Starts International Australia Pty. Ltd. スターツ・インターナショナル・オーストラリア

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ゴールドコーストには憧れのライフスタイルが実現できる住環境が整う

企業研究 113
Starts International Australia Pty. Ltd.
スターツ・インターナショナル・オーストラリア

買い手側に立った日本的サービスで差別化

日系不動産管理で最大手、現地市場も攻略へ

 日本の不動産大手スターツ・コーポレーション(東京都中央区)はこの4月、オーストラリア進出19周年を迎えた。現地法人のスターツ・インターナショナル・オーストラリアは、ゴールドコースト、シドニー、ケアンズの豪州東海岸の主要3都市で、不動産の管理や売買、賃貸などの事業を展開している。荒木祥久・代表取締役に戦略を聞いた。


 1969年創業のスターツは現在、建築・不動産のほか、出版会社、証券会社、介護ケア・ビジネスなどグループ企業は42社を数え、社員総数は約5,000人となっている。主力の建築・不動産事業では、特に住宅の管理業務に強いのが最大の特色。開発も手がけているが、中核業務は不動産管理や売買・賃貸による手数料ビジネスだ。
「住宅をご購入いただく、または建築いただいたお客様に、生涯を通じ、そして2代目~3代目のご家族までの長期にわたり、不動産の管理を通じたお付き合いをさせていただくという企業文化がある」(荒木社長)。このため、景気の浮き沈みに左右されずに安定的に売上を確保できるという強みがある。日本全国の管理戸数は約46万世帯と業界4位。100年に1度と言われる未曽有の不況の中でも業績は堅調に推移している。
 また、日本企業が全体的に新規採用を抑制する中で、今年4月、グループ全体で213人の新卒者を採用した。女性が活躍しやすい社風も特徴の1つで、新卒者の男女比は45対55と女性が男性を上回っている。雑誌「アエラ」によると、2010年卒の大学生の就職希望企業ランキングでも50位に付けており、就職先としての人気の高さがうかがえる。
日系市場の管理件数では全豪トップに
 荒木社長は大学時代にワーキング・ホリデーでオーストラリア中を旅行し、ゴールドコーストの住環境と人の良さに惚れ込んだ。「将来、ゴールドコーストに赴任したい」――。その一心で志望したスターツに89年入社した。
 スターツがオーストラリアに現地法人を設立したのは翌90年。好景気を背景に日系企業は80年代後半からオーストラリアの中でも特にQLD州の不動産や観光インフラに投資攻勢を加速させていた。
 しかし、ハワイとオーストラリアの海外案件を手がける日本での下積み時代を経て、荒木社長が念願のゴールドコースト着任を果たしたのは97年。日本経済は「失われた10年」の真っ只中にあった。当時、海外資産の処分に迫られた数多くの日本企業が逃げるようにしてQLD州から撤退していた。
 嵐の中で赴任した荒木社長だったが、それから12年、スターツはゴールドコーストで着実に業績を拡大してきた。豪州資本の大型プロジェクトの日本市場販売総代理権を獲得、さらにその販売実績ではローカル不動産会社を上回り、相次いで表彰を受けるなど、地域に根を下ろし、地元で高い評価を受けるまでになった。また、日本人や日系企業の所有する物件の管理件数では全豪で業界最大の規模に成長している。
着工しない-その決断が明暗分ける
 ところで、バブル崩壊から20年近い年月が経過した今、不動産・建設の業界では多くの日系企業が、巨額の損失とともにオーストラリアの事業から手を引いた。天文学的数字のジャパン・マネーが、クイーンズランドの青い空に泡となって消えた90年代、スターツが地獄を見ずに済んだのはなぜか。荒木社長はこう指摘する。
「進出当初、スターツもほかの日系の同業他社と同じく、土地を仕入れてマンションなどを開発するビジネス・モデルを主眼に置いていた。ところが、他社がどんどん開発に着手して販売は現地不動産会社に任せる中で、スターツは人任せにせず、不動産業者の資格を取得してまずは自社で販売からスタートした。そこが運命の分かれ道だった」
 いざ販売を直接手がけてみると、夢のような企画通りに、そう簡単に売れるわけではないことが肌身で分かった。もともと管理業務など手数料ビジネスを得意とする企業文化があった。選球眼があったスターツは開発計画の着工を踏みとどまり、かすり傷程度で苦境を切り抜けた。
 一方、他社はバブル崩壊前に潤沢な資金を投入して土地を仕入れたものの、建物が完成して販売を始めた時にはバブルが弾けて全然売れなくなり、在庫だけが膨らんだ。結局、進出後5~10年で、大きな事業赤字のままの撤退も少なくなかった。
 そうした状況の中で、荒木社長はリスクの高い大規模開発に手を染めず、スターツが企業文化としても最も得意とする不動産の管理や賃貸・売買の手数料ビジネスに特化した。そうして不良債権に経営を侵されることなく、手堅い成長を実現することができたのだった。

