第68回 義士祭

書家れんのつきいち年中行事
© All rights reserved to RENCLUB

 

第68回 義士祭

ご機嫌いかがですか、れんです。

2013年も既に335日を消化し、いよいよクライマックスです。残り30日をどのように過ごすかで、正月に決めた今年の目標を見事達成できるかどうかが決まります。「そんなの忘れちゃったよ」という方も今ならまだ間に合うかもしれません。あらためて11カ月前の記憶を手繰り、ゴールを探して走ってみてはいかがでしょう。自らのモチベーションを来年につなげるためにも大事なことかもしれません。

さて年末の名物の1つ、何度も繰り返しドラマや映画、舞台に題材として扱われてきたのが「忠臣蔵」。時は将軍徳川綱吉の治世、元禄15年12月14日(1703年1月30日)、元播磨赤穂(現在の兵庫県の一部)藩主浅野内匠頭の仇討ちのため、元国家老・大内内蔵助を筆頭に元藩士47人が、吉良上野介邸(現東京都墨田区両国)に討ち入りした「元禄赤穂事件」を取り上げた話です。

大方は人形浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」(2代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳の合作)がベースになっていて、人々に好まれる「勧善懲悪」ストーリーでまとめられています。これによって義士側が善で吉良側が悪というイメージが定着してしまいましたが、実際の史実とは少々違うようです。ちょうど徳川光圀を主人公にした「水戸黄門漫遊記」で黄門様が全国を回って悪を正したという話が創作なのと似ています。どちらも結局は「作り話」なのだと理解した上で楽しまないと、刷り込みによって史実が上塗りされてしまうと大問題ですね。

もちろんこの事件自体は実際に起こったことで、今でも浪士の行為を称える「義士祭」が12月14日を中心に行われています。兵庫(赤穂市「赤穂義士祭」)や東京(港区「義士祭」)のほかに、北海道砂川市の「北海道義士祭」、新潟県新発田市「義士祭」、京都府山科「山科義士まつり」、大阪府天王寺区「大阪義士祭」、広島県三次市「三次義士祭」など全国のゆかりの地で開催されているのが義士人気のすごさを示しています。

特に「赤穂義士祭」は今年で110回目。市のウェブサイトによれば昨年の観客動員数は6万人。義士が眠る花岳寺での追慕法要、義士を祀る大石神社の祭典などが執り行われます。また祭りの目玉は22団体1,500人が参加した「忠臣蔵パレード」です。藩主の参勤交代を模した大名行列や忠臣蔵を車上で演じる山車、四十七義士に扮した義士行列が冬の街を華々しく練り歩くそうです。

では左の作品をご覧ください。行書とひとくくりに言ってもいろいろありますが、これは「習字」で習うものとはずいぶん異なる形をしています。「習字」と「書道」の違いをよく聞かれますが、乱暴な言い方をすれば「習字」は正方形の中にどのように文字を書いていくかの練習です。文字本来の持つ個性を押さえ、ひたすら方形に沿うように作られた形をコピーし、それらを並べるのが習字です。

この作品はまず文字の大きさを大胆に変えています。また線の長い部分をより長く見せるために短い部分をより短くし、線同士の絡みの部分にも配慮しています。特長を強調し、相互バランスで全体の雰囲気を作り出すのが書の醍醐味の1つです。先人がどう表現してきたかを古典で学ぶことを臨書といいますが、彼らのバランス感覚や考え方を理解し、採用するのも興味深いと思います。

来年はぜひ一緒に筆を持ちましょう。書の世界の奥深さを体験してみてください。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。東日本復興支援「プロジェクト名もない絆」のメンバーとして支援地と被災地をつなぐ活動中。

Web: renclub.net
Email: renclub@gmail.com
動画:youtube.com/user/renclub
UST: ustream.tv/user/obiyoshiyuki

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る