第140回 霜月まつり

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第140回
霜月まつり

ご機嫌いかがですか、れんです。今年は平成から令和への移り代わりの年でしたが、最後の月を迎えましたね。

12月17日(火)から23日(月)までの1週間、チャツウッドのコンコース、THE ART SPACEにて毎年恒例のRENCLUB会員書作展を開催いたします(11~17時オープン)。楷書、行書、隷書体(れいしょたい)の漢字作品、また平安朝の仮名、そして現代の漢字仮名交じりの作品もあり、バラエティーに富んだ非常に見応えのある展覧会です。洗練された手書きの文字を目にすれば、改めて日本語の文字やその流れの美しさに感じ入るでしょう。毛筆硬筆とも日本語を母国語としない生徒たちの作品のその見事さにはきっと驚くと思います。

購入できる小作品、カードなども準備いたしました。クリスマス・プレゼントでお悩みの方も、お誘い合わせてぜひ会場に足をお運びください。

さて、毎年12月の前半、長野県飯田市では遠山郷(上村と南信濃)の12カ所13社で数日間掛けて湯立神楽(霜月神楽)を中心とした「遠山郷の霜月祭り」が開催されます。旧暦の霜月に行われていたのでこの名が残っています。1979年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。湯立神楽とは日本の伝統的な神楽の形式の1つです。釜で煮えたぎっている湯を使って神事を執り行うことで、無病息災、五穀豊穣を祈ります。

起源は10世紀末の平安時代。現在の上村上町に当たる所に住んでいた佐久麻呂という人物が、熊野本宮の仙人の協力で京都へ行きます。そこで賀茂神社の湯立の儀式や宮廷の儀式などを見て回ります。そして男山八幡宮(石清水八幡宮)を分霊し、仙人から5つの神面をもらいます。村へ帰った佐久麻呂は分霊してきた男山八幡宮を正八幡宮とし、木火土金水の5神を合祀。そこに神面を納めて、神前に釜を作って湯立を行ったのが霜月祭りの始まりと言われています。

両部神道(両部習合神道)による湯立祭りで、清和天皇の貞観(じょうがん)年中(859~876年)に宮廷で行われていた伊勢神宮様式の湯立を模したものがほぼ原形のまま伝承されているそうです。両部神道とは、真言宗(密教)の立場からなされた神道解釈に基づく神仏習合思想を言います。また、後に江戸時代初期の元和(げんな)年間にこの地で滅びた遠山土佐守一族の鎮魂儀式も加わったとされています。

社殿の中央に設(しつら)えた釜の上に神座を飾り、湯を煮えたぎらせて神々に捧げます。祭りのクライマックスになると天狗などの面が登場して、煮えたぎる湯を素手で跳ねかけます。振りかけられた禊(みそぎ)の湯によって、1年の邪悪を払って新しい魂をもらい、新しい年を迎えるのです。

では作品をご覧ください。楷書に近い行書と言えるでしょうか。「月」という字はたくさんの能書家によって多彩な表情を見せてきた文字と言えると思います。ここでは平安の世で三筆と呼ばれた嵯峨(さが)天皇の手による李嶠(りきょう)詩の中にある「月」の字を少し意識してみました。

本物は第1画をもっと釣り針のようにぐるんと曲げていますが、ここでは「り」の第2画と流れを合わせた形にしてあります。「月」の2画目のコーナーは、外側はグッと筆を入れて瘤(こぶ)を作りますが、そこから筆先を立て、内側をほぼ直角に白をくっきり取るようにして折れていきます。臨書で学んだことをアレンジして作品に採り入れることは同様に学んだ者たちとの共通項になるので、作品鑑賞の上で面白さの1つとなります。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.amebaownd.com / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub / インスタグラム: instagram.com/renyano

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