
編集員Uが調べる、
オーストラリア歴史シリーズ
来豪したはいいが歴史的なアレコレについて実はあまり知らないというのが私の本音である。そこで、オーストラリア史において特に重要だと思われる要点をザックリまとめてみたい。
第2回 アボリジニの起源と文化
先住民アボリジニの起源に関しては現在でも諸説ある。ニューギニアとオーストラリア大陸が地続きだった5〜6万年前に、東南アジアから渡来したという説やアフリカから渡来したという説、またオーストラリア自体を起源とする説などがある。
その後、約8,000年前にニューギニアとの陸続きが水没し、ほかの大陸から完全に遮断されたとされ、大陸外との交流のない孤立した形で独自の生活様式を築き上げてきた。
食生活はブッシュ・タッカーと呼ばれる、ブッシュトマトや植物の種子を挽いた粉で作るダンパーと呼ばれるパンケーキやブッシュバナナなどの野菜を多く食べるというスタイルが代表的であったようだ。
住居に関しては土地や季節により大きく異なり、暑く乾燥した地方に住む人々は草で風よけを造りその下で暮らし、雨の多い北部では高床式の小屋を建てて暮らしていたようだ。また、半年間ほど同じ場所で生活する部族もあれば、ほぼ毎週移動して暮らす部族もおり、生活様式は多岐にわたっていたという。
また、ひと口にアボリジニといっても、実際には数多くの部族に分かれていた。部族は、地縁関係により成り立つ小グループで、それはいくつかの親族から成り立っていた。さらに、その親族は非常に広範囲の人々を含め、共通の祖先を持つとされる者同士は親族と考え、深い付き合いを行ってきたようだ。そして、その親族の集団にはスキンネームというグループ名があり、自分とほかのグループと、の関係を理解する機能を果たしていたとされている。
また、アボリジニはドリーミングといわれる宗教をもち、300〜500ほどの各々の部族に共通したドリーミングの概念が語り継がれていた。ドリーミングとは、その人の部族や親族と特別な関係にある動植物や自然物それ自体や、それらの精霊を信仰することであり、各人がそれぞれのドリーミングを持っていた。また、文字を持たなかったアボリジニは、歌・踊り・絵画・語りを通して彼らの信仰を表現、伝承してきた。
アボリジニの子孫は現在でもオーストラリアの人口の1.5%ほど存在しているとされており、入植者による迫害や時代の変転に耐えながら、その文化の一部が保全されている。オーストラリアに対する理解を深めるために、これらのアボリジニの文化をぜひ調べてみてはいかがだろうか。
(参考 オーストラリア先住民アボリジニ/川合美智子)