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日本人にも人気が高いゴールドコーストのブロードウォーターの物件



売り手側の情報を鵜呑みにしないで
 現在では、進出当初からの拠点であるゴールドコーストに加えてケアンズの不動産も取り扱い、そして2006年にはシドニーにも拠点をオープンした。
 ゴールドコーストとケアンズは主に日本の富裕層の不動産投資や現地日本人・豪州人の市場を対象とした「リゾート型」、一方のシドニーは日系企業の事務所や駐在員向け住宅が中心の「進出企業支援型」。マーケティングの方向性は異なるが、日系不動産ビジネスの盛衰を間近で見てきただけに、「オーストラリアの不動産を本当に理解している日系業者はほかに少ない」という自負がある。
 また、「買い手側または借り手側に立ったサービスで他社との差別化を図る」という立ち位置も一貫している。荒木社長は「オーストラリアの不動産業法上は、“仲介”という概念がなく、一般的に不動産業者にとっての“顧客”は売り主、もしくは貸し主である点が日本とは根本的に異なっている。不動産業者が売り主の味方であることを知らずに、売り主側に立った情報だけを信じて購入することによるトラブルは非常に多い」と説明する。
 不動産業者は物件案内と購入の決断までは一生懸命だが、契約行為そのものは弁護士任せで、全く関与しないのがこの国の方式。買い手側に立ったプロの助言なしで購入し、思わぬ落とし穴に気付いた時にはもう遅い、ということもある。そこを理解せずに、公平でない売り主側の情報だけを鵜呑みにしてしまう日本人は多いのだという。
 だが、そうした豪不動産業界のビジネス慣習は、同社にとってはオーストラリア人の現地市場を攻略する商機にもなる。
「豪州では、物件探しから交渉、契約、支払い、そして問題なく入居するまで、トータルな不動産サービスが一般的に存在しない。我々の買い手側に立った日本式のきめの細かいサービスは、オーストラリア人の現地市場でも勝負できる」
 スターツ・ゴールドコーストの売買取引においては、既にオーストラリア人による購入の件数が日本人による購入の件数を上回っているという。今後は、得意分野である日本人・日系企業の市場でさらにシェアを上げ、その強みを持ってローカル・マーケットへの入り込みをさらに加速していく戦略だ。


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荒木祥久・代表取締役
1965年生まれ。神奈川県海老名市出身。89年スターツコーポレーション入社。同社海外事業本部配属後、ハワイとオーストラリアの不動産の担当を経て、97年にスター ツ・インターナショナル・オーストラリアの代表として赴任。在豪12年。日本の宅建主任者、NSW州とQLD州の不動産のフルライセンス所持。日本在勤中を含み20年にわたり、オーストラリアの不動産の売買や管理の実際の取り扱いを継続中。

<荒木代表取締役に聞く10の質問>
①座右の銘:「自分が源泉」「すべてのことは必要だから起こっている」
②今読んでいる本:「経済は感情で動く」(マッテオ・モッテルリーニ著、泉典子訳)
③オーストラリアの好きなところ:愛すべき国民と経済の底力
④外から見た日本の印象:「サービス」の完成度の高さはスゴい
⑤好きな音楽:80年代後半のポピュラー・ミュージック全般
⑥尊敬する人:スターツ・グループの村石久二
⑦有名人3人を夕食に招待するなら:バラク・オバマ、イチロー、木村拓哉
⑧趣味:読書
⑨将来の夢:オーストラリアを基点とする旅行三昧の暮らし
⑩カラオケの十八番:Someday(佐野元春)

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