リー・リアノン上院議員

 

政界こぼれ話人物編 その143

リー・リアノン上院議員

ナオキ・マツモト・コンサルタンシー:松本 直樹

ニュース/コミュニティー

環境保護政党グリーンズ党のリー・リアノン連邦上院議員は、1951年5月30日にシドニーで誕生している(61歳)。両親は豪州共産党(CPA)の党員であった。その後CPAは分裂し、両親は親ソ連派の豪州社会党(SPA)の党員となっている。リアノンも73年ごろに正式にSPAに入党。こういった出自から、リアノンも子ども時代から、国内治安・諜報機関の豪州安保諜報庁(ASIO)の監視下に置かれている。最近明らかとなった事実によると、若いころのリアノンは、ソ連国家保安員会(KGB)の豪州駐在エージェントと接触していたとされる。

 進学校のシドニー女子高校を経てNSW大学理学部に進学し、同大学を75年に優等で卒業。70年代から80年代にかけてのリアノンは、数多くの抗議活動や政治運動、とりわけ反戦運動に深く関わった。88年から90年までは、ソ連の財政支援を受ける親ソ派の新聞「サーベイ」の編集長を務めている。

90年にグリーンズ(緑の党)に入党。そして99年のNSW州上院選挙にグリーンズから出馬して州政界入りを果たし、また翌07年の同州上院選挙でも連続当選している。結局、リアノンは11年間にわたり州上院議員を務めたが、過激な言動もあって、常に注目を集める議員であった。

連邦政界入りは、グリーンズが大きく躍進した2010年8月の連邦上院半数改選選挙である。当選を果たしたリアノンは、翌11年7月より連邦上院に就任し、現在に至っている。

思想、信条だが、グリーンズ議員は労働党左派のさらに「左」に位置しているが、そのグリーンズの中でリアノンは、さらに「左」に位置しており、要するに「極左」と言ってよいスタンスを持つ。こういった議員あるいは党員は「スイカ・グリーンズ」と呼称されるが(注:「表は緑だが中味は赤」との意味)、共産主義、社会主義運動を経てグリーンズとなったリアノンは、グリーンズ内で勢力を拡大中の「スイカ・グリーンズ」の、正に代表格、実力者である。

「スイカ・グリーンズ」の特徴は環境問題と同等以上に、社会的公正、平等、差別の撤廃、あるいは社会的弱者の救済問題などに強い関心を寄せていることだが、リアノンも正義感が強く、また社会的弱者への深い同情心を持った人物である。

ただ、何と言ってもイデオロギー的に「確信犯」であるだけに、強面のイメージが強く、また社会主義運動で鍛えられてきたためか、権謀をめぐらすタイプでもある。例えばリアノンが、物議を醸したブラウン前グリーンズ党首を批判する論評の「ゴースト・ライター」であったことが最近明らかとなっている。

離婚した夫との間に3人の子どもがいる。なお、リアノンという姓は、リアノンが離婚後にウェールズ神話の登場人物から取って付けた名前という。

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