旦那はオージー「就職活動編」

第4回
就職活動編

仕事を欲して必死な妻を尻目にどこまでものん気な夫。
「何、寝ぼけたことを言っているの!」となる話です

新居に落ち着いたからには仕事が欲しい。私は早速、就職情報サイトに登録し、教育関係の仕事に片っ端から応募を始めた。それなのに、夫は「僕は就職なんてしない。事業をするんだ」と言いだした。「何、寝ぼけたことを言っているの?」と最初は思った。私は「稼ぐ=就職する」と考えるタイプだ。しかし、夫は日本在住の8年間、自分の英語スクールを経営して、そこそこの成功を収めていたのだから、やらせてみてもいいかもしれない。私のお墨付きが出て安心したのか、夫は「オーストラリアのアウトバックを日本人に紹介するツアーを企画したい。キャラバン・カーを買って…」と夢を膨らませる。しかし、事業を始めるにはちょっと資金が乏しい。なけなしの貯金と退職金は、海外引っ越しと、予定より高くついた車の輸入(本コラムの第2回参照)に費やされ、残高は寂しくなっていた。

そこで夫は、事業資金を増やすため、ビジネス本で有名なR氏のビジネス・コースの資料を取り寄せ、「このコースを受講すれば、何倍・何十倍にも資金を増やすことができるんだ」と私を説得しにかかった。妻「いくらかかるの?」夫「受講料は8千ドル。でもこれは×××だから、△△で、□□できるようになるんだ」私は即座に「ノー」と言い、夫は就職活動も事業も始めず、1カ月以上何も進展しなかった。私は根負けして、このコース代を支払うことに同意した。

その後、アメリカのコーチによるビジネス・コースは、順調にスタートしたかのように思えたのだが、彼は結局そのコースを終えることができなかった。なぜなら投資術を学ぶのに、さらに何万ドルもの資金が必要だったからだ。それを捻出できなかった夫は、最初のお金すら失ったのだ。我が家ではしばらく、その話はタブーであった。夫が逆ギレするからだ。資金を出したのは私だと言うのに、なんでやねん!?(怒ると、変な関西弁が出ます)

イラスト=たこり Web: takori.go-jin.com


<著者プロフィール>
ポップ登美子
◎北海道札幌市出身。日本での教員経験を経て、現在はオーストラリア人の夫と2人の子どもとノース・クイーンズランドに住む。教員免許高校一種外国語(英語)商業、教員免許中学一種外国語(英語)を保持し、クィーンズランド州の登録教員でもある。

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