発行人のパリ便り 第1回


今年もまた発刊された ロミー・シュナイダーの 最新写真集

 

発行人の パリ便り

第1回
 

  還暦にリーチしたら、必ず実現しようと 思っていたことが2つあった。1つは日本 に半年間暮らすこと。もう1つはパリに半 年間暮らすことだ。で、日本では2009年 10月から10年4月までステイしてクリア。 そして今、パリに暮らすために来仏、サン ジェルマン・デ・プレにアパートを借りての 生活がスタートした。

 貴重な紙面を私事で汚すことに大いに躊 躇したのだが、原田編集長の頑固な要望 で、パリ便りを寄稿することに同意した。 ま、6カ月の間ですので、読者の方は辛抱 してください。


  実を言うと、パリが世界一美しい街であ ることは認めていたが、それほど好きな街 ではなかった。それでもこれまでに4回訪 れているが、せっかくヨーロッパまで来て るんだから、やっぱパリには寄らなくては という貧乏根性からの来仏だったと思う。

 まずブジュブジュという感じのフランス 語が体質的に合わない。それから、ホテル のスタッフとの体験からの感想だが、フラ ンス人の頭脳には迅速とか臨機応変という 言葉はないのだなと、傲慢にも思っていた 次第。

  ところが、パリでの4回目のステイ中、 目からウロコが落ちるというか、目覚め たんですね。何と素敵な街なんだろう と。この時はいつものように3、4泊では なく、日本からの友達と合流し、約2週 間ほどステイしたのが功を奏したのかど うか…。たぶん、パリの本当の良さを理 解するためには、こちらの成熟度を待た なければならなかったということなので しょう。もっとも、その時既にかなり年 をくっていましたが。とにかく、パリに FALL IN LOVEし、決めました。時期が来 たらここで半年住もうと。


 ここでの生活が始まって最初に気付いた ことは、意外にも英語があまり通じないと いうこと。確かに大昔、フランス人はフラ ンス語以外は言葉じゃないという不遜な態 度だったが、バブルがはじけて世界不況に なりツーリストが退いて以来、フレンド リーな態度に変わり、英語を話す人が増え たという印象を持っていた。しかし今回 は、フレンドリーなのはそのままだが、 え、これほど英語が通じなかったっけ、と いう場面によく遭遇する。

 先日、道に迷ったので、ビルの清掃婦と おぼしきおばさんに尋ねると、「I CAN’T SPEAK ENGLISH」と流暢な英語だったの で、「YOU CAN SPEAK ENGLISH」と続けると、ノーノーと手で追い払われてし まった。またある事務所で、事務員が書 類を作成中、「ファミリー・ネーム ?」と 聞かれ、「SAKAI」と答えると、「ノー、 ファミリー・ネーム」と繰り返すので、再 び「SAKAI」と返すと、また「ノーノー、 ファミリー・ネーム」と叫ぶので、面倒 くさくなり「KENJI」と言ってみると、 「THAT’S RIGHT, THANKS」ととんちんか んなことも起きる。


 さて、熟年の洋画ファンへの情報。若 い人はたぶん知らないと思うが、1960年 代、70年代のフランス映画界は2人の大女優が君臨していた。カトリーヌ・ドヌーヴ とロミー・シュナイダーという女優。美貌 ではドヌーヴが勝ち、演技ではシュナイダーが勝 つという評価だったと思 う。ドヌーヴは現在でも バリバリの現役で美貌も衰えておらず、出演作が 目白押し。一方、シュナ イダーは、最愛の息子を 事故で亡くした後、失意の日々を送り、80年代の 始めに42歳で亡くなって いる(自殺だと推測されている)。

 このシュナイダーだが、フランスでは つくづく敬愛されている大スターなんだ とパリに来る度に実感する。いつも新刊 の分厚い写真集が発刊されているし、テ レビでは常に何かの形で彼女の映画が再 放映されている。今年も没後30周年記念 として「ロミー・シュナイダー展」がパリ で10月から各月に1回開かれ、好評(1月 には見に行く予定)。

 ちなみに、彼女の最高作とされ、当 時、淀川長治サヨナラ先生も小森和子オバチャマも後世に残る名ラスト・シーンと 絶賛した『離愁(原題はLe Train)』が You Tubeで見られます。



アパートのロビーに飾られたミニ・クリスマス・ツリー

  第1回目のパリ便り。だらだらと書き綴 りましたが、最後にパリの師走風景をレ ポート。

 クリスマスが近づくにつれ、パリの街は イルミネーションの渦になります。エッ フェル塔もシャンゼリゼ通りも、サン ジェルマン・デ・プレの大通りはもちろん、 ショップもレストランも、工夫を凝らした イルミネーションが競い合い、年の瀬を迎 えた人々の目を楽しませてくれます。

Au revoir.

(本紙発行人 坂井健二)

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