デービッド・ハーレイ連邦総督

政界こぼれ話人物編 その226

デービッド・ハーレイ連邦総督
David Hurley

デービット・ハーレイ連邦総督は、1953年8月26日にNSW州の大都市ウーロンゴンで誕生している(66歳)。父親は製鉄工場労働者、母親は食料品店で働いていた。

地元の公立高校を卒業後、キャンベラの士官学校に進学。その後は軍のエリート・コースをひた走ったが、とりわけ93年のソマリア駐留時代、すなわち1,500人の豪州軍を率いて、国連平和維持軍に加わった際の活躍が高く評価された。2001年には陸軍少将、03年には中将、08年7月には国軍副司令官、そして11年7月には、制服組トップの国軍司令官(陸軍大将)に就任している(注:ホーク労働党政権時代の84年に新設されたポスト。文官ポストのトップである国防省事務次官と一応は同格とされる)。

14年6月には、42年間にもわたった軍歴に終止符を打ったが、同年の10月に第38代目のNSW州総督に就任している。そして今年の7月1日より、東ティモールの独立に貢献し、同じく国軍司令官を経験したコスグローブ総督の後任として、第27代目の連邦総督に就任し、現在に至っている。

この連邦総督だが、その役割、権限は、一般には儀礼的なものに過ぎない。ただ他方で、事実上の国家元首である総督は、象徴的な意味では重要なもので、またモラル面では強力なリーダーシップを発揮し得るし、それが期待される役職でもある。しかも総督には留保権限という、特別権限が担保されており、危機的な政治状況では重大な役割を果たし得ることを忘れるべきではあるまい。なお、ハーレイの連邦総督就任で、第24代総督のジェフリー以降の4人の連邦総督の内、実に3人が職業陸軍軍人出身者となった(注:第25代連邦総督は、初の女性で、ショーテン前野党労働党党首の義理の母であるブライスである)。

高級軍人出身者に共通するイメージとは、清廉、自律、愛国心、リーダーシップといった、国民受けするポジティブなものであり、そのため軍人出身者の連邦あるいは州総督への任命は、超党派的支持が得られやすいと言えよう。実際に、任命のタイミングについては不満を漏らしていたものの、ハーレイについても労働党は支持を表明していた。

さてハーレイだが、一見するとやや地味な印象を受けるかもしれない。その最大の理由は、ハーレイが「謙譲の美徳」を備えた人物であるためだ。ハーレイはNSW州総督時代に、毎週先住民の少年たちを集め、ボランティアでボクシングのコーチを務めていたが、少年たちはハーレイを「普通のオジサン」と思っていたという。ちなみにハーレイは、何よりも社会的弱者に奉仕する総督となりたい、云々(うんぬん)と抱負を述べていたが、特に重視するのが先住民問題で、ハーレイは先住民言語の保存を強く訴えている。

家族は教師であった妻のリンダと1男2女である。

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