エディー・オベイド前NSW州議員

政界こぼれ話人物編 その153

エディー・オベイド前NSW州議員

ナオキ・マツモト・コンサルタンシー:松本 直樹


労働党のNSW州上院議員であったエディー・オベイドは、1943年の10月25日に、レバノン北部の小村に誕生している(69歳)。オベイドが6歳の時に一家は豪州に移住し、シドニーのレッドファーンに居住している。カトリック教会の聖歌隊に入るとともに、幼少時よりアルバイトにも精を出している。成人になるとタクシー運転手や住宅開発業者となった。

労働党に入党したのは29歳の時と、比較的遅い。その後は党活動に励みつつ、さまざまなエスニック団体や地域コミュニティーのボランティア活動を熱心に行っている。州政界入りを果たしたのは91年9月のことで、その後、丸20年にわたってNSW州の上院議員を務めた。

議員時代には漁業大臣や鉱物資源大臣を歴任したが、何と言ってもオベイドの名を知らしめたのは、パワー・ブローカーあるいはフィクサーとしての顔であった。オベイドは「テリガルズ」グループという、NSW州右派の分派の領袖であったが、この名称は同派の初回会合が、テリガルにあったオベイドの別荘で開かれたことに因んでいる。

同派には、オベイドと同じく既に政界から引退した、実力者のトリポディも所属していたが、カーNSW州首相(注:現在は外務大臣)が引退した後は、両者がキング・メーカーとなって、複数の同州首相の誕生あるいは失脚を演出してきた。このようにオベイドは、派閥政治の労働党の中でも最も強力とされた、NSW州右派の実力者として権勢を誇ってきたが、ただ以前より、汚職の疑い、キナ臭いファミリー・ビジネス活動などで頻繁に注目を集めてきた。

現役の政治家時代には大きな打撃を受けなかったオベイドだが、昨年11月にスタートしたNSW州汚職摘発独立委員会(ICAC)によって、現在は徹底的な追及を受けている。しかも、その汚職容疑の規模の大きさゆえに、全国で大きく報道され、州でも一躍有名人に躍り出ている。

最も深刻な容疑は、マクドナルドという労働党の資源大臣と共謀して、石炭ビジネス関連のインサイダー情報に基づく土地ころがしを行ったというものである。上記委員会によると、この一件だけで、オベイド一家の懐に入る不正利益は実に1億ドル近くに達するとされる。

汚職事件は継続審理中で、有罪が確定したわけではないが、これまでの多数の証言や証拠文書から、オベイドの形勢は極めて悪い。その証拠にNSW州野党労働党のリーダーであるロバートソンは、早々とオベイドとマクドナルドの党籍を抹消している。最大州であるNSW州の大汚職スキャンダルは、労働党という「ブランド名」全体に深刻な傷を付けるものである。

オベイドには、結婚して半世紀近い細君のジュディスとの間に、合計9人もの子どもがいる。子どもたちはさまざまなファミリー・ビジネスを運営しているが、その内の何人かにも容疑がかかっており、ICACにも召喚されている。

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