかというのも課題ですね。そのためには、MUJIの世界観をしっかりと伝えながら、どういうものがオーストラリアの人の生活に必要で、それに対して出せる値段はどれくらいが妥当なのか。そういったリサーチを徹底的に行わなければならないと思います。本音を言うと日用品を扱っているターゲットやKマートの横に出店したいんです。並べればMUJIの商品の良さが分かってもらえます」

早川「オーストラリアではMUJIにはいわゆる競合が見当たらないのですが、いかがですか?」

藤本「ファッション、家具、ステーショナリーなどそれぞれのカテゴリーでは競合が思い付きますがトータルで考えると正直ないというのが本音です。ターゲット、Kマートは商品レンジは似ていますが彼らは単品売りのビジネスです。MUJIの場合はスーツケースを買ったら、それにフィットするバッグやパッキング・グッズがありますし、衣料品から食品まで、一貫して同じコンセプトでものづくりをしているのでそもそものビジネスモデルが異なります。ただ、その世界観をどうやって表現してローカルのお客様に伝えるのか。そこが難しいところですね」

実は消費者の目が肥えている市場

早川「日本で売られている人気の食品関連がこちらには入ってきていないですね。やはり規制が厳しいのでしょうか」

藤本「それは弊社の方針に寄るところが大きいです。例えばカレーで言えば、肉の入っていないものは輸入可能なのですが、だからといって素のプレーンカレーだけを置いてはMUJIの売り場として成立しない。シリーズの一部だけ入れるのは、トータルライフスタイルを伝えるというMUJIのコンセプトに合わないんですよね」

早川「なるほど。ところで、値付けに関して輸入品なので日本で買うより高いのは仕方がないとして、比較的リーズナブルな価格設定を実現できている点には驚かされます」

藤本「諸々の諸経費を上乗せしなければいけないのは致し方ないのですが、できるだけオリジナルプライスに近づけられるように努力しています」

早川「人件費はいかがですか?」

藤本「それはみなさんと一緒で悩ましい点です」

早川「価格を抑えて値ごろ感を前面に出していますが、市場でのポジショニングはどのようにお考えですか? オーストラリアは高級品と廉価品が真っ二つに分かれているというのが私の印象なのですが」

藤本「アジア人が多い地域に出店していることもあって、アジア圏のお客様が50%というのが現状ですが、これをローカルのオーストラリア人にどう広げていくのかということが次の課題です。ヨーロッパでは、MUJIはある種ハイブランドとして認識されています。クリエイターやデザイナーに好まれ、日用品としては認識されていない。ただ、オーストラリアではあくまで日用品、デイリーユースとして、毎日来て頂けるようなお店にしたいと考えています」

早川「MUJIの商品ってそもそもクオリティが高いですよね。その意味ではその質の高さに気付いてもらう必要もあると思うのですが、オーストラリアの消費者の理解度、モノを見る目という点に関してはいかがですか」

藤本「店舗で話し掛けて頂けるオーストラリアの方からは、『この商品いいから絶対やめないで』といったことを本当によく言われます。オーストラリアは、ウールやダウンは自国生産の素材を使っているブランドが多く、クオリティも高いと思うんです。良いモノを納得した価格で買って来た経験が多いと思うので、オーストラリアの方の目は肥えていると私は思っています」

日系企業としての強み

昨年、メルボルン郊外にオープンしたチャドストーン店の店内

昨年、メルボルン郊外にオープンしたチャドストーン店の店内

──海外での店舗展開に付いて貴社が成功されている要因はどこにありますか?

