第16回 ヒバクシャの思い:NPT再検討会議をめぐって

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第16回 ヒバクシャの思い:NPT再検討会議をめぐって

中村ひで子(JfP代表)
 

今(原稿執筆時点)、ニューヨークで核不拡散条約(NPT)再検討会議が行われています。そして、ニューヨークに派遣されている「核廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のティム・ライトさんからその様子が毎日のように伝えられてきます。

地球の行く末、私たちの子ども、孫たちの将来にも深刻に関わっている大切な会議なのに、なかなかその詳細が大手メディアからは流れてきません。実際の会議でやり取りされているプロセスを知ると、「核廃絶」に対して各国がとっているスタンスが見えてきます。

オバマ氏のあの有名なプラハでの「核のない世界」を求める演説は、確かに核廃絶運動に弾みをつけたといわれています。しかし、ロシアと並んで膨大な数の核兵器を有する米国は残念ながら期待するようなイニシアチブを執ってはいません。それどころか、ロシアとの核兵器削減が合意した直後に、核兵器更新の予算として800億ドルの計上を発表しました。

NPT加盟で核兵器を保有している5カ国(米、露、英、仏、中)のうち、米、露、仏の3国は、条約6条にある廃絶への義務について具体的日程の表明を拒んでいるとティムさんが報告してきています。

6条とは、「各締約国は、核軍備競争の早期停止および核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、ならびに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」というもの。

実際、この条項のみが核武装国を縛るもので、先の3国の消極的態度に見られるように、その限界もはっきりしています。

核兵器保有自体も禁止する道筋がますます必要になってきた、とティムさんは報告しています。

核兵器保有、非保有国の区別なく、核兵器の開発、製造、運搬、備蓄を止めさせる有効な手段が「核兵器禁止条約」です。

各国のNGOは、再検討会議の最終文書に同条約を盛り込むよう要求しています。

原爆投下から今年は65年。NPT会議に向けて100名以上の被爆者が現地を訪問し、精力的に証言活動をしています。ある被爆者は言います。「原爆を最初に使った国が、真っ先に核兵器を棄てるべき」だと。


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Japanese for Peaceプロフィル
2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。05・06年に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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