マーク・ドレフィス連邦法務大臣

政界こぼれ話人物編 その149

マーク・ドレフィス連邦法務大臣

ナオキ・マツモト・コンサルタンシー:松本 直樹


労働党のマーク・ドレフィス法務大臣は、1956年10月3日にWA州パースで誕生している(56歳)。ドレフィスの父親はユダヤ系で、ドイツ在住のクラシック音楽の作曲家であったが、ナチスの迫害から逃れるために豪州に移民している。

メルボルンの名門私立一貫校であるスコッチ高校を経てメルボルン大学に進学し、同大学より人文学士と法学士の学位を取得。卒業後は事務弁護士や法廷弁護士として大活躍し、実績が認められて、99年には一流の弁護士の証であるQCの称号を授与されている。

ドレフィスは、いわゆる「略奪された世代/子どもたち」最高裁訴訟において、先住民原告側の弁護士を務めるなど、歴史的な裁判にも関わった。政界入りしていなければ、VIC州法曹界の重鎮であったドレフィスが、法曹界でも一層高い地位に上り詰めたことは確実である。ただドレフィスは、以前から政治にも多大の関心を寄せ、労働党政治家のキャリア・パスの1つでもある閣僚の顧問、具体的にはVIC州労働党政府の法務大臣の顧問を務めている。

政界入りしたのは、ラッド労働党政権が誕生した2007年11月の連邦下院選挙である。10年8月の選挙でも再選を果たし、その直後の第2次ギラード政権の組閣では、気候変動問題担当の政務次官として、フロント・ベンチャー入りを果たした。そして政務次官として炭素税の導入に貢献したことが認められた結果、今年2月に実施された内閣の改造では、閣外大臣を経ずに、いきなり閣内の法務相に抜擢され、現在に至っている。

余談だが、前任の法務相であったロクソンもVIC州の選出で、父親はポーランドから移民してきたユダヤ系の人物である。とりわけVIC州の財界では、ユダヤ・ロビーが強力とされる。

ドレフィスの思想、信条だが、VIC州右派に所属するものの、先住民問題や環境問題に関心を抱くなど、労働党左派のメンタリティーも併せ持つ。人柄だが、見かけ通りの知的な紳士で、ユーモアのセンスも抜群と言われる。また先住民問題への取り組みなどからも窺えるように、社会的弱者や被差別者には常に暖かな目を注いでいる。

過去1年ほどの間、ドレフィスはメディアに頻繁に登場するようになったが、これはギラード指導部が労働党のイメージ改善にも有益として、積極的にドレフィスを活用してきたからにほかならない。ただ「紳士」ドレフィスも、11年3月に、炭素税問題で執拗な政府批判を繰り返すアボット野党代表に業を煮やした挙げ句、「アボットの反炭素税キャンペーンは、ナチスのプロパガンダを想起させる」との舌禍事件を起こしたばかりか、同年8月には、論客で鳴る自由党のミラベラ女史を下院の議場で「ビッチ(雌犬)」と野次り、物議を醸している。

家族だが、細君のデボラとの間に3人の子どもがいる。趣味は山歩きで、AFLのセント・キルダの熱心なファンでもある。

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