藤本「オーストラリア進出から8年目、店舗数は5店舗。成功と言える段階はまだ先だと思います。急拡大したい気持ちもありますが、それをあえてしないことで健全な経営を継続できていると考えています。また、人件費に関しては日本のオペレーションをうまく取り入れていますが、自主性を持たせられるようにアレンジし、ローカルの主体性とトップダウンの効率性をミックスしてやっています」

早川「日本のどういったところを生かしているのですか」

藤本「ルール作り、仕組みづくりは日本人の得意な分野ですよね。レジの扱い方にしても1つルールを作るだけで効率性が大きく変わります。ただ、日本人の店長は商売に関してはよく理解しているのですが、マネジメント能力の面ではオーストラリア人のほうが全般的に上手です。現地のポジションに応募してくる方は、大学でしっかりと専門的なマネジメントの勉強をしてきた方ばかりです」

早川「個性を生かす運営の実現はどのようにして行っていますか」

藤本「簡単ではないですが、一番大事なのはきちんと話を聞くことですね。意見に同意できない場合は、問題点を明確に説明することが大事です。その繰り返しで信頼関係を作れれば、自然発生的にスタッフからの声がよく届くようになります」

早川「風通しの良い組織づくりを目指されているということですね」

藤本「どんどんチャンスを与えてチャレンジさせて自分で考える力を伸ばしてもらいたいと思っています。自分で考えられる人が将来的にオペレーションのトップになります。また、十分な力が付いたらうちから出て行くのも良いと思います。さまざまな経験を経た後に、MUJIが大きな組織になった時にまた戻ってきてもらえれば最高ですね」

テクノロジーが解決できること

──さまざまな課題をお聞かせいただきましたが、MUJIオーストラリアでは、それらを解決するためにウィングアークのソリューションの活用を開始したと伺っています。

藤本「弊社には宣伝販促を学んできた社員は多いのですが、マーケティング分析ができる人材やシステムがありませんでした。しかし、今の時代、立てた仮説検証の精度を上げていかないと生き残れません。リサーチ会社を使うのも手ではありますが、朝令暮改で指示を柔軟に変えていかないとならない状況下、それでは間に合いません。では、この課題をどうしようかと悩んだでいた時に早川さんに出会い、ご協力いただくことを決めました」

早川「今まではマーケテティング会社に依頼して、彼らがリサーチをして得た消費者データを元に、各店舗の運営方針を決めてきたと思いますが、デジタル時代の今はそれでは追いつけないと感じています。今後は当社のソリューションを活用し、来店いただいたお客様の何割が購入しているか? どのエリアに滞在しているか? 戦略的に打ち出したキャンペーンにお客様は本当に反応しているか? まさに現場で起きていることをリアルタイムで把握し、数字で得られたデータ
に応じてオペレーションを変化させていくことが必要になってきます。その点でご協力させて頂いております」

藤本「導入後、すぐに私の仮説とばっちり合うデータもあれば、全然違っていたデータもあり、目に見えてビジネスが可視化できました。店舗の売上の実際の状況は思っている以上に見えないものなんです。例えばある時間帯の売上が1万ドルだったとして、それが1人の人が使った1万ドルのか、100人の人が使った1万ドルなのか。そういった実態を把握し、これまでは感覚でやってきたことを数値化して、タイムリーかつ、正確なデータを得られ、スタッフにも明確な数字で説明できることで説得力が得られて非常にありがたいです」

早川「お役に立てて嬉しいです」

はやかわ・まさあき

早川正明(はやかわ・まさあき)

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、世界ナンバー1のエンタープライズ・ソフトウェア企業SAPの日本法人に入社。イタリア・ボッコーニ大学でMBA取得。2011年、日本・ウイングアーク1stに入社。14年からメルボルン現地企業の買収とウイングアーク・オーストラリアの立ち上げに関わり、現在まで同社マネージング・ダイレクターを務める。世界のソフトウェア業界での経験は20年。
Web: wingarc.com.au
Linkedin: www.linkedin.com/company/wingarc-australia/mycompany/

ふじもとたけし

ふじもとたけし

大学卒業後、ドイツへの留学など海外経験を経た後、2001年に無印良品へと就職。海外での経験が買われ、12年以降、イギリス、イタリアなど海外店舗へと駐在。17年からは東京をベースに中東とインドネシア・エリアを管轄。18年よりMUJIオーストラリアのマネージングダイレクター就任
Web: muji.com/au/

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