第43回 ピース・コンサート

JFPピースフル通信

 

オーストラリア国内の平和への動きについて、
お伝えするコラム JfPピースフル通信

 

第43回 ピース・コンサート
山木健太郎(JfPメンバー)

 

去る8月5日にVIC州立図書館シアター・ホールで、JfP8回目の広島・長崎ピース・コンサートを開催した。席が埋まり、遅れてきた方々をお断りせざるを得ない盛況ぶりで、主催する側としては喜びと申し訳ない気持ちが合い混じるものとなったが、コンサートの間ずっと考えていたことがある。

1つは、「広島の日」「長崎の日」というのは果たして日本以外の国でどれほど知られているのだろうか、ということだ。広島、長崎という地名は世界に広く知られているが、8月6日、9日を知っている外国人に僕が会ったのはまだ数えるほどだ。日本に住んでいると、夏真っ盛りのお盆前の時期になれば、自然と過去の戦争に思いを馳せるきっかけを拾うことができると思う。広島、長崎の式典もテレビで放映されニュースになる。

ここオーストラリアではANZACデーがそれに相当するのかもしれない。しかし「広島・長崎の日」というのは単に日本一国にとっての戦争の象徴ではない。人類史上初めて原子爆弾が投下された日であり、多くの無抵抗の市民が無差別に殺され後遺症を負わされた大量虐殺の日であり、また核の時代の幕が開けた日でもある。ゆえにこの日は世界的にもっと共有されてしかるべきなのではないかと思う。それが核兵器の3度目の使用を抑止し、常軌を逸した量のそれを減らしていくきっかけとなるのではないだろうか。

2つ目は、個人の体験に基づく伝播の力強さについて。今回ライブ・パフォーマンスとして広島の被爆者である森本順子さんが、コンサート中に8月6日に彼女が見た光景を水墨画にしてくれた。彼女はひと言も発しなかったけれど、完成した水墨画は人の心に突き刺さるものがあった。以前に核廃絶のイベントで彼女の体験談を英語に通訳させていただいた時にも、来場者は強烈なインパクトを受け、泣いてしまう者さえいたほどだった。

等身大の誰かの体験というのはその身になって感じることができ、あなたにも私にも同様に降りかかってくるかもしれないという想像を容易にさせてくれる。それは教科書やニュースからは絶対に得られない類のものである。昨年の福島原発事故に関しても、個人の話をなおざりにして、「脱原発だ」「いや推進だ」と論じるだけでは歴史的な教訓は絶対に学べないだろう。


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Japanese for Peaceプロフィル

2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。毎年8月に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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