シャープ 「オンリー・ワン」の開発哲学編 第2回

ニッポンの競創力

飽くなき努力と探求心で優れた製品・サービスを創出する
日本企業をクローズアップ
シャープ
「オンリー・ワン」の開発哲学編 第2回
自然のキレイな空気を室内に再現する
「プラズマクラスターイオン」
いったい何がスゴいの?

  一見、清々しい空気に恵まれているように思えるオーストラリア。しかし、都会の閉ざされた空間 では、日本と同じように見えないウイルスや菌が想像以上に浮遊し、ぜんそくやアレルギーに悩んで いる人も、意外に多いのです。そこで、今月もシャープ・オーストラリアさんに声を掛けていただき、お話を聞きに行ってきました。
ウィルスや菌を抑え、脱臭効果も
「自然界に存在するものと同じプラスとマイナスのイオンを発生させて空気をキレイに するのが、シャープ独自の『プラズマクラス ター技術』なのです」と話すのはシャープ・ オーストラリアの内山雅司社長。 この国でシャープが販売している主なプラズ マクラスター商品は2タイプあります。プラスとマイナスのイオンを発生させながらフィルターで空気中の埃や汚れを取る「空気清浄 機」と、フィルターがない代わりにもっと濃 いイオンを出せる「プラズマクラスターイオ ン発生機」があり、用途によって使い分けで きるそうです。
これらの商品には、ウイルスや浮遊菌を抑 制したり、「浮遊アレル物質」やカビ菌を分 解・除去する働きがあります。 また、消臭効果にも驚きました。早速、オフィスに設置されたプラズマクラスターイオ ン発生機を使って、実験開始。アンモニアを 染み込ませた金魚すくいの網を発生機の送風口にかざすと、30秒も経たないうちに鼻を 突くアンモニアの強烈な臭いが全く消えてなくなっていました。
目に見えないプラズマクラスターイオンですが、鼻で嗅いでみると効果は一目瞭然で す。プラズマクラスターイオンの濃度を上げることで、長年にわたって壁や家具などに臭 いが染み付いた部屋の消臭にも効くそうで す。とりわけ、タバコを吸う人がいたり、ペットを飼っている家庭はとても助かりますね。

ニッポンの競創力
空気清浄機 FUW53J
適用床面積 39㎡(センサー付)
ニッポンの競創力
空気清浄機 FUY30JW
適用床面積 21㎡
ニッポンの競創力
空気清浄機 FUW28J
適用床面積 20㎡(センサー付)
ニッポンの競創力
イオン発生機 IGA10J
適用床面積 10㎡
White, Black, Redの3色

目の付けどころは、自然の浄化作用
シャープがプラズマクラスターを発生させる空気清浄機を 発売したのは2000年。日本は このころ癒しの効果があると言 われたマイナスイオンのブーム でした。シャープは他社と同じ発想では納得できません。開発 チームは、空気がきれいな森林 にはプラスとマイナスイオンが ほぼ均等に多く存在することに 着目し、自然界に存在するプラ スとマイナスのイオンが、除菌の力を備えていることに目を付けたのです。その仕組みについて、内山社長に次のように説明 していただきました。
「メカニズム自体は単純です。まず電気で『プラズマ放電』を起こして、空気中の水分子(H2O)から『H+』(プラスイオン)、 酸素分子(02)から『O2-』(マイナスイオ ン)を発生させます。それらはカビ菌やウイルスの表面に付着して、酸化力の強い『OH ラジカル』に変化します。OHラジカルは不 安定なので、カビ菌やウイルスの表面のタンパク質から水素(H)を瞬時に抜き取りタン パク質を分解します。そうしてカビ菌やウイルスはHを抜き取られて抑制されるというわけなんです」
OHラジカルはHと結合して水になり、空気中に戻っていきます。自然界にあるのと同じプラスとマイナスのイオンを作り出すわけ ですから、健康に支障がなく、人体に安全であることが確認されています。 ただ、開発当初は自然界に存在するものと 同じイオンがプラスとマイナスで同数発生す るようにコントロールするのが、技術的にとても難しかったそうです。「実用化にこぎ付 けたのは技術者の努力の結晶でした」と内山社長。プラズマクラスター技術もまたシャープ創業以来の「オンリー・ワン」精神の産物 だったのです。
そして、発売から約10年を経た今では、 コア技術であるイオン発生デバイスの性能も格段にアップしました。イオンの濃度は、初期の製品で1立方センチメートル当たりおよそ2,000~3,000個(注)でしたが、「第7 世代」と呼ばれる最新のイオン発生デバイス を搭載したプラズマクラスターイオン発生機 IGA10Jでは、同2万5,000個(注)まで進化しています。 性能の向上に伴って「壁やカーペットの臭 いが取れた」「託児所でオムツの臭いがなくなった」など、当初期待した以上の反応が聞 かれるようになったそうです。
注:風量最大運転時に適用床面積の部屋の中央付近(床上 から高さ1.2メートル)の地点で測定した、空気中に吹き出 される1立法センチメートル当たりのイオン個数の目安

