Iwasaki Sangyo Co. (Australia) Pty Ltd 豪州岩崎産業

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広大なキャプリコーン・リゾート敷地内にあるゴルフ場

企業研究 112
Iwasaki Sangyo Co. (Australia) Pty Ltd
豪州岩崎産業

経済発展と自然保護で地域社会に貢献

高級住宅地も計画、開発は第2ステージへ

 南回帰線直下のQLD州中部キャプリコーン・コースト。大自然に恵まれた全長約20キロの白砂の海岸線に沿って、東京の山手線内に匹敵する約9,000ヘクタールの巨大リゾート施設「キャプリコーン・リゾート」が広がっている。日本企業による豪州観光開発のパイオニアとして、1980年代に鹿児島県拠点の大手観光関連企業、岩崎グループが開発を手がけた。

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同社敷地内の食肉牛約1,000頭を飼育する牧場
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リゾート内で運営する和食レストラン「鶴家」

 1923年創業の岩崎グループは、創業者・故岩崎與八郎(よはちろう)氏が戦前、ほとんど裸一貫で木材業を立ち上げ、鉄道の枕木の納入で財を成したのが始まり。これを基盤に、重工業や造船業、鉱山業などに進出していった。戦後は鹿児島県内の豊富な観光資源に注目、温泉地の指宿に観光ホテルを建設するなど大型観光開発で成長を遂げた。
 現在では3代目の芳太郎氏が社長を務め、南九州を中心としたホテル・リゾートやゴルフ場の運営をコア・ビジネスとしながら、旅行、陸運、海運、航空、放送、林業、クルマエビ養殖、焼酎の製造、エネルギーなど幅広い事業を手がけ、グループ従業員4,000人を抱える複合的な中核企業に発展している。
構想18年、創業者の夢を形に
岩崎グループのオーストラリア進出の背景には、鹿児島県を代表する伝説の経営者、與八郎氏の強いリーダーシップがあった。40年以上前の68年、鹿児島商工会議所会頭として鹿児島を国際観光都市にするとの使命に燃えた與八郎氏は、観光マーケティングのためオーストラリアを訪れ、そこで素晴らしい自然と暖かい人柄に魅了されていく。
 そして、この国の魅力が凝縮されたキャプリコーン・コーストに総合リゾートを開発するという壮大な計画を練り上げたのだった。こうした経緯について、與八郎氏は後に「ミイラ取りがミイラになった」と表現している。同グループは環境影響調査から道路やライフラインなどのインフラをすべて自社で行い、86年に「キャプリコーン・イワサキ・リゾート」の開業にこぎ付けた。構想から18年の歳月が経過していた。
 美しい白砂の海岸線や、貴重な生態系に恵まれた雨林や湿地帯を残す広大な土地を、豪州の自然の特徴である「海洋」「森林」「草原」「湿地帯」の4つをテーマにデザインした。現在では、こうした自然環境を豊富に残した敷地内に、3棟全280室のリゾート・ホテル、2つの本格的なゴルフ場、南半球最大級のプール、レストランがオープンしているほか、乗馬や探検ツアーなど自然に触れることのできる各種アクティビティーも提供している。
 98年からは南洋州の大手ホテル・チェーンである「リッジス・ホテル・アンド・リゾート」に運営を委託して「リッジス・キャプリコーン・リゾート」に、さらに2008年9月からは「キャプリコーン・リゾート」に改称して、現在に至っている。

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人工ビーチを有するリゾート・プール。プールサイドにはレストラン「Lagoon」が隣接する



非営利事業や日本語教育振興も
 生前の與八郎氏の秘書を務め、その経営哲学に肌で触れた経験がある豪州岩崎産業の三谷健・取締役駐在代表はこう語る。「岩崎グループは地域とともに発展することを念頭に置いて事業を行っている。その土地の文化・風土を生かして発展し、地域全体を活力あふれた魅力あるコミュニティーにすることが大きな目標だ」。
 三谷氏によると、こうした與八郎氏の経営哲学を反映して、豪州でのリゾート開発も①観光事業を通じて経済利益と雇用機会を地域にもたらすこと、②合理的なリゾート経営と自然環境への配慮の均衡を図ること、③周辺住民の生活水準の向上と改善に取り組むこと――の3つの理念を貫いた。
 また、與八郎氏は85年、與八郎氏の夫人の遺志に基づいて、リゾート事業とは別に非営利団体の岩崎財団を豪州に設立、基金の利子所得を障害者団体への助成金や高齢者が宿泊施設を利用する際の経費負担軽減などに活用している。
 さらに、96年にはリゾート開業10周年記念事業としてQLD州に奨学金基金を創設。以降地元ロックハンプトン地区、およびQLD州の優秀な日本語学習生に対して、日本語教材費の負担や日本への短期留学のための奨学金の提供を行っている。
新ビジネス・モデルの構築狙う
 現在同リゾートが直面している最大の課題は、大型のカンファレンスや海外客の誘致。三谷氏は「そのためには、豪州国内のほかの大都市と比較して弱い航空輸送能力を向上させる必要がある。今後はQLD州中部観光産業を牽引する企業として、州政府や地域、航空会社に働きかけ、各都市と地元ロックハンプトン空港間の航空座席供給数を増やし、地域全体の観光産業の発展を図りたい。将来的には同空港の国際空港化に貢献するのが目標だ」と話している。
 また、豪州プロジェクトの第2ステージとして、戸建てのビラ・タイプの宿泊施設や新たなホテル棟の建設を計画しているほか、利用者が個々の物件の所有権を持つ「バケーション・オーナーシップ」に対応したホテルを建設し、新たなビジネス・モデルの構築も目指す。
 さらに、上記のプロジェクトと並行し、敷地内で高級住宅地の分譲開発を行う計画も進めている。「高級住宅地が地元ヤプーンにこれまでなかった魅力を創造し、地域とリゾートに新しい風を吹き込むことが期待される」と三谷氏は語る。
 一方、リゾート北側の同社敷地内には食肉牛約1,000頭を飼育する牧場を有しており、その規模を今後3年間に2,000~3,000頭に拡大させる計画もある。この牧場のさらに北側に広がる所有地の自然環境を将来にわたって維持していくための緩衝地としての役割を担うという。
「リゾート施設経営と住宅地開発、自然環境保護という一見相反するような要素に対して、地域社会と足並みをそろえることで、地域の持続的な発展に貢献していく」と三谷氏。バブル期に豪観光産業に投資した日本企業は、そのほとんどが90年代にホテルやリゾート開発から撤退したが、與八郎氏が描いた息の長いビジョンは、ヤプーンの地にしっかりと根を下ろしている。
キャプリコーン・リゾート 日本語問い合わせ先 Tel: (07)4925-2484


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三谷健
取締役駐在代表

1962年生まれ。鹿児島市出身。1987年東京農業大学卒。同年岩崎グループ入社。指宿いわさきホテル園芸部、岩崎グループ総本部会長(創業者)秘書、豪州岩崎産業、指宿いわさきホテル環境開発部、指宿いわさきホテル総務部長、石廊崎ジャングルパーク園長、岩崎産業東京支店、岩崎グループ総本部秘書室を経て、2007年3月より現職

<三谷取締役代表に聞く10の質問>
①座右の銘:「泰然自若」
②今読んでいる本:「地方を殺すのは誰か」/岩崎芳太郎・著(3代目 現社長)いつもは池波正太郎、藤沢周平など
③オーストラリアの好きなところ:フェアな精神
④外から見た日本の印象:良くも悪くも成熟社会
⑤好きな音楽:70年代~80年代のアメリカン・ロック(ブルース・スプリングスティーン、ZZ TOP)
⑥尊敬する人:創業者・岩崎與八郎
⑦有名人3人を夕食に招待するなら:堀江謙一(海洋冒険家)、ブルース・スプリングスティーン、今田竜二(プロ・ゴルファー)
⑧趣味:ゴルフ
⑨将来の夢:世界1周旅行
⑩カラオケの十八番:歌っている人の横で聴く方が好き

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