第141回 五十猛のグロ

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第141回
五十猛のグロ

新年明けましておめでとうございます。旧年中は何かとご教授賜りまして誠にありがとうございました。本年も変わらずご支援賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ご機嫌いかがですか、れんです。21世紀も2020年代に入りました。令和2年になりましたが、令和としては最初の正月です。皆様は新年をどうお迎えになられたでしょうか。

今年は何と言っても第32回夏季オリンピック、第16回パラリンピックの東京開催の年です。昨年も末になってオリンピックの華とも言えるマラソンと競歩の競技会場が突然札幌市に移転されることになり、「東京オリンピック」とは言い難くはなったものの、7月24日から8月9日までの17日間にわたって33競技339種目、パラリンピックでは22競技537種目が日本で実施されます。

それより前、1月末にはイギリスがEUから離脱する期限が来ます。また10月にはアメリカ大統領選挙もあります。個人的にはアイドル・グループの嵐が無期限の活動休止に入る前の最後の1年であることも頭に置いています。

兎にも角にも新しい年、すばらしい年になるといいですね。

さて毎年1月11日から15日、島根県太田市五十猛町の大浦地区では「五十猛(いそたけ)のグロ」が行われます。インパクトのある名前からは、どんな行事なのかを想像しにくいですが、左義長(どんど焼き)と趣を同じにする小正月の行事です。

竹、笹、ゴザなどで作られる仮小屋を「グロ」と言うのでこのように呼ばれています。中心に高さ20メートルほどの竹を天に向けて真上に立てた、直径10メートルほどのサイズの円形の小屋ですが、形としては雪で作るかまくらを想起させます。

このグロで歳徳神(としとくじん)を迎え、1年の豊漁や無病息災などを祈願します。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

年の初めに仮屋を作って神を迎え、生業の予祝や火焚きを行う行事は日本の各地に地域的な特色をもって伝承されています。西日本地域における「五十猛のグロ」は我が国の年中行事や民間信仰の変遷を考える上で非常に重要な行事として注目されているようです。

出雲神話(3~4世紀)のころ、この地域を神様方がお通りになられた時のことです。住居が日陰で湿気の多い貧弱な穴居だったため、病が流行り、人びとは苦しい生活を送っていました。神々はそれを見て気の毒に思い、木や竹を使って陽の当たる丘の上に家を作るようにお教えになりました。

おかげで人びとは健康になり、漁も増えて、生活が楽になりました。これに感謝して、正月に歳徳神を祭る行事をするようになったと、文献としては江戸時代以降のものに残されているようです。

それでは作品をご覧ください。行書の「五十猛のグロ」です。漢字、カタカナ、ひらがな混じりの言葉です。視覚的に異なった特徴のある文字たちですので、お互いの何かしらをそれぞれに寄せ合って1つにまとめる必要があります。また文字数の関係で数行になる場合は、文字間に加えて行間の空間処理が必要です。既に書かれた文字が残した空間を利用しながらの作業となりますが、隣同士の線がかち合って不具合を起こさぬように、数文字先まで意識を広げて対応しなければなりません。それが難しいところでもあり、面白いところでもあります。かすれを嫌わず渇筆(かっぴつ)も積極的に使っていくと良いですね。


れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に書家として参加。2016年シドニー総領事表彰を受ける。書団れん倶楽部主宰。チャッツウッドで書道教室運営。RENCLUB Lineスタンプ販売中。
Web: renclub.amebaownd.com / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub / インスタグラム: instagram.com/renyano

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