ニッポンの競創力
「プラズマクラスター」 のメカニズム(イメージ図)
1 イオンを放出 自 然 界 に あ る の と 同 じ プ ラ ス
とマイナスのイオンをプラズマ 放電により作り出し空気中に 放出。
2 浮遊菌やウイルスに作用 カ ビ 菌 や ウ イ ル ス の 表 面 に 付 着
し、酸化力の強い「OHラジカル」 に 変 化 。表 面 の タ ン パ ク 質 か ら 瞬 時に水素「H」を抜き取り、カビ菌 やウイルスを無力化。
3 空気中の水分に変化
「 O H ラ ジ カ ル 」と 水 素「 H 」が 結 合し、水「H20」になって空気中 に 戻 る 。

「すべての空間にプラズマクラスターを 広げたい」
「省エネ・省音設計」も大きな利点です。空気清浄機やイオン発生機は、エアコンのよう に毎日スイッチを切ったり入れたりせず、 24時間付けっ放しで使用することを想定しています。空気清浄機FUW53Jの場合、強 さを3段階の「弱」にすると、1年間の電気 代は約6ドル(一般的な電気料金19セント/ キロワット時の場合)しかかかりません。音 も「弱」ならほとんど気にならない程度、「中」でも冷蔵庫と同じくらいです。
オーストラリアではプラズマクラスター技 術の認知度はまだまだ低いそうですが、内山 社長は胸を張って言います。「この国は空気 が一般的にキレイだからといって、病気のウ イルスや菌が少ないわけではありません。空気の良さに関係なく風邪にはかかりますし、 一定人口当たりのぜんそく患者数の割合はむしろ日本より高いというデータもあります。 有害なものを取り除いて良い環境を作り出すことは世界に共通する課題です」
実はこのプラズマクラスター技術。シャープ・オーストラリアでは、空気清浄機とイオ ン発生機のほか冷蔵庫にも搭載し始めまし た。日本ではこれらに加えてエアコンや掃除機、加湿・除湿機、洗濯機、LED照明、コピー機とさまざまなシャープの家電製品が採 用しています。業務用の分野でも、トヨタや日産の自動車エアコン用、新幹線の空調用など24社に供給していて、この技術を搭載し た商品の生産台数は2008年12月末に全世界 で累計2,000万台に達し、今年3,000万台を 目指しています。
内山社長はこれからの見通しについて、こう話しました。「シャープ独自の技術だけ に、病気で悩んでいる人に『楽になって人 生が変わった』と言ってもらえるのが非常にうれしい。家電メーカーである我々の手が届く範囲は限られていますから、各社と 協力して広く普及を図っています。オース トラリアも今後は力を入れます。すべての屋内空間をプラズマクラスター空間に変えていきたいです」
将来は、家庭だけではなく車や交通機関、 公共施設などさまざまなスペースで、海や山と同じようなきれいな空気を吸えるようになるかもしれません。
■プラズマクラスターイオンで除去できるもの
空気中に浮遊しているもの
黒カビ
青カビ
コウジカビ
スタキボトリス
ススカビ
ケカヒ

ニッポンの競創力
浮遊カビ菌
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浮遊菌
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浮遊ウイルス
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ヤケヒョウダニの死
がいのアレル物質
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ヤケヒョウダニの
フンのアレル物質
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スギのアレル物質
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アンモニア臭

付着しているもの

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付着タバコ臭
ニッポンの競創力
付着汗臭質
ニッポンの競創力
付着カビ菌の
増殖抑